「稀代の鬼女」角田美代子容器者が自殺したのは、総選挙前だった。しかも兵庫県警本部の留置所。これで事件の真相は「死人に口なし」で、全ての犯行は角田美代子容疑者におっつけると思われる。
 この原稿がアップされる頃には、総選挙の結果を受けて、マスコミはほとんどそちらに記者を注ぎ、また世間の目も選挙結果に集中しているであろう。何というタイミング。
 このタイミングで角田容疑者の自殺に何か不自然なものを感じたのは僕だけではあるまい。


 陰謀史観は好きではないが、この不自然な自殺についてはさまざまな「噂」が水面下で飛び交ってい
るだ。例えば、


この連続怪死事件にはある団体がかかわっており、これに目を向けさせない為に「兵庫県警の失態」で幕を下ろさせる

 といった類のものだ。あくまで噂である。しかしそういった噂が出るほど不自然な自殺だった。三人部屋で果たして、二人に気付かれずに自殺が可能なのか。角田容疑者が静かに自殺したとは思えず当然、苦しさのあまり暴れただろうし、すると看守も気づくのが自然というものだ。
 しかし、看守が見回った後、数十分で角田容疑者が自殺を敢行してしまった。
 更に、これは各マスコミも既報だが、三か月前に角田容疑者と同房だった人間に角田容疑者の人となりや、セリフを掲載しており「もう死にたい」などと弱気な発言を繰り返していたという。
 それなら余計、監視を強めるべきである。が、看守が居眠りをしていたという、角田容疑者と同房だった人間の証言も伝え聞こえており、これが陰謀だったのか、それとも単に兵庫県警の失態だったのかは、依然、闇の中である。

 これに関わった記者たちは当然疑いの念を持ってこの自殺を見ている。「兵庫県警の失態」までは衆目の一致する所だが、その裏を読む記者もいる。それが前述した陰謀論だ。

 僕は依然、逃亡中の角田美代子の取り巻き、というよりケツもちの関係だったA氏にコンタクトを取ってみた。彼の証言から角田容疑者の支配の源はやはり李正則容疑者だけでなくヤクザの力が大きかった事がうかがえるし、養子縁組などを繰り返し「疑似家族」の形態を角田容疑者が好んでいた事から、ヤクザと同じような支配関係にあったのではないかという思いを余計強くした。 
これはTBSラジオ「Dig」で話した通りである。

早速、僕は潜伏中のA氏に角田容疑者自殺後の心境などを聞いてみた。

――角田容疑者が自殺したのですが、それについて何か語れますか?
「これで肩の荷が下りました」