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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年4月30日 Vol.057

はじめに - エンジニアさんへのクイズ出題

おはようございます! いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

今日(4/30)は連休はざまの平日ですね。 お休みの方も多いのではないでしょうか。 みなさんはどんな一日になりそうでしょうか。

結城は先週から『数学ガールの秘密ノート1』のレビューアさんに 書籍の原稿を送り始めました。レビューアさんに一章ずつPDFを送り、 レビュー(感想)を返信してもらうのです。 今日もその作業にかかることになるでしょう。

結城は以前からこのようなネットを使ったレビューを行っています。 常連さんは、結城の本をもう10冊以上もレビューなさっています。 文章に他の人の目が入るというのは品質アップに大きな効果があります。 著者の目だけではどうしても足りないものがあるからです。 必ずしも専門の方である必要はありません。

夏頃の出版に向けてがんばって執筆しましょう。

 ◆『数学ガールの秘密ノート』
 http://www.hyuki.com/girl/note.html

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先週はまた、CodeIQというサイトで エンジニア向けに出題していた問題について 「解答者へ評価フィードバックを返す」というお仕事もやっていました。 これは「リンゴ問題」と結城が名付けたアルゴリズムの問題です。

内容はまじめなアルゴリズムの問題なのですが、 ちょっと楽しくストーリー仕立てになっています。 「リンゴ星」には三色のリンゴがあって、 そのリンゴをごろごろと転がして通信を行います。 でも、リンゴは高いので、できるだけリンゴを少なくして通信を行いたい。 さてどうしますか?という問題です。

エンジニアさんたちはこういう問題が大好きで、 みなさん嬉々として解答を送ってくださいました。 全部で169人もの解答者がありましたよ!

エンジニアさんはこういう技術的な話に対して、 楽しみつつまじめに挑戦なさいますね。 みなさんの解答を読んでいると、 まるでスポーツを楽しんでいるのと同じように 問題を楽しんでいるのが伝わってきます。

結城はCodeIQで出しているような問題を作るのが大好きです。 「問題」というものを介して、解答するエンジニアさんたちと 楽しくおしゃべりしているような気持ちになるのですね。

現在はビッグデータならぬ《ピッグデータ》という問題を公開しています。 これもまた技術的にちょっと楽しい問題になっています。

 ◆《ピッグデータ》に負けないで!
 https://codeiq.jp/ace/yuki_hiroshi/q303

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CodeIQについてもう少し書きます。 上の《ピッグデータ》は「ウチにこない?」という設定になっている問題です。 問題文に一覧表示されている企業さんは、 解答者のエンジニアの答案(プログラムや技術メモ)を読むことができます。 そして「おっ、このエンジニアはデキル人では?」と判断すると、 企業のエンジニアが解答者のエンジニアに仕事のオファーができるしくみです。 いわば「入社試験一次試験免除」的な扱いになるのです。

プログラマの力量というのは、実際のコードを見ないとなかなかわからないものです。 短い試験時間でそれを測ることは難しいので、CodeIQのような「解くのにそれなりの 時間と力量が必要な問題に対する解答」は企業にとって有益な指標になるようです。 CodeIQはそのような発想で生まれたサイトらしいです。

まあ、そのような大人のジジョウはさておき、 結城はエンジニアさんに「おっ、これはおもしろい!」と思ってもらえるような 適度な難易度の楽しい問題を毎回出題しているというわけです。

今年になって始めたこのCodeIQでの出題は 結城の想像以上に楽しいお仕事になっていますね。感謝なことです。 始めるときにはこんなに結城の中で盛り上がるとは思ってもいませんでした。 なかなか未来はわからないものです。

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さてそれでは、今回の結城メルマガを始めましょう。

今回はまず「本を書く心がけ」で「有用な三つのファイル」のお話をします。 そして「教えるときの心がけ」で「信頼関係がすべての基礎」というお話をしましょう。 それから、読者さんからの質問にお答えする「Q&A」コーナーで 「飯のタネを公開していいのか」という質問にお答えします。

どうぞお読みください!

目次

  • はじめに - エンジニアさんへのクイズ出題
  • 本を書く心がけ - 有用な三つのファイル
  • 教えるときの心がけ - 信頼関係がすべての基礎
  • Q&A - 飯のタネを公開していいのか
  • 次回予告 - 講演「数学ガールの誕生」(5)