ソーシャルメディアコンサルタントを本業としていますが最近は「ゲーミフィケーション」についての講演をしたり書籍を出したりもしています。今回は「ソーシャルメディア」と「ゲーミフィケーション」の関係についてお話ししたいと思います。(実はあまりin the looopであまりゲーミフィケーションの話をしていなかったので)
なぜゲーミフィケーションで人を熱中させることができるのか
「ゲーミフィケーション」とはゲーム以外の分野にゲーム要素を組込むことでユーザーのモチベーションやロイヤリティなどを高める手法です。
ゲーム要素を組込んだ手法は昔から使われていた方法で、居酒屋のハッピーアワー(17:00-19:00まではビール半額。その時間にユーザーが来るように促す)やラジオ体操のスタンプカード(鉛筆やノートをもらうために早朝のラジオ体操に参加する)のようなものがありました。
ゲームには人を熱中させることができる力があります。私もそうですがドラクエやファイナルファンタジー、ダビスタなどのゲームにハマり何百時間、何千時間と繰り返し時間を使っています。
この熱中する部分というのは心理学者のミハイ・チクセントミハイ博士により提唱された「フロー理論」でも説明されています。
フロー理論の8つの構成要素をスクエアエニックスの大ヒットゲームであるドラゴンクエストⅠに当てはめてみましょう。
1.明確な目的
→目的は竜王を倒して世界を救うこと。リムルダールの街を出るとすぐに竜王の城が見えている。
2.専念と集中、注意力の限定された分野への高度な集中
→ゲームをプレイしている時はゲームに集中する
3.自己に対する意識の感覚の低下、活動と意識の融合。
→ゲームの中で主人公の勇者となり現実世界から離れゲームの世界に没頭する。
4.時間感覚のゆがみ – 時間への我々の主体的な経験の変更
→気がつけば朝までゲームをプレイしている。
5.直接的で即座な反応(活動の過程における成功と失敗が明確で、行動が必要に応じて調節される)
→スライムを倒すとお金、経験値がもらえる。経験値が貯まるとレベルアップする。
体力がなくなるとお金が半分になりスタート地点に戻る。
6.能力の水準と難易度とのバランス(活動が易しすぎず、難しすぎない)
→なかなか倒せないボス(ドラゴン)でもレベルを上げれば倒すことができる。
7.状況や活動を自分で制御している感覚。
→主人公の勇者としてアレフガルド(ゲーム内の国)全土を歩き回り、謎を解き明かす。
8.活動に本質的な価値がある、だから活動が苦にならない。
→普段の生活と切り離された状態で楽しくプレイできる。
このようなフロー理論も含めたゲームに熱中する仕組みをビジネスに積極的に取り入れようという考えが広がってきました。それが「ゲーミフィケーション」なのです。
ソーシャルメディアの普及による可視化
ゲーム要素を組込んだ手法は昔から使われていたわけでなぜ今、「ゲーミフィケーション」に注目が集まっているのでしょうか。その大きな一つの要因にソーシャルメディアの普及があります。
従来のゲームは一人や多くても二人でプレイするものがほとんどでしたが現在流行しているソーシャルゲームではFacebook、mobage、GREE、mixiなどのソーシャルメディアを通して、他のプレイヤーと対戦や強力をしながらプレイできます。他のプレイヤーとプレイできることで競争心、虚栄心、協力心を煽ることができ、ランキングでの競争や、カードを自慢させあい、協力しないと倒せないボスが登場することで、一人だけでプレイするよりも熱中させ、継続してプレイさせることができます。
つまりただ単にゲーム要素を組込むだけでなく、ソーシャルメディアを使い友達と情報共有することでより熱中させ、継続させることができるというわけです。
例えば居酒屋のハッピーアワーも単に一人の顧客が利用するだけでなくソーシャルを介して
・ハッピーアワーを利用していることをシェアするとお通しがタダになる
・ソーシャル上の友達がシェアした内容を見て来店するとハッピーアワー延長
(当日じゃなくて別の日に来た場合はいつでもハッピーアワー券が使える)
・来店人数に応じて割引率アップ(3人だと10%OFF、5人だと15%OFF、10人だと20%OFF)
・その日に一番人数が多かったグループには次回使えるスーパーサービス券
・利用回数の一番多いグループ(グループの誰か一人でも参加すればよい)にはスーパーサービス券
というようにゲーム感覚でかつ友達と共有したり、お客さん同士で競わせる仕組みを入れるのです。今までは店と顧客の1:1の関係が、ソーシャルにより1:Nの関係を持つことができるようになりました。この仕組みを使わない手はないですよね。
ソーシャルメディアとゲーミフィケーションは両輪で動く
ソーシャルメディアも単に例えばFacebookページを用意して情報配信をするだけではコミュニティは活性化されませんよね。コミュニティを活性化させるためには参加するユーザーにインセンティブが必要です。ここで言うインセンティブとは単にキャンペーンやプレゼントをするというインセンティブだけではなく、ユーザーが参加したくなるモチベーションをアップさせるものも含みます。ここでゲーミフィケーションの仕組みを組み合わせるわけです。
・「いいね!を押してもらって応募すれば抽選で10名様にプレゼントをする」
+
「いいね!が増える度に商品がグレードアップするような仕組み」
「友達に見せたくなるような検定アプリ」
・「写真コンテストで写真をアップしてくれた方の中から抽選で5名様に豪華プレゼント」
+
「写真を評価したり、コメントをしてくれた方にもプレゼントを用意することで、
評価やコメントへのインセンティブも用意」
(一層写真をアップする人のモチベーションにつなげることができる。褒められた
り、評価されるってうれしいですよね)
ですので「ソーシャルメディア」と「ゲーミフィケーション」は別物ではなく、ソーシャルメディアとゲーミフィケーションは両輪で動かすことでよりお互いの仕組みを効果的にすることができるのです。
この「ソーシャルメディア」と「ゲーミフィケーション」の関係については拙著「ゲームの力が会社を変える」にもより詳しく説明しています。
「ソーシャルメディア」の共感を拡散する力と「ゲーミフィケーション」の人のやる気を引き出す力をうまく組み合わせることでお互いをドライブさせることができます。今後もこのテーマでの記事をアップしていきたいと思います。
12月に2回ゲーミフィケーション関連で登壇させていただく予定があります。ご興味がありましたら是非、ご参加ください。
12/6(木)はセールスフォース・ドットコム社Cloudforce Japanに昨年に引き続き登壇します。Facebookも利用している次世代の評価管理システムwork.comの紹介です。米国セールスフォース・ドットコムのWork.com担当 ジャガー・マコーネル氏との対談で同時通訳付きです。ということでいつものことながら一夜漬けの英会話お勉強中です(笑)
2012年12月6日(木)14:00-15:00
<プロダクトセッション> 業界初!ソーシャル時代の統合人材管理プラットフォーム
「ソーシャル時代の人材管理はどうあるべきでしょうか?ひとことでいうならモチベーション管理にほかなりません。常に会社の目標に対して自分の仕事が役に立ち、ただしく評価を受けているという仕組みがやる気を高め、結果的に会社の業績の改善につながることになります。Work.comはこれを実現した業界初の統合人材管理のプラットフォーム、事例とともにご紹介します」
登壇者:米国セールスフォース・ドットコム Work.com担当 ジャガー・マコーネル
株式会社ループス・コミュニケーションズ コンサルタント 岡村健右
場所 :東京ビックサイト 西ホール
参加無償 事前登録制(事前登録はコチラから)
12/20(木)には渋谷でゆめみの深田さん、NHK出版の久保田大海さんとゲーミフィケーションのトークイベントを行います。
トークイベント≪2012年のゲーミフィケーションを振り返る≫
2012年12月20日(木)18:30~21:30(前半トークイベント、後半懇親会)
場所 :渋谷MILK café http://r.gnavi.co.jp/gamh700/
登壇者:株式会社NHK出版 編集局 教育文化編集部 久保田大海
株式会社ゆめみ 代表取締役社長 深田浩嗣
株式会社ループス・コミュニケーションズ コンサルタント 岡村健右
定員 :40名(定員になり次第締め切らせていただきます)
会費 :4000円(お申し込みはこちらから)
by 岡村 健右(おかむらけんすけ)