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Twitterアカウントの運用に困っている企業はきっと日本にも多いのではないだろうか。アメリカも同じである。ソーシャルメディアマーケティングはまだ登場して間もない分、マスマーケティングのように体系化されていないこともありマスターするのが難しい分野だといえる。小さな成功や失敗を繰り返し、試行錯誤を積み重ねていくことでしかこのスキルは得られないのではないだろうか。正しく行えばブランド価値を向上させ、申し分ないほどの収益をあげることも十分可能だが、間違って行えば顧客とのすれ違いを生み、あなたの評判を落としかねない。
今回は、今年アメリカの企業が行ったTwitterマーケティングの中でも最悪な結果をもたらした5つの例を通して、ソーシャルメディアマーケティングを考えていこうと思う。
マクドナルドのハッシュタグが思わぬ方向に…
マクドナルド(@McDonald’s)は、マクドナルドで起きた個々人の素敵なエピソードをTwitter上でシェアしてもらおう と、#McDstoriesというハッシュタグを用意した。しかし実際は、ビッグマックに爪を入っていたというクレームなど、Twitterならではのリ アルな苦情までシェアされてしまった。
このキャンペーンはローンチからなんと2時間後には中止されるという超スピード撤退だったが、しばらくはTwitterでこのハッシュタグ検索するとクレームの嵐が表示されるという状態だったようだ。
教訓:消費者がハッシュタグを使って何を発信するかはコントロール出来ない。彼らはクレームならいくらでも投稿することができる。インターネット上に投稿されれば二度と撤回などできない。
ユニークすぎる試みをしたスニッカーズ
スニッカーズU.K.branch(@SnickersUK)のマーケターたちはリツイートがほしくてたまらなかったのだろうか、彼らは手段を選ばなかった。そこで、広告 塔として雇ったイギリス人のモデルに、EUの借金の話や中国の粗悪なプロダクトのことなど、彼女の容姿(ド派手なブロンドで化粧濃いめ)からはおおよそ想 像のつかない内容のツイートをしてもらうことで、彼女のアカウントの存在感を上げようと試みた。
「オーマイガッ!財政同盟のおかげでEUの借金問題がちゃんと解決しそう!」
「中国の最新GDPについてのいい知らせがあったわね!!」
そこにさりげなくスニッカーズを勧めるようなツイートも織り交ぜた。
「お腹が空いてるあなたなんてあなたじゃないわ」
そしてその後もさらにキャラにないツイートをし続けたところ、注目を浴びるどころかフォロワーたちに次々とアンフォローをされてしまうという運びとなった。あまりの離れ業ツイートに彼女のアカウントはハッキングされているとでも思ったのだろうか…。
教訓:ずる賢くイタズラに注目を集めようとするのは賭けでもあり、時に災いする。
新製品に関する情報を流したところ、逆に消費者を遠ざける結果に…
誰もが知っている巨大な自動車会社トヨタ(@Toyota)は、スーパーボウル期間中にニューモデルの車に関しての発信をする目的で9つの Twitterアカウントを開設した。トヨタはそのアカウントを使って、求められてもいないニューモデルの車に関する情報を発信し続けた。ここまではよ かったのだが、全ての宣伝ツイートに内容と関係のないスーパーボウルのハッシュタグを付けてしまったのが間違いだった。この行動は消費者の大きな反感を買 い、トヨタはアカウントの閉鎖と謝罪を余儀なくされた。
教訓:会社や団体が大衆に向けて発信するツイートには魅力を感じにくいもの。フォロワーに一対一の関係性を感じてもらえるような工夫を心がけるとベター。
キッチンエイドがした無神経な政治ツイート
普段のキッチンエイド(@KitchenAidUSA)のアカウントは、自社の人気キッチン用品に関する発信はほとんど。しかしオバマ大統領が出演して大 統領討論が行われていたある日の昼下がり、キッチンエイドのTwitter担当者はフォロワーの裏をかくように政治についてのポストをし始めた。オバマが 大統領討論中に最近亡くなった祖母について発言した直後には、オバマや彼の祖母に対して無神経ともいえるようなツイートをしてしまった。ふさわしくない発 言への責任として、彼はTwitter担当から外され、企業はしばらくの間この騒動の収拾に追われた。
教訓:ソーシャルメディア担当者は、会社のイメージを何よりも大事にし、できる限りそのイメージに沿った発信をするように心がけるのが無難。個々人によって意見の違いの大きい政治等に関する発言はしてはいけない。
ハリケーン“サンディ”を利用したセールを発表したら…
サンディがNYを直撃している最中に、アーバンアウトフィッターズ(@UrbanOutfitters)はこんなツイートをしていた。
「ストームが吹き荒れてるけど、今日限りのセールをやるよ!」
その他にも、日本でもおなじみのAmerican ApparelやGAP、またSearsというファッションブランドもこの「ハリケーン・サンディ・セール」に参入した。当然のことながら、危険を煽るよ うなこのセールは大きな批判を呼んだのだが、驚くことにこのセールに対する怒りの声はいまだにTwitter上で散見する。企業にとって大きなイメージダウンだろう。
教訓:災難時に、それを利用したビジネスをしようとすると、途端に深刻な非難に見舞われることになる。しないほうが無難である。
アメリカに向けた発信で気を付けたほうがいいこと
上記の失敗例以外でも、アメリカ向けに発信をする際に気を付けなければならないことがいくつかあるので最後にご紹介する。
- 人種で限定するような書き方をしない(※日本人は〜、アメリカ人は〜といった人種で判断することをよく思わない傾向にある)
ご存知のようにアメリカには様々な人種がいて、日本人が思っている以上に「差別」という部分に関してはナイーブなのが現実である。人種以外にも、年齢や性別で差別するようなこともタブーとされている。
- 宗教的なことに対する発言は控える
日本は宗教がそんなに盛んな国ではないので、ソーシャル上で発信する際にそのことを気にする人はいないと思うが、アメリカでは事情が異なる。最 近世間ではクリスマスが終わったばかりだが、クリスマスひとつとっても信仰している宗教によって過ごし方が全く違う。弊社では毎年恒例のホリデーカード (日本でいう年賀状のようなもの)を作成したが、そこに書くメッセージも”Merry Christmas”ではなく”Happy Holidays”にするなど、意外と気をつけている部分ではある。
- クレーム大国アメリカ
理不尽すぎる裁判でも知られるように、実はアメリカはクレーム大国である。僕がアメリカ人とアメリカのクレーム文化について軽く話した時には、 彼らはそれを自覚しているようで「クレームをつけるのは趣味だよ」という笑えない冗談まで言ってきた。もしTwitter上で彼らからクレームを受けるよ うなことがあれば、それを否定するようなことは絶対にしてはならない。小さな火種が裁判になりかねないのがアメリカだ。
今回の記事であげたような失敗例や、上記のことを心にとめておけば大きな失敗をすることはないだろう。日本にはない文化で特に気を付けなければ ならないことはそんなに多くないが、とてもナイーブな部分なのは事実。異文化に理解を示す気持ちを忘れずに、しっかりと注意を払っておきたいところだ。
btrax">by btrax
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