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La oscuridad de Columbia       〜事件簿 E  エメラルド ユニオンとの抗争 〜
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La oscuridad de Columbia       〜事件簿 E  エメラルド ユニオンとの抗争 〜

2016-06-20 09:31
    エメラルド・カウボーイ最大の危機!
                ハヤタ助けろ!!


    物語りの詳細は私の映画や著書(新潮社)にて明らかになっているので、それらを既に
    観たり読んだりしていただいているファンの方を退屈させないように再述は避けて、
    ここではストーリーの概略を述べ、むしろ興味あるその裏話を紹介しよう。
    日本のバブル経済華やかし頃南米コロンビアの首都ボゴタの目抜き通りアベニダ・ヒメ
    ーネスの道路沿いに異様なグループの男女が群がっていた。
    数百ときには千人を超える連中は三、四人の輪をなし互いに白い紙切れやハンカチを
    取り出し中身のカット・エメラルド(研磨済みエメラルド原石)を見つめながら取り決
    めをしている。
    たまには通りがかりの外国人バイヤーと商談をしている場合もあるが、たいがいは商品
    のオーナーが売らせるセールスマンに値段の指示を与えているのだ。
    販売人は二人でパートナーを組みこれから訪れるバイヤーの算段(誰を最初にするか
    など)をしているのである。
    ともあれ街路で数百万円時には数千万円もする高級天然宝石を商談している類い稀なる
    光景である。
    そのヒメーネス通りの界隈には大小四、五十社に及ぶエメラルド・バイヤー・オフイス
    があり、それぞれのオフイスは輸出業を営み外国人バイヤーを抱えていた。
    その中でも私の輸出事務所は最大で、常時十数人のバイヤーが駐在していた。
    私のオフイスは当時の年商が五十億円もあったのである。
    要点を先に言うが、この街頭のエメラルド販売人達が一団にまとまり組合(ユニオン)
    を結成して各バイヤー・オフイスに対し横暴な態度を取り始めたのだ。
    普段からバイヤーに対して横柄な態度で接し、バイヤーが安いオファーをすると、
    ”あんたコロンビアにアボガードを買いに来たのかい”
    と毒づいたものだ。
    それがエスカレートして今度は支払期日を短縮しろとか組合員以外とは取引きするな
    とか全くの無謀な要求を突きつけてきたのである。
    これを拒否した小さな輸出事務所が彼等のバリケードでオフイスを封鎖されて誰も
    販売員が立ち寄れず、ついに倒産の憂き目に陥った。
    この事態に至り七、八箇所あった日本人オーナーの輸出オフイスは次つぎと屈服し無謀
    な彼等の要求をのまされた契約書にサインさせられユニオンの傘下に降った。
    勢いずいたユニオン幹部はゆくゆくは自分らの手で輸出業を営み、市場を独占したいと
    まで画策した。
    組合の幹部連中はユニオン・カード(組合員証)を発行して前科者を含めだれにでも構
    わなく売りつけ売上金を着服していた。
    この自分のオフイスも持たぬ街頭のエメラルド売人達はコロンビア社会では特殊な目で
    見られ犯罪者集団に準ずると蔑視されていたが、それはまんざら間違ってはいなくかな
    りの数の犯罪者が紛れ込んでいたし普通の教育レベルのある市民はまずならなかった。
    要はならず者集団に近いのであった。
    図に乗った彼らの態度は日にひに横暴を極め、私のオフイスでは私が自ら彼等の襟首を
    つかんで叩き出したことがしばしばあった。
    そのうち他のオフイスは全てユニオンの支配下になってしまい私のオフイスだけがユニ
    オンと対抗していたが、営業には特に支障をきたすところはなかった。
    なぜなら、商売量が大きいから大多数のユニオンメンバーがユニオン幹部の
    ”ハヤタ事務所に行くな!”
    という指示を無視して私のオフイスへつめかけたからだ。
    むしろそれは彼等にとって先がけができ好都合でもあったのだ。
    私のオフイスへ入ってくる多数の組合員を罰することもできず、業を煮やしたテイバビ
    スコを頭目に仰ぐユニオン幹部はついに大バリケードを築き、私のオフイスを封鎖する
    ことに決定した。
    もとよりそれは覚悟のうえのことで既に手は打ってあった。

    初日は千人を超えるユニオン・メンバーが嬌声をあげて私のオフイスが入っているビル
    の大玄関の周りを五重にも六重にもとり囲んだ。
    前三列は座り込んでいた。
    数千名の会員を誇るエメラルド販売人ユニオンでも血の気の多い過激分子がこの違法の
    ピケを張って私のオフイスビルをブロックアウトしたのだ。
    誰も入れようとはしないので(エメラルド販売人と一般人との違いが見分けられないか
    ら)同じビルの他のオフイスヘ入ろうとする一般人が怒って彼らと揉め合った。
    我がオフイスのバイヤー方々にはストの初日第1日目だけは休日として休んでください
    と頼んであったが、バイヤーは皆私に
    ”ヤレー、ヤレッ”
    と応援してくれていてむしろ楽しんで傍観していた。
    むろん彼等の利益にもなることだからだ。
    たとえ私がこの抗争に負けて倒産しても他のオフイスへ移れば済むことで彼等がなんら
    損害を被ることはなかった。
    むしろ他のオフイスでは私がこの戦いに負けて彼らのオフイスヘ私のバイヤーが来てく
    れることを願っているような不埒な卑劣者が大半であった。
    私はこいつ等のために戦っているというのに、臆病者はいつの世でも卑劣だ。
    誰も入ってこない午前中の閑散としたオフイスで私は感慨にふけっていた。
    それはあたかも遠く戦国時代に周りの城を全部落とされて残った本城が兵糧攻め(商品
    の供給を断たれ)を食らっているような気分であった。
    しかしながら、私はなんとかなるだろうと全く焦らなかった。
    スト初日は数人であったが、なんと二日目には大勢の人間がエメラルドを売りに来てく
    れたのだ。彼らは皆んなヤマ(鉱山)の仲間エスメラルデーロ(エメラルド原石ブロー
    カー)であった。
    コロンビアに来たての若い頃から一匹狼として鉱山地帯を彷徨い培った友情の賜物で、
    それが大いに幸いしたのである。
    手を打っておいたのは他でもないこの事であった。
    既にムソー、チボール、コスクエスの各鉱山地帯に伝令を飛ばしてあったし、初日のエ
    メラルド・ユニオンのストの件はテレビニュースで大々的に全国に報道されていたから
    これを聞きつけた昔のヤマの友達は皆 
    ”ほれ、ハヤタを助けよ” 
    と仲間内で連絡を取り合い、カット原石を持参してボゴタまで出かけて来てくれたので
    ある。
    彼らヤマの勇敢なエスメラルデーロには街のエスメラルド販売人は頭が上がらなかった。
    彼らエスメラルデーロがユニオンの組合員に商品を貸し、売らせてやっている商品のオ
    ーナーなのである。
    ”おいこら、そこのチンピラ野郎どもそこをあけろ”
    と彼らが言うと、組合員もすごすごと列を開けてしまった。
    このウルトラCの商品調達方もユニオンとの交渉決裂の際に既に私の頭の隅に描かれて
    いた予想図であった。
    二日目にはこの違法のピケのバリケード要員は一気に五、六百人に減っていた。
    こいう輩は根性がなく何事も長続きしないのである。
    私の会社の社員、用心棒を入れても四十名足らずの人数で五百人以上の敵と対峙してこ
    れに打ち勝つ方法を終日模索していた。
    私のオフイスビルが彼らに封鎖されて三日が過ぎた。
    他の輸出業オフイスが全てユニオンの無茶な要求を飲まされ力ずくで交渉契約書にサイ
    ンさせられて服従させられて以来、私のオフイスである
    コロンビア エメラルド センターだけが勇壮に我が道を行っていたが、ついに運命の
    日が訪れた。
    さあ三日目にして焦ったユニオンはビルの中へも数十人のはねっかえりメンバーを入れ
    て防弾ガラスの私のオフイスドアを叩き破らんとする暴挙に出た。
    もはやこれまで、それまでのなんとか社会秩序を保ったにらみ合いはここで波濤の如く
    激変する。

    その日の前夜、私は沈思し物思いにふけっていた。
    もちろん銃を持っての銃撃戦なら話は別で傭兵を募って戦うだけのことであるが、それ
    は双方にとって論外である。
    パハロ(ヒットマン)を送ってユニオンの幹部を二、三人暗殺してやろうかなどとも考
    えたが、それも事業継続に支障をきたすし、相手も私にそこまでの手段を取る勇気はな
    かったようだ。
    とにかく桶狭間の今川勢に対してとった信長の奇襲戦法にも似た作戦が必要であった。
    超ウルトラCの奇襲作戦はその土壇場になって私の手により敢行された。

    ”フエー プーター! マテロ ハヤタ!(ハヤタのクソ野郎を殺せ!)、
    サルガ デ コロンビア、マリカ!(コロンビアからでていけ、オカマ野郎!)、
    コマ ミエルダ!(クソ喰らえ). . . 
    オフイスドアの前で、ありとあらゆる罵詈雑言を浴びせユニオンメンバーが暴徒化した。
    防弾ガラスの分厚いオフイスドアがドッ、ドーンと蹴とばされた時に私は決断した。
    ”よし、皆行くぞー”
    怒鳴った私は自らドアを開けて扉の前にたむろする十数人の敵の真っ只中ヘ飛び込んだ。
    前蹴り、横蹴り縦横無尽に空手の炸裂だ。
    黒帯空手の昔取った杵柄はまだまだ鈍ってはいない。
    後に続いた私の社員たちも用心棒どもも無我夢中でこの無法のクズどもと殴り合った。
    決着のつかぬ殴り合いが数分続いたろうか、
    ”下から(階下から)応援を呼べ”
    との敵の叫びを聞きとげた時に私は咄嗟にそれを決断した。
    これより他に方法はないんだ!
     
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