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「久田将義責任編集 ニコ生ナックルズマガジン」

日本で一番危ないWEBマガジンが創刊!
『実 話ナックルズ』『ダークサイドJAPAN』元編集長の久田将義が、インターネットを通して新たな「アウトローメディア」を始めました。その名も「久田将義 責任編集 ニコ生ナックルズマガジン」。編集長の久田氏をはじめ、様々なアウトロー著者陣営がどの既存メディアでも露出できない記事をお届けします。(毎週金曜日に はその週のまとめ記事を配信)



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トラブルわず

 「おたくの雑誌のせいで衛星から電波が飛んで頭が痛いのよ!」

「大体、春になるとこの手の電話が多いんだよ」
そう、僕の上司は苦笑いしながら教えてくれた。まだ三才ブックスという出版社に勤めていた二十年くらい前の話だ。

  三才ブックスは今でこそ、一般書籍も出版して幅広いジャンルで頑張っているが僕が在籍していた当時は「無線の専門誌」という特色が強かった。僕は無線の無の字も知らなかったものの、とりあえず誰でも受かるというアマチュア無線四級を取ったりして何とかこの会社に溶け込もうと努力していた。上司や他の編集者の足を引っ張らないように、と。

  初めて編集業務にタッチする事が出来たのが三才ブックスに入ってからだ。看板雑誌は『月刊ラジオライフ』。僕は『別冊ラジオライフ』という編集部に配属された。月刊誌と違って、二か月に一回の割合いで出版しており、ワンテーママガジンだった。『盗聴の全て』『スピード取締りかんら逃れる方法』『おもしろ無線受信ガイド』『衛星テレビ受信ガイド』といったムック(雑誌=Magazineと本=Bookを合わせた造語)を編集する部署だった。

冒頭の上司の言葉は『盗聴の全て』を編集していた頃だ。
つまり「おたくの出した雑誌のおかげでKDDIが電波を出して、私の頭を直撃するんだよ、どうしてくれる!!」と言った抗議の電話が多くなるのが春だと言う。
  事実、僕はそういったクレーム電話に対応していたが、とにかく相手の話を聞こうと努力をするものの、正直疲弊してくる。つまり、この手の電波系の人と話していると僕にまでその、負のオーラが憑依してくるように感じるのだ。
  いくらこちらが「弊社とKDDIは何の関係もありませんが」と説明しても聞く耳を持たない。とにかく「『盗聴の全て』のような本を出しているのだから、そのせいだ」と一点張りなのである。
 何件もこの手のクレームを聞いているとある特徴が見えてくる。

・盗聴されているその相手は大概近所の人。あるいは警察
・近所の人がいやがらせで光線をあててくる。その色は大体、青系(緑含む)

  ただ、「苦しんでいるという事実」は変わらないので、弊社の出版物とは何の関係もありませんよという事は伝えておきながら、「何で警察があなたを盗聴するのか、合理的な説明がつきませんよ」と技術論でなく状況から説明していったが、納得する人は余りいなかった。
  しかし「聞いてくれて有難うございます」という人もたまにいた。恐らく家族からも孤立しているのでないかと想像し、苦しんでいる事に関しては同情の念を抱いていた。

ある日の事。

若い女性の声でやはり近所の人が盗聴しているのだという。盗撮もされているのではとも訴えてくる。余りにも切実に話すので、「盗聴器や盗撮カメラがあるか、実際の探偵に調査させますので取材させてくれませんか」と言ってみた。すると是非お願いしますという返事だった。