いま大きな政治問題になっている沖縄県の尖閣列島をめぐる日中関係について、私の見解を申し上げます。いったい、尖閣問題はなぜここまで深刻な事態になってしまったのか。そこに、事態を収束させ、問題を解決する糸口があると思います。
 
尖閣問題は日中双方にそれぞれ国内事情があったのは事実ですが、そもそも領土問題は、国家が領土と国民で形成されている以上、国家の存立にかかわる基本問題です。それだけに、非常に深刻な問題であり、世界の長い歴史の中でも様々な争いが繰り広げられてきたわけです。ことの性格上、関係国が簡単に了解、同意して解決できる問題ではないのです。
 
もちろん私は、尖閣列島は歴史的事実を踏まえても日本固有の領土であると確信しています。ただ、その領土問題を解決するためには、まず日中両国間で歴史的事実を検証し、お互いに冷静に議論するところから始めなければなりません。ところが、今回はそのプロセスを全く経ることなく、いきなり大きな政治問題になってしまいました。
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