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ナチスドイツのプロパガンダ 独裁国家誕生の軌跡
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ナチスドイツのプロパガンダ 独裁国家誕生の軌跡

2013-08-12 03:50

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


         * 堀潤のテレビでは言えない話 vol.19

     ~「大衆の国民化を目指すプロパガンダ」の巻~

             

           発行:8bitNews  2013.8.11 (毎週1回発行)

                   

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    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


    皆さん! こんにちは。


    連日の猛暑、高知県では2日連続で40℃を超えました。東京都心でも38℃まで上がったりと、もはや熱帯の国と化したここ日本ですが、体調など崩していませんか? 熱中症で亡くなったり、病院に運ばれたりする方も相次いでいます。風通しの悪い室内で具合を悪くする人もいます。湿度や温度の管理に気をつけて、しっかりと身を守ってくださいね。


    それにしても、昨年や一昨年あたりまでは懸命に「節電の夏」がうたわれていましたが、最近すっかり聞かなくなりました。


    東京電力では、火力発電所広野火力発電所6号機や常陸那珂火力発電所2号機など新規電源の開発を進めた結果、7月で5,933万kW、8月で5,813万kWの供給力を確保。これにより、2010年度並みの猛暑となったとしても、8月は予備力363万kW、予備率は6.7%と安定供給を確保しています。東京電力のでんき予報を見ていると、気温が37℃前後と高い気温が続いたここ数日でも電力使用量は85%~91%と、「やや厳しい」というラインで留まっています。


    そんな中、電力の安定供給のために原発を!という声もあまり聞かれなくなりましたね。

     

    「電気は足りている。コストの問題でしょ?」という考え方が国民の間にだいぶ浸透したと同時に、原発の是非についてはなるべく公の場で触れず、議論が巻き起こらないうちに再稼働手続きを進めていこうという風潮がみられます。

     

    参院選の与党候補者の闘い方も同様でした。新潟県の泉田知事は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に真っ向から異論を唱えていますが、他の自治体では静かな容認の姿勢を示しています。


    大学時代、僕はナチスドイツのプロパガンダの研究をしていました。

    静かな空気を創り出すことも、そうした手法の一つです。


    変化はふと目をそらしているすきに、着々と進んでゆきます。奇しくも日本の副総理が表現したように、国民の知らぬ間に。皆さんもぜひ、五感をとぎすませて、社会の微々たる変動に注目してみてください。


    さて、今週からは新たな連載をお届けします。

     

    犯罪心理学が専門で、筑波大学大学院博士課程に在籍中の小林麻衣子さんによる「マイコの下克上✧研究者の道 『被害者学編』」が始まります。ケンブリッジ大学での留学を経て、日本の犯罪被害者の皆さんが抱える悩みや課題から今の日本が直面する現状を読み解いていきます。前回始まった、ラジオ福島の大和田新さんによる「福島日常論 大和田メール」に加え、ぜひご覧ください!


    ではでは、今号のコンテンツはこちらです!↓


    ┌───────────────────────────────┐

    ├○    堀潤のテレビでは言えない話  vol.182013.8.11

    ├○

    ├○  01.【堀潤のソーシャル日記から】

    ├○  8回「国民の大衆化とプロパガンダ」

    ├○ ~国民がナチスを選んだ理由とは~

    ├○

    ├○  02.【ルポルタージュ】

    ├○  マスメディアが報じない本当の○○

    ├○  第18回  「解雇権緩和の是非を問う」

    ├○   ~リベラル再生会議 宇野常寛×夏野剛×福島みずほ×堀潤~

    ├○ 

    ├○  03.【ルポルタージュ】

    ├○  マイコの下克上✧研究者の道 『被害者学編』

    ├○  東京砂漠で送るアングラ研究生活。いつか天下をとるのです。

    ├○  第1回「被害者学との出会い」

    ├○

    ├○  04.【ルポルタージュ】

    ├○  フクシマ日常論 ラジオ福島・大和田メール

    ├○  第2回「誰のための除染なのか」

    ├○

    ├○ 

    ├○  05.【告知】今週のスケジュール& お知らせ

    ├○

    └───────────────────────────────┘



    前回「Vol.16」へのリンクはこちらです。

    [リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar293087

    未読の方は併せてお楽しみ下さい。


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    ┗■  01.【活動日記】堀潤のソーシャル日記

       

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    このコーナーでは1週間の堀のつぶやきから3本を選んで深堀り。

    毎日新聞「MAINICHI RT」 の連載と連動しています。

    NPO法人代表として、そしてジャーナリストとしての堀の1週間からのルポルタージュ。

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    大衆の国民化とプロパガンダ


    堀 潤 JUN HORI@8bit_HORIJUN

    ウィキリークスなどに国家機密を漏洩したとして国家反逆罪に問われた元米軍兵士ブラッドリー・マニングが無罪に。しかしその他の罪状では有罪とAPやワシントンポストが速報。@washingtonpost http://wapo.st/18KIPX2

    posted at 02:27:45


    「誰にも害にならない彼の行為に対する今回の評決は、言論に対する戦争だ」


    告発サイト・ウィキリークスの創設者、ジュリアン・アサンジはロンドンにあるエクアドル大使館の一室からCNNのインタビューに答え、国家的な言論封殺と対峙したとして、マニング氏を「英雄だ」と讃えた。自らも政治亡命中の身だ。


    先月30日、米メリーランドで開かれた軍事法廷は約2カ月間の審理を終え、マニング氏に対してスパイ、反逆、コンピューター詐欺、軍規定違反など20の有罪を言い渡した。最も重い罪状であった利敵行為については無罪となり、死刑や終身刑は免れた。アルカイダなどに秘密裏に直接情報を受け渡したわけではなく、インターネットを使った公開の場での情報漏洩は必ずしも相手だけを利する行為ではないと判断されたからだ。それでも、20の罪に対してそれぞれ最高で10年の刑が言い渡されたため、実際には終身刑と変わらない最高136年の懲役となった。


    マニング氏は元イラク駐屯米軍情報分析兵。2010年、米軍が不当に民間人を攻撃する様子などを記録した映像をウィキリークスに流し、米国の外交機密文書やイラク、アフガン戦争の犯罪記録などを大量に投稿、米国の戦争犯罪などを告発した。米国政府や軍は、情報漏洩により国民の生命を危険にさらしたとしてマニング氏を拘束、裁判にかけた。


    筆者は昨年の米国留学中、現地のジャーナリストや人権団体などが「マニングを守れ、言論の自由を守れ。国家による戦争犯罪を許すな」と訴えながらマニング氏の釈放を求めた運動に随行取材したことがある。マニング氏が米軍の「犯罪行為」を告発していなければ、戦争に異議を唱え議論する空気も押さえこまれていたかもしれない。 国から「テロとの闘い」との大義をちらつかされてしまえば、それに反する意見を公の場で述べるのはなかなか勇気がいるものだ。そうした状況に一石を投じ、見えざる空気の根源を探り、国家の暴走に歯止めをかけるのはジャーナリストの役割でもある。


    マニング氏への評決は果たして正当なものなのか。米国で活動するジャーナリスト達を中心に今、「判決は不当だ」と訴える声が広がっている。


    堀 潤 JUN HORI@8bit_HORIJUN

    ヒトラー政権発足直後の1933年3月選挙では40%あまりの得票率。その年の11月には90%に。共産主義の台頭に危機感を抱いた国民は、第一次大戦敗戦、世界恐慌から立ち直るための「強いドイツ」づくりを進めるヒトラーのリーダーシップに心酔し、ナチによる独裁を許していったわけです。

    posted at 03:53:29


    堀 潤 JUN HORI@8bit_HORIJUN

    ワイマール憲法は元々、リーダーに強い権限を与えていたのでそこも落とし穴でした。戦後西ドイツはワイマール憲法の反省をいかしボン基本法という性悪説で大衆を捉えた憲法を制定します。直接選挙によるリーダーの選出をやめ、権限を弱めました。「自分達がナチをうんだ」という反省からです。


    堀 潤 JUN HORI@8bit_HORIJUN

    当然、プロパガンダに利用されたメディアも二度と過ちをおかさないように、制作者の表現の自由、発信の多様性の保障に注力しました。1980年代には、パブリックアクセスが認められ、市民による電波の使用、発信が可能になったのです。

    posted at 03:51:36


    日本の副総理が「ナチスの手口を学んだら」という表現を用い、改憲議論に対する自らの意見を述べた。本人の釈明によると、手本というのはあくまで前向きな意味ではなく、教訓として喧噪の中で改憲議論を進めてはいけないという思いからだった、と説明した。


    大学でドイツ文学科に所属していた筆者の主な研究テーマは、ナチスドイツと大日本帝国下のプロパガンダだった。確かに、第二次世界大戦前のドイツでは民主的な手続きを経てナチスを率いるアドルフ・ヒトラーによる独裁政権の誕生を国民自身が許した。1933年3月の選挙では有権者の4割以上がナチスを支持し、その年の11月に開かれた選挙では9割を超える支持を集めた。当時急拡大していた共産主義勢力に対する大衆の恐れや、世界恐慌による経済情勢悪化に伴う高い失業率などが背景にあった。


    ヒトラーは議会の保守勢力に支えられて発言力を強め、徹底的に反共産主義を打ち出した。さらに、大規模な財政出動による公共事業への投資などで失業率を改善、ドイツ経済をV字回復させた。アウトバーンの建設はまさにこの時行われたものだ。啓蒙・宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスは、当時始まったばかりのラジオ放送を自らの管理下におき、大衆操作・プロパガンダの展開を強めていった。経済的混乱と新たな思想運動のうねりに直面した大衆は、喧噪の中でナチスへの一票を投じていくことになった。


    強いドイツをつくるためには、大衆を国民化しなければならない--。


    ヒトラーらの思惑は成功。自由で多様に生きる大衆を、国家の号令で足並みを揃え行動する「国民」に仕立て上げることができた。戦後の西ドイツは強く反省し、有権者の判断は誤りを引き起こすこともあるという性悪説の立場から、新たな法律を整備した。


    今、私たち大衆としての日本人はどのような選択を求められているのか。

    喧噪の中に立たされているのであれば、自らの行動や判断の根拠は何であるのか、私たちは理解できているのか。


    手本にするべき歴史は、確かにそこにある。


    講演や講師の依頼なども受け付けています。

    hori@8bitnews.org までぜひ!



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    ┗■  02.【ルポルタージュ】

         マスメディアが報じない本当の◎◎

         

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    「テレビでは言えない話」というタイトル通り、「テレビでは扱いづらい」

    という理由でなかなか放送されない話題もたくさんある。

    国家や大企業を敵にまわしがちなテーマについては、局側の判断で

    ニュアンスが弱められたり、企画そのものが採用されなかったりする場合もある。

    このコーナーでは、そうしたマスメディアが報じない現場の実態をルポ。

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    17 

    「解雇権の緩和の是非を問う 」

    ~リベラル再生会議 宇野常寛×夏野剛×福島瑞穂×堀潤~

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    1年を通して働いても年収が200万円以下という日本人の数は1120万人あまり。人口の1割が、いわゆる貧困層だ。G8とよばれる先進国のうち、子供の貧困率が高いのも日本の特徴だ。諸外国では、親がいない、親が無職の場合に子供の貧困率が高くなるのが、日本の場合は、親が働いていても子供が貧困状態という割合が高い。


    日本の労働市場をいかに正常化させるのか、政治に求められる重要な課題だ。社民党は与野党時代を含めて、労働問題に関してかなり熱心に取り組んできたが、現行の社会システムに変革を起こす事は出来なかった。今回の参院選挙でそうした社民党は壊滅状態。労働組合・連合からの支持を受ける民主党も瀕死の状態だ。


    新しいリベラルの結集を掲げる批評家・宇野常寛氏、労働市場の規制緩和を求める夏野剛氏、リベラル再生に自らの議員生命をかける福島氏との対談を掲載する。


    今回は後編。引き続き経営者の労働者に対する解雇権の緩和をテーマに、今後の日本の未来をさらに探る。


    =========================================

    (福島)

     小泉さんが「自民党をぶっ壊す」って言ったじゃないですか。私も当時「社民党をぶっ壊す」って言おうかと思ったけれど、「シャレになんない」とか思って。


    (一同爆笑)


    (福島)

    「(コメント)強い国より賢い国」!


    (夏野)

     なんか、意味わかんないですよ。昔、安倍さんは「美しい国」って言って大失敗したじゃないですか。


    (福島)

     でもね、この「賢い国」っていうのはいわくがあって、亡くなったなだいなださんがPR誌の「ちくま」に書いていて、軍事大国じゃなくて平和国家の「強い国より賢い国」がいいんじゃないか、と。


    (夏野)

     いいんだけど、何言ってるんだかよく分かんないんだよ。


    (堀)

     誰が主役なのかが分からないんですよね。


    (福島)

     でも、「強い国より優しい社会」は?


    (宇野)

     誰に対して優しいのかが分かってなきゃダメ。いま優しくしなきゃいけない人々とか、特に注力しなきゃいけない問題がなんなのか、ということが見えてこないと意味がないと思うんですよね。だって、優しくないより優しい国のほうがいいに決まってるじゃないですか。


    (堀)

     「意見よりも事実」みたいなことなんですよ。


    (夏野)

     だって北朝鮮がすぐそこにあるのに、いきなり軍備放棄できないじゃん!


    (福島)

     「軍備放棄しろ!」なんて言わないですよ!


    (夏野)

     軍備を持ってるから、尖閣だって(攻撃して)来ないんですよ。だって、海上自衛隊のほうが中国海軍より強いもん。それが抑止力になってるのは事実だから、ならいいよもう、その話は。


    (福島)

     その話より危機感を持ってるのは、参議院選挙が終わって自民党が勝てば、原発再稼働も憲法改悪も、やっぱり進むと思ってるんですよ。そっちのほうに危機感を持ってる。


    (宇野)

     だからその時に、いまニコ生を見ている若い有権者の人たちっていうのは、もう社民党は「自分たちの味方だ」って思ってないんですよ。なぜかっていうと、いろんなところに優しくします・・・正社員に優しくします、フリーターに優しくします、老人に優しくします、地元商店街には優しくします、イオンモールに勤めてる派遣社員には優しくします・・・って、無理じゃないですか!そうじゃなくて、あるところは壊して、そのケアは別のところでやりますとか、もっとメリハリのついたことを言わないと、ただ八方美人なだけ、って思われてるんですよ。その結果が今の議席数じゃないですか。


    (福島)

    じゃあ「女性と若者に優しい社会」を作ります。


    (夏野)

     その代わり犠牲にしなきゃいけないことも出てくるわけでしょ? 老人医療とか・・・。


    (宇野)

     正社員のクソ親父たちの権益は減らして、「女性と若者が働きやすい社会を作ります」、「子供は家庭じゃなくて社会が育てます」!


    (堀)

     さっき言ったように、社民党の歴史もこれから変えるというか、新しい歴史を作ります、というような・・・。


    (宇野)

     だから、どっかで名前変えたほうがいいと思いますよ。


    (夏野)

     「若者と女性党」だ。「子育て党」でもいい。


    (福島)

     うーん。あ、でも(コメントで)「社民党が変わるなら楽しみだな」って。


    (堀)

     あっ! これ一つのきっかけになるかもしれませんよ!


    (夏野)

     「社会進化党」でもいいと思いますよ。なぜかというと、子供を産まないってことは、人類の進化を国として否定しつつあるわけですから。


    (宇野) 

     「脱戦後党」とかいいと思いますよ。9条っていうのを曖昧にし続けてきたのが戦後でもあるわけじゃないですか。


    (夏野)

     っていうかね、みんな憲法に関心ないから。もうどうでもいい、憲法なんか。だって、解釈によってどうにでもなるっていうのを、示してきちゃったから。


    (堀)

     「新社会党」でいいんじゃないですか?


    (福島)

     「新社会党」ってあるんですよ。でも、新社会党とは連携して政治協力してるんですよ。だからいずれ一緒になると思いますよ。


    (堀)

     「(コメント)労働党」!


    (福島)

     「労働党」っていうのも実はあるんですよ。


    (堀)

     福島さんが、社民党党首が「私、左翼じゃないんですよ!」って言うのは新鮮だと思うんですよね。なかなかメッセージ性が高いと思いますよ。


    (福島)

     べつに左翼じゃないんですけどね。それから実は私、社会党って知らないんです。


    (堀)

     あれっ?そうなんでしたっけ?


    (福島)

     私は社民党になって、野党になってる時に、1998年に立候補するために社民党に入ったんで、だから社会党時代を知らないんです。


    (堀)

     あ、そうなんだ!

     

    (夏野)

     今でも覚えてるけど、髭の爺ちゃん(村山富市氏)が自民党と組んだ時点で、社会党は終わったよ。それまでの歴史を全否定しちゃったから。


    (堀)

     でも福島さん、どうですか? 閣僚を経験して、いまこうして野党として厳しい立て直しを迫られている立場も経験して、酸いも甘いも知ったうえでどう立て直していくか。


    (福島)

     政権交代の前はね、障害者差別解消法ができたじゃないですか。障害者制度改革推進会議で、半数は障害当事者に入ってもらって、半分は女性に入ってもらったんですよ。そしたら議論が全く変わっちゃったんで、なんでみんな変えちゃうんだ、って。


    (夏野)

     だから少子化の話をするときにね、もう子供を産む可能性のないやつは除け、と。


    (福島)

     堀さんの質問で言うとね、大臣とか、政権の中に入っていてやれることも実はたくさんある、ってことは理解してる。ただあの時、辺野古に基地を作るっていうことの閣議決定に署名をしていたら、社民党はそこで終わっちゃってるんですよ。だから、いいんです。そこで残念ながら罷免されて政権離脱をして、また次の未来に向かってリベラル党を作ればいいんですよ。


    (宇野)

     やっぱり、そこで終わったと思えばいいんですよね。


    (堀)

     福島さんせっかく党首だから、福島さんの目指す党を作り直せばいいのかもしれないですよね。さっき、「社会党時代を知らないのよ」なんて言ってたの、すごい新鮮で、で「私、左翼じゃないのよね」っていうのも新鮮で、さっきコメントで「政策には賛成できないけど、人間性にはすごい支持できる」なんて意見もあることを考えると、福島さんがこういう「リベラル再生会議」みたいなところに来て、いろいろ改革していかなきゃいけないと思ってる、というのをどういう風に打ち出していくか。


    (夏野)

     今の最大の問題点は、党によっての意見の違いが、外から見たらほとんど見えないことだよね。


    (福島)

     将来、すぐに合併、ということにはならいないだろうが、でもリベラルな人たちは、たとえば民主の中にもいるし、自民にもいるんです。


    (夏野)

     だから今の政権の枠組が、なんか「勝ち組」に乗らなきゃいけないって感じになってるから。自民党の50代以下の議員にいろいろ個人的に聞くと「いやぁ、おかしいんだよね」って話があっても、勝ち組に乗らなきゃいけないってほうが強いわけです。だから僕は、去年の衆院選でもうちょっと維新とかが頑張ってて、絶対多数に行かなかったら、自民党が分裂した可能性があると思ったの。実際に、じいちゃんたちと若い世代は本当にぶれまくってて・・・。


    (宇野)

     40代の議員とか、本気で「子育て3歳まで」とか思ってるなんて思えない。自分の奥さんがまだ働いてるやつが多いし。


    (夏野)

     これね、党に関係なく、実は世代の差のほうが全然大きい。60代以上かそうじゃないかは、特に男議員は全然違います。そこにくさびを打ち込んでいくっていうのが、福島さんへの一番のメッセージ。


    (宇野)

     たとえばね、安倍政権が「日本を取り戻す」って言ってるじゃないですか。「リライジング・ジャパン」ですよね、オリンピック呼ぶために「リライジング・ジャパン」って言ってるんですけど、そうじゃなくて、「日本を作りなおす」にすべきだと思うんですよ。


    (福島)

     「日本を取り戻す」って標語、私、あれ分かんない。だって、自分が持ってたものを取り戻すって感じじゃない。


    (宇野)

     だからね、「プロジェクトX」とか「オールウェイズ」(※「ALWAYS三丁目の夕日」)みたいなことをやるんだ、と。あれは、日本を後ろ向きの国にします、と言ってるんだと思うんですよ。そこに対して、「リライジング・ジャパン」じゃなくて、「新しい日本を作ります」という心意気をきっかりしなきゃいけない。だとすると、やはり福島さんはどっかで涙を飲んでね、昔の日本に合った社民党を支持していたものとか、支持基盤を全部切る、ってことなんですよ。そうじゃないと「日本を取り戻す」の片棒を担いでるぞ、と思われちゃうわけですよ。


    (福島)

     そうかぁー。全然違うものなんだけどね。


    (夏野)

     実際は、60代以上の人たちも、心ある20~30%の人たちは、若者や女性に優しくしようって意見に絶対賛同しますよ。


    (福島)

     自分の子供とか孫とかね、そういう現実を見てるから。


    (夏野) 

     どうしようもないジジババは、「いや、俺たちのほうが・・・」っていう奴、います。でもこれを切り捨てる覚悟があれば、どうせ20年後にはその人たち死んじゃうから、20年後には社民党が政権をとれる。


    (宇野)

     もう、おじいちゃんおばあちゃんも社民党支持してないから、いいじゃないですか。極端な話。


    (堀)

     もし今福島さんが弁護士さんとして、ガンガンお仕事に戻っていったら、どういう問題から着手しますか?


    (福島) 

     やっぱり得意なのは、労働とか女性問題なのかもしれないね。顧客の大部分が女性だったんだもんね。


    (堀)

     どういう観点から女性たちを救っていきますか? 「福島先生、助けてください。どこに行ってもなかなか解決策が見いだせないんです。私がまるで間違ってるみたいな言い方を、周りからされるんです。」って言われて、駆け込んでくるわけですよね?


    (福島)

     それは事件ごとに全部違うんだけど、弁護士時代にやってたことは今もすごく役立っていて、たとえばドメスティックバイオレンス法を超党派で作って、保護命令を入れる、それを3回改正をやるとか、男女共同参画担当大臣の時に「パープル・ホットライン」っていうのを作ったんですよ。そのあとそれが「寄り添いホットライン」になっていって、365日24時間、ホットラインが出来るんですよ。暴力、外国人、あるいは性的マイノリティの項目があるんですけど、そういうのも今やってるんですよ。自分自身がセクシャルハラスメントや性暴力や、女性の雇用の問題とか、妊娠・出産で辞めさせられるとか、賃金差別とか、いろんな事件を扱っていて、それは議員になってもすごく役立ってますね。


    (夏野)

     そういう意味で言うとね、戦後の法体系においてもっとも女性が軽んじられてるのは、婦女暴行とか強姦に対する罪の軽さだと思うのね。あれって、女性にとってはかなり精神的ダメージが大きいにもかかわらず、量刑低すぎると思うんですよ。あそこをちょん切るぐらいの刑を求刑してもいいと思う。っていうかね、そういう奴って絶対もう一回やるから。痴漢するやつとか、本当にもうひどいんだから。あと、少女暴行。こういう奴はね、殺人と同等ぐらいに扱ってもいいと思う。


    (堀)

     その子は一生、傷と向き合っていくことになりますからね。


    (夏野) 

     そう。セクシャルなことに対しては、戦後すぐの、あの時代の常識で刑法を作られちゃってるので、ものすごい量刑軽いじゃないですか。少なくとも僕は、殺人と強姦の量刑はもっと近づいてもいいと思うし、性犯罪は男特有なんだけど、女性の傷の重さとかはものすごく大きいので、もし女性と若者を助けるというのだったら、そこはシンボリックに出してもいいんじゃないかと思う。


    (堀)

     福島瑞穂の「若者、女性を守ります!」のベースとしてね。


    (宇野)

     僕思うんですけど、多分今っていうのは、どこの政党も、「オールウェイズ」とか「プロジェクトX」をもう諦めます、と言う勇気がないんですよ。それを最初に言えるのが、もしかしたら社民党かもしれない、と思うんです。なぜなら、失うものが何もないから。


    (夏野)

     だいたい「プロジェクトX」に出てくるやつらって、今の時代は絶対に成功しないやつばっかりだから。


    (堀)

     たしかに安倍さんのうまいところは、今回のG8で、日米首脳会談をやらなくても、経済優先だ、金融優先だ、ということで、各国の首脳との会談の時間を増やして、経済G8の首脳宣言に日本のことを盛り込んで、一方で、中身は具体的なものは伴ってないけれども、これまでの既得権に斬り込んで成長戦略、新しいイノベーションを起こすんだ、とか言うじゃないですか。なんとなく、自民党は新しいことをやるのかな、みたいなね、そういう風にみんな思っていくわけです。どんどん、そういうペースになっていく。そういう中での打ち出し方っていうのが、ほかの政党は非常に下手くそなやり方をしていて。


    (夏野)

     それをもとに、あらゆる政策を組み直してみる。それと戦術レベルでは、くさびを打ち込んでみる。


    (宇野)

     僕思うのは、経済成長はしないよりしたほうがいいと思うんですよ、当然のことながら。成長なくして優しさなし、ですよ、はっきり言って。その時に、成長のために、昔の「ものづくりジャパン」とかね、昭和を取り戻すのか、21世紀の新しい日本を作るのかというところに、すっごい差があると思うんですよ。明確に後者だ!と言い切る政治家や政治勢力は、いま一つもないと思うんですよね。そこを社民党は、ファーストラビット(※AKB48の曲より。群れの中から、新しい挑戦のために最初に飛び出す勇気のあるウサギになろう、という例え)になるべきだと思うんですよ。これからは、古い日本を取り戻すんではなくて、新しい日本にかけます、というような政党になるべきだと思うんですよ。


    (福島)

     新しい政党を作り、未来に生きます、と。石原慎太郎さんに「化石」と言われたら、ちゃう!と。


    (宇野)

     ちゃう!と。お前たちはオリンピック呼ぶために「リライジング・ジャパン」とか言っちゃう古い脳みそじゃないか、と。お前たちが取り戻したい日本は昭和の日本だ、と。私たちは日本を取り戻すんじゃなくて、新しい日本を作るんだ、と。


    (福島)

     いろいろ言ってくれてるけど、私の頭に単純にわかるのは、やっぱり「若者と女性」をターゲットにやります、というか、私自身が女性だから、やってきたことは女性のことばかりなんですよ。


    (夏野)

     それを軸にすると、今までの政策も全部変わる可能性がある、ということ。これが大事。今まで言ってた政策の中にも、たとえば解雇規制や終身雇用の話も含めて、ちょっと軸を変えたほうがいいかもしれない。


    (福島)

     たとえば、正社員の働き方を変えます、とかね。長時間労働を規制するとか。


    (堀)

     福島さん、会社の正社員を守る、って話を日本の国内でしていても、今後、企業はどんどんグローバル化を進めていって、国内の労働市場は縮小傾向にあるわけですよ。そうなってくると、その主張だけでいいのかどうかっていう。そもそも企業はどんどん外に出ていってますよね?どんどん正社員っていうのをやめて、非正規雇用に切り替えていってる。もっともっと世界の人件費の価格に、国内の人件費を置き換えていくわけじゃないですか。その時に、そんな場面のなかで、正社員制度を維持して、そこを手厚くするんだ!と言っても・・・。


    (福島)

     だったら、たとえば「時給1,000円以上にします!」とかいうのは?だから「正社員を守ります」じゃなくて。


    (宇野)

     だから、今の「正社員を守ります」みたいな、解雇規制の緩和を認めません、っていうのは、上に合わせた発想なんですよ。下に合わせる以外、もうないと思うんですよ。労働というものを確保するためには。そこをはっきりと言うべき。


    (福島)

     どういう風に?


    (夏野)

     最低賃金を上げるほうが、大企業の正社員を解雇しにくくするより、よっぽど救える人数が多いということ。


    (福島)

     正社員を守るということではなく、活動してきたことは、時給を上げろとか、派遣切りについてやってきてるんで、下に合わせるというのは違うかもしれない。下のレベルを、底が抜けないようにしてるんであって。


    (夏野)

     ただね、解雇規制の強化に反対してるってことは、結果的に餌つけちゃうのは、すごく上の人たちなんだよ。恵まれてる人を助けちゃうから。


    (宇野)

     だから、そういった人たちと対決するってことを、ちゃんと言わなきゃいけないと思うんですよね。むしろ、これからの社民党は連合です、でいいじゃないですか。


    (福島)

     でも現況で頑張ってる人、いっぱいいるんだけどね。


    (宇野)

     夏野さんはこのあと別の番組出演があるので、ご退場されます。そろそろまとめに入りたいんですけど、福島さんは失うもの何もないんで、思い切ったことやりましょうよ!


    (福島)

     はい。わかりました!


    (堀)

     これまでの議論を受けて、新しい社会を打ち出すとしたら、どんなことをおっしゃるのかなーというところを是非聞きたいですね。


    (福島)

     「女性と若者が生きやすい社会を作る」っていうのはダメ?


    (堀)

     そのために何をするのか、っていうところですよね。さっきの話だと、社民党の歴史をかけて、って部分に、今までとはちょっと違うことをやらなきゃいけないんだろうな、というニュアンスが込められていたと思うんですけれども、より具体的なことが聞きたいな、と。「(コメント)老害をぶっ壊す!」世代間格差を煽っても仕方ない部分はあるかなぁ。


    (福島)

     「(コメント)若い女性が生き生きと暮らせる日本」っていうのはあるかもしれないね。「(コメント)リベラル=自由ですよ」って。「(コメント)会社から社会へ」。


    (堀)

     「(コメント)八方美人はダメ!」「(コメント)思い切って自民党と連立したらいいのでは」。どうしますか?自民党が突然「福島さん、一緒にやりましょう!」って言ってきたら。


    (福島)

     自民党の新憲法草案を取り下げるなら考えます。だってあの憲法は、自民党支持の人もびっくりするんじゃないですか?


    (堀)

     そうですねぇ。多分、憲法の部分に対して、一般の有権者がそれほど強い関心を示してないというか、それほど考えるだけの材料がない中で、憲法をもって対立していくということは、本当にいい戦い方なのかどうか。


    (福島)

     ただ、それはそうかもしれないけど、社民党が言わなかったらなかなか争点にならないじゃないですか。


    (堀)

     そのあたりは共産党とかが打ち出していったことで、まぁ「自・共」みたいな枠組みでいわれていったことだと思うんですよね。非常にきわめて対立軸なのが分かりやすくて支持が集まったんだと思うんですけど。


    (宇野)

     僕ね、ちょっと変な言い方ですけど、「右翼じゃない構造改革」というのがいいと。


    (堀)

     ああ、いいですね!


    (宇野)

     日本って、規制緩和の問題ひとつとっても、たとえば経世会的な、再分配制度を批判する勢力っていうのは、イデオロギー的には右寄りな人が多かったわけですよ。最近だと橋下さんもそうだし、小泉さんもそうだし、一時期の安倍さんもそうかもしれない。しかしそれをリベラル側で強くいった人っていうのは、個別には多分いっぱいいるんだろうけど、党首レベルとか、政治勢力の要人レベルではなかなかいないんですよね。そうじゃなくて、私たちは右翼じゃない構造改革。僕だったらそんな感じかな。


    (堀)

     「(コメント)宇野さんも堀さんも、本当に変われると思ってるの?」


    (宇野)

     そんなこと言ったって、言わなきゃなんにも変わんないじゃん!


    (堀)

     黙ってたらね。でもアクションで変わりますけどね。さあ、ということで、およそ2時間半近く議論してまいりましたリベラル再生会議。福島さん、率直に一言で言って、今日出演された感想はいかがですか?


    (福島)

     そうですね、女性・若者に政策の面をシフトして、もっと印象的な、インパクトのあることを言えるようにします。「(コメント)みずほさん、頑張れ!」ありがとうございます。リベラル勢力の結集軸になるみたいなことが、もうちょっと伝わるといいなぁと思います。


    (堀)

     「(コメント)実行>美談」みたいなね。さあ、宇野さん、今日は2回目のリベラル再生会議でしたが、どうでしたか?


    (宇野)

     そうですね、福島さんはやっぱり立場があって、言えること、言えないことがあると思うんですよ。でも僕は、本当は伝わっていると思っていて、実際にコメントがいつもよりかなり多いんですよ。これだけ、20代、30代を中心とした有権者が福島さんに声を聞いてほしい、と。今の、滅びかけることによって逆に自由になった社民党なら、俺たちの話を聞いてくれるだろうというニーズがあるんですよね。そこを拾いに行ってほしいな、ということに尽きますね。


    (福島)

     実は社民党の公約案に、パブリックコメントを募集して、たとえば一つは、セクシャルマイノリティみたいなことをもっと入れてくれ、って声があって、それは入れたんですよ。それともう一つは、たとえば児童ポルノの規制に関して、単純所持はやめてくれと。単純所持の処罰は社民党は反対なので、表現の自由とかね、そういうのは入れてるんですよ。私、実は頭固くないんだけどね。


    (堀)

     まぁね、頭固かったら、こういうところに来ないですもんね。ちなみにいまパブリックコメントの話がありましたけど、パブリックコメントを募集して、僕なんかも一生懸命書きますよ、でもあれがいったいどれだけ実行力があるのか、ってことに対して、結構みんな懐疑的になってきてますよね。 


    (福島)

     それは政治のパブリックコメント?


    (堀)

     そう、政府のパブリックコメント。そういうのが、アメリカに行くとホワイトハウスの陳情サイトがあって、「いいね」みたいなのが25,000以上溜まると必ず政府が検討して、インターネット上でその成果を発表しなきゃいけないとか、参加型の民主主義みたいなことをITを使ってうまくやっていたりするんですよね。そういう意味で言うと、国家の中枢にいる方たちにはもっと変えてほしいことがたくさんあるんですけど、そういうのを是非党首という立場からですね、実行していただきたいな、と思います!

    ということで今日は皆さん、ありがとうございました!次回も「リベラル再生会議3」やりたいですね。


    (宇野)

     選挙ごとにやりたいですよね。


    (福島)

     わかりました。それではニコニコできるように頑張りたいと思います!

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    ご要望やご質問をお待ちしております。こちらhori@8bitnews.org


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    ┗■  03.【ルポルタージュ】

      マイコの下克上研究者の道 『被害者学編』

      東京砂漠で送るアングラ研究生活。

      いつか天下をとるのです。

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    筑波大学大学院の博士課程在籍中の研究者、小林麻衣子がお送りする、

    犯罪被害学の最前線。

    同じく博士課程に在籍中の古市憲寿氏には負けてはいられないと、

    ブロマガを舞台に発信を開始。貴重なフィールドワークからの実態をルポ。

    ---------------------------------------------------------------

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    【プロフィール】 

    小林麻衣子(こばやし まいこ)

    さいたま市浦和区出身。早稲田大学第一文学部卒業、ケンブリッジ大学犯罪学研究所修士課程修了(犯罪学)

    現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程2年生。

    研究テーマは、犯罪被害者遺族の権利と支援、いじめ、少年犯罪被害など。

     

    ================================================================


    第一章『被害者学との出会い』


    傷つける側から、傷けられる側の視点へ


    イギリスの大学院で学んだのが犯罪学。人はなぜ犯罪をするのか、犯罪者の処遇をどう考えるか、犯罪を予防するには何が必要か、といったテーマについて心理学、社会学、法学など、分野を越えた学際的な視点で理解する学問。犯罪学、というと「FBI」「猟奇的殺人」「プロファイリング」なんていうキーワードが出てきそうですが(うん、私はそうでした。そう思って入ったんだけど)、実はもっと地味な勉強です(「犯罪学編」もいつか書きたいわあ)。その犯罪学において、被害者という存在は、まるで「加害者の行為の原因」のように取り上げられているだけで、あの頃の私はそのことに疑問すら感じなかったのです。


    そして帰国後、お仕事の一環で被害者学という学問に向き合うことになりました。


    そこで初めて知った。いや、気づいた。


    事件を反対側から見たとき、やられた側の視点に立って見たとき、まったく違う社会の本質がみえてくるのです。そこに、自分が漠然と信じていた正義はありませんでした。


    たとえば。

     
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