「行政や政治のデジタル化」がやっと話題の中心になりつつあります。デジタル化自体が目的になってしまっているような間違ったケースもあるかもしれませんが、あくまでも、デジタル化は手段なのです。
もう1つ、私が法律を作る上で大切にしているのは「プレゼント・プッシュ」と「フィーチャー・プル」という2つの考え方です。「プレゼント・プッシュ(Present Push)」とは、現在からの発想、つまり「現状を捉え、いまある課題を解決する」こと。そして「フィーチャー・プル(Future Pull)」とは未来からの発想、つまり「実現したい未来のために提案する」ことです。当然ながら、デジタルファースト法も実現したい未来のための「フィーチャー・プル」という考え方で準備している法案なのです。ご存知の通り、日本は世界に類を見ないほど超高齢化・人口減少社会が進んでいます。国や自治体が使える予算も間違いなく縮小していくでしょう。これまでは紙が中心の行政でも十分に通用したかもしれません。しかし、ここまで情報技術が発達した現在においては、紙の書類のままでは、コストや効率など様々な面での弊害が明らかになってきました。例えば、平成29年4月には地域消費喚起のために2,206億円分のプレミアム商品券が配布されましたが、これを全国に配るための事務手続に526億円もかかっているのです。信じられないコストです。さらにまた同じような商品券を配ろうとすれば、同じだけコストがかかるのが現在の行政サービスなのです。これらの問題を解決する唯一の手段が思い切った「デジタル化」への移行であり、日本の未来を考えれば、今すぐに取り組まなければならない最も重要な政策だと考えています。超高齢化・人口減少社会を世界で最も早く克服するために、国民すべてが安心して「デジタル社会」に移行することこそが必要だと確信しています。