<ローズS:追い切り>

 秋華賞トライアルのローズS(G2、芝1800メートル、20日=阪神、3着までに優先出走権)に出走するオークス馬ミッキークイーン(池江)が、貫禄を見せつけた。16日にCウッド4ハロン53秒9-12秒1。他厩舎2頭と予定外の併せ馬となったが、動じなかった。骨折休養明けの2歳女王のショウナンアデラ(二ノ宮)、桜花賞馬レッツゴードンキ(梅田)も登場し、早くも3頭のG1馬が激突する。

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Cウッドを単走で追い切るミッキークイーン(左)(撮影・梅根麻紀)

 涼しい顔のままだった。単走でCウッドの3コーナーへ入ったミッキークイーンが、予期せぬ事態に巻き込まれた。大外から他厩舎2頭に並びかけられる。「まずい…」。人間たちの不安をよそに、女王は冷静だった。白いバンテージが刻むリズムに力みや乱れはない。両前脚を高々と上げ、軽やかなフットワークで駆け抜けた。想定外の“併走馬”にも1馬身の先着を果たし、4ハロン53秒9-12秒1で難なく終えた。

 貫禄の走りに、池江師は胸をなで下ろした。「3頭併せの形になったけど、動じずに折り合いがついていた。動きも良かった。オーバーワークになったり、テンションが上がったりすることもなかった」。心配は無用だった。5戦5連対と崩れ知らずの戦績は、強い精神力の成果でもある。

 春は肉体面でわずかに不安を抱えていた。トレーナーは「右トモや右腰が疲れていた。オークスの時も痛かったと思う」と明かす。それでも世代の頂点を極めた。夏場はノーザンファームしがらきで馬体のケアに努め、疲労は完全に抜けきった。課題のカイ食いも順調で「プラス6~8キロで出られそう」と見通しを示す。

 小柄な馬体に大きな期待と信頼を背負い、秋初戦を迎える。1週前追い切りにまたがった浜中騎手は「体調は大丈夫では」とした上で「要はスタートじゃないですか。駐立でジッとしてないので、五分に出られればいいと思う」とゲートに細心の注意を払う。再度の戴冠へ、準備は着々と整いつつある。【太田尚樹】