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日本時間1月20日午後、ISIL(イスラム国)が拘束していた邦人2人の殺害予告動画をYouTubeで公開した。映像によると、2人の日本人は去年8月にシリアで拘束された湯川遥菜さんと去年10月末に行方不明となっていたフリージャーナリストの後藤健二さんとみられる。


「日本政府と日本国民に告ぐ」と題され始まる予告動画では、72時間以内に2億ドル(230億円あまり)を支払うよう日本政府に要求。ISILの戦闘員とみられる男は、「日本の総理大臣へ。日本はイスラム国から8500キロ以上も離れたところにあるが、この聖戦に進んで参加した。われわれの女性と子供を殺害し、イスラム教徒の家を破壊するために1億ドルの支援を拠出した。だから、この日本人の男の解放には1億ドルかかる。それから、イスラム国の拡大を防ごうと、さらに1億ドルを支援した。だから、この別の男の解放にはさらに1億ドルかかる」と述べている。

安倍首相は今月18日午前、中東歴訪先のヨルダンの首都アンマンでアブドラ国王と会談。ISIL対策として120億円(1億ドル)の円借款による財政支援を表明していた。殺害予告はこの支援について言及したものと思われる。


きょう(24日)現在、日本政府が殺害予告の期限と見ていた23日午後3時を過ぎたが、23日夕方に会見を行った菅官房長官によるとISIL側からあらたな声明の発表はないとしている。


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▼呼び方はISILかイスラム国か?
イスラム国は武装勢力であり、国家ではない。視聴者に誤解をあたえることがないよう堀が関わる放送ではISILを使うことにした。ISILの呼称について。イラク、レバントにあるイスラミックステイトの略で、シリア北部の一地域からイラク北部、古くからレバントと呼ばれる地中海東部地域のことを指す。


※YouTube動画は削除されていますが、こちらのリンクから観ることができます。

http://reblop.com/new-video-from-isis-demands-200mill-within-72-hours-from-japanese-govt-threaten-to-behead-2-japanese-nationals/


※後藤さんのツイッターアカウント

https://twitter.com/kenjigotoip

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以下に、ISILによる邦人拘束問題について、堀が考える日本がとるべき行動についてまとめておきたい。

▼政府対応の問題点

湯川氏がシリアで拘束されたのは昨年8月、後藤氏の行方が分からなくなったのが昨年10月。殺害予告がなされるまでのこの間、政府や外務省が邦人の解放に向けイスラム国への交渉に力をいれてこなかった不作為の結果だ。8月に湯川氏が拘束された翌月に外務省職員に話をきいた。直接の担当者ではなかったが「やっかいなことが起きた」と述べるだけで、省内で積極的に交渉を進めている様子は見られなかった。身代金の要求を公開の場でされてしまうまで事態を悪化させたのはなぜか政府には説明を求めたい。国家安全保障会議を創設したものの、対テロ組織の情報収集体制など不完全であることが露呈した。中東歴訪中の安倍総理がイスラエルの地で対イスラム国への対応に200億ドルの資金援助を表明したのは軽はずみだった。


▼市民社会がとるべき対応

一方で、かつてイラクで3人の日本人の若者が拘束された際に「自己責任」だとメディアは彼らをバッシングし世論を導いた。当時拘束された彼らと官邸のパイプ役を果たした民間組織の代表に当時の話をきくと、政権への打撃を恐れた官邸主導で「自己責任論」が世論として形成されていったという。結果的に、高遠菜穂子さんをはじめ、解放され帰国した彼らを待ち受けていたのは一般からの激しいバッシングだった。私たちは今回の件で冷静に対応しなくてはならない。すでに、後藤さんや湯川さんに対する自己責任論がネット上の世論として散見されるが、現実問題として政府は公ではテロには屈することができない。しかし、裏では解放に向けて身代金の支払いも含めた交渉を進める必要もある。過去の交渉の反省を踏まえ、こうした時こそ日本社会が冷静に対応する必要がある。ジャーナリストが取材をすることで、政府のプロパガンダに踊らされないための事実を伝える大きな役割を果たしていることをしっかりと理解してもらうことも必要だ。しっかりと声をあげていきたい。


▼自衛隊のあり方を明確に

集団的自衛権の行使を含め、政府は積極的平和主義を掲げているが、そうした顛末としてテロリスト側につけいる隙を与えたことは間違いない。個人的には自衛隊は同盟国の後方支援としてではなく、中立的な立場で紛争当事国との和平、武装解除にむけた仲介役としての役割を果たす軍隊であると、国際社会に明確に示したほうがよい。日本が進む道は、負の連鎖を断ち切るための独自の平和外交であり、自衛隊はそのための軍隊として、各国をつなぐ役割を果たすべきだ。今回のように国家ではなくテロ「集団」である場合、交渉窓口をどのように確保するのか、その後の和平交渉をどのように明文化していくのかなど、あらたな紛争形態への対応を急ぐべきだ。今回だけではなく、第二、第三の同様の事件に備えるべきだ。ISILをはじめテロリストたちへの武器供与など紛争の火種は先進各国がつくってきた歴史的な経緯もある。憲法9条を持つ日本がはたすべき役割は重たい。安倍総理はあらためて国際社会に対して、空爆など軍事作戦をすすめる欧米型とはちがう、テロリズムとの対処を宣言することで、こうした事態を打開すべきだ。