素晴らしいアイディアを元にプロダクトを作り、スタートアップを始める。チーム編成から経理、会社の登記まで、ふと気づくとやらなければいけない事が山の様にある。しかし、実は多くの事柄は立ち上げ時のスタートアップ時にはあまり重要でない。

 

長期的に必要になってくる内容であっても、最初から絶対に無くてはならないケースは意外と少ない。複数のスタートアップの成長パターンを元に、初期段階では優先度を下げても良いと思われる20の項目と、逆に生き残る為に”これだけは”絶対に必要だと思われる2つだけの事柄をまとめてみた。

 

スタートアップ立ち上げ時にはあまり重要ではない項目

下記に紹介するの項目は、最終的には重要であるが、立ち上げ時には優先順位がなかくないと思われる内容。これらに捕われすぎる事無く,どんどん進めて行こう。

 

 

 1. 企業/プロダクト名:

多くの人が名前を決めるのに多大な時間を掛けている事は想像に難く無い。しかし、Instagram, twitter, airbnbなどのに代表されるように、元々は異なる会社名やサービス名だったケースも少なく無い。特にサービス名は後で簡単に変えられる。

 

むしろ練りにねって”これだ!”と思う名前をつけても、コケてしまっては本末転倒。どんなに愛着があっても、失敗したら意味が無いのである。複数のサービスを連発して、ヒットしたものを会社名にするのもよし、”とりあえず”ドメイン名が空いているものを使うのもよし。まずは自分のひらめきを信じて、名前はさっさと決めてしまおう。

 

 

 2. 最適なドメイン名:

サービスの名称よりも難しいのが、ドメイン名選び。恐らく響きの良く簡潔な名前+.comで終わるドメイン名は100%取られてると思って間違えない。そんなときは、最近はやりの.coや.me, 名前の一部を活用したinstagr.am, もしくは、my◯◯◯.com, get◯◯◯.comなどの付随する単語を付けたものもよし。軌道に乗り始めたら本命のドメイン名を他社から購入するのが定番である。間違っても、Color社が立ち上げ時にcolor.comを3000万円で購入したような事態にはならない様に。

 

 

 3. 素敵なロゴ:

企業やプロダクトにとって、クオリティーの高いロゴの重要性はかなり高い。同時に、良いロゴを作成するのには非常に多くの時間と労力が必要とされる。しかし、スタートアップを開始した直後にそんな時間も予算も無いの。実は下記にも見られる様に、現在とても有名な企業の洗練されたロゴも、初期バージョンはかなりの荒削りであるのが珍しくは無い。社内にデザインチームが無い、もしくはプロのデザイナーに頼む余裕が無いうちは、とりあえず即席のものでスタートしても問題は無い。

 

参考: 有名企業のロゴ進化の歴史

 

 

 4. 法人組織:

スタートアップ”企業”を始めるからといって、必ずしも法人の登記を真っ先にしなければならないわけではない。最終的には銀行口座開設や、免責の面で必要にはなるが、まずは時間のかかる法人登記、及び組織形態の作成よりも他のフォーカスするより重要な事柄がある。

 

5. 銀行口座:

上記の通り、法人格を所有するまでは銀行で法人口座を開く事は出来ないが、当座のうちは代表の個人口座でまかなう事が可能。ネットからの送金やクレジット決済経由での入金等は個人口座でもカバー出来るケースが多い。また、そもそも最初のうちはあまり売り上げが見込めないケースがあるので、法人口座を開設して構えていてもあまり意味が無いだろう。

 

6. オフィス:

クライアントの訪問が頻繁に無い限り、最初のうちは便利な立地のオシャレオフィスは必要ない。自宅をオフィスにしても良いし、コワーキングを利用するのもあり。下手に家賃の高いオフィスを借りてしまうと、会社のサバイバル力が下がりかねない。

 

7. 所在地:

会社の所在地もあまり重要ではない。最初のうちは人に会う事も少なく、どこに会社があるかは思いのほか関係ない。たとえ地方でも良いプロダクトは生まれる。そして正しい戦略でインターネットを上手に活用すれば海外にも展開が可能。

 

8. 家具:

家具もなるべく買わない。最初はありあわせのもので間に合わせたり、友人・知人から使わなくなったものをもらう。

 

9. 卓球台:

スタートアップ定番の卓球台だが、最初のうちは必要ない。目標を達成したときの楽しみにしておこう。

 

10. ファウンダー同士の持株比率に対する細かな計算:

会社が出来たばかりの頃は、企業にほぼ価値が無いと思って良い。従ってファウンダー達の取り分を細かく計算する時間があったら、まずはザックリと決め、プロダクト開発に集中する。そして軌道に乗ってきてから再調整を行う規定にしておく。

 

11. 機密保持契約書:

これはスタートアップを始める人のその多くが勘違いしやすい点。投資家や見込み顧客等にビジネスアイディアを説明する際に機密保持契約書をかわす必要はあまり無い。アイディア自体にはあまり価値が無いと思った方が良い。何をやるかよりも、どうやるかの方が重要。

 

12. 著名になる事:

スタートアップを始め、プロダクトがすこし世の中に知られてくると、イベントへの登壇や記事のインタビュー記事などを通して、ファウンダー達も有名になり始める。とてもエキサイティングだが、これを目的にしてはいけない。著名になる = 成功している わけではないのだ。マークザッカーバーグを目指すのはしばらくしてからでも良い。

 

13. 外部とのミーティング:

プロダクトをリリースすると、有名な投資家や先輩起業家から”是非話しを聞いてみたい”と言われる事がある。実はそんな事に時間を使ってもあまり意味が無い。しばらくの間はプロダクトの改善を最優先に時間を使う事。

 

14. 専門家からのアドバイス:

もし自分のやっている事に対して、その専門家からのアドバイスが役立つ事があるとすれば、それは自分自身の能力が足りないと言う事だ。そもそも自社の商品やサービスは自分自身が誰よりも詳しいはずなので、専門家からのアドバイスはあまり意味がないはず。

 

15. スタートアップに関する記事:

スタートアップを始める人達は、市場トレンドや他のリリース情報を得る為にTechCrunchやMashableなどのメディアを通しての情報収集に余念が無い。でも気をつけないと無意識のうちに他のスタートアップの真似をしてしまっている事がある。でも初期により重要なのは、ユーザーに対して自分が解決したい問題の解決方法をひたむきに追求する事である。

 

16. 最新のソフトウェア/テクノロジー:

スタートアップに関わる人々、得にエンジニア達は最新のプラットフォームやフレームワークに飛びつきたがる。しかし、リリース直後のテクノロジーはユーザー数も少なく、安定していないので最初から利用するのは避けた方が良い。多少古くても自分達が使い慣れた方法で開発を進める方がリスクが少ない。たとえば経験のある技術者になればなるほどPythonやPerlなど、一般的には時代遅れと思われる言語を利用していたりする。要は求めるプロダクトを効率的に作れるかどうか。その方法論は意外とユーザーにとっては重要ではない。

 

17. 投資家:

新しい事業を始める = 資金調達が必要。と考えるのはあまりにも安易過ぎる。確かに世の中で成功しているスタートアップのその多くが有名な投資家から資金調達をしてる。しかし、可能であれば出来る限り始めは自己資金で進め,ある程度ユーザーを獲得し、会社の急成長が必要になった時に初めて外部からの出資を検討しても遅くは無い。あまりに資金調達にフォーカスしすぎるため、投資家巡りに翻弄され、プロダクト開発がままならない起業家も少なくは無い。

 

18. A/Bテスト:

最近はやりのグロースハッキング。その第一歩の一つがA/Bテストであろう。しかしプロダクトをリリースしてから日が浅いうちは分析するに値する程のトラフィックやデータの収集は望むのはかなり難しい。少ないデータ量の分析結果を元に一喜一憂する必要はない。A/Bテストを行うのはある程度トラフィックが増えてから。

 

19. 常勤スタッフ:

収益が安定するまではなるべくコストを抑えた方が良い。恐らくスタートアップにとって大部分のコストを占めるのは恐らく人件費だろう。最初のうちはアウトソースやクラウドソース、インターン等を活用し、なるべく常勤スタッフの採用を遅らせる事をオススメする。多くのスタッフをはじめから巻き込んで、後々解雇するのは会社にとって非常にダメージが大きい。

 

20. デザイン:

スタートアップのプロダクトが成功するかどうかに対してデザインの占める役割はかなり大きい。特にWebやモバイルサービスともなるとそのUIのクオリティーがユーザー獲得、コンバージョンの肝になる。しかしながら、驚くべき事に、超初期の段階ではそれすらあまり関係ないと言わざるをえない。良いデザインを作成するには時間が掛かる、そのためバージョン1の段階ではデザインにこだわりすぎる必要は無い。

 

 

最も重要な2つの事

それではいったい何が本当の重要なのか?上記を見ると全て立ち上げ時にはあまり重要ではない様に思われてします。しかし、下記の2つだけの事柄に関してはスタートアップを始めた直後から最重要項目である。

 

 

1. ユーザーに求められるプロダクト:

立ち上げ時から最も重要な事柄の一つは、ユーザーが求めるプロダクトを作る事。そしてそのクオリティーを追求する事。会社になっていなくても、従業員がいなくても、オフィスが無くても、デザインがしょぼくてもとりあえずユーザーが求めるなにかしらのプロダクトをリリースする事に注力する事。

 

2. ユーザーの獲得:

ユーザーが欲しくなるプロダクトをリリースしたら、次はユーザーを獲得する事。獲得施策は多々あるが、あらゆる方法を使ってでもどうにかユーザーの獲得をしなければならない。資金調達とか組織作りはその後だ。

 

 

 

 筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.

 

 

第6回 JapanNight開催!チケット販売開始

jpn日本のスタートアップ15チームがが海外進出を目指し、しのぎを削る第6回JapanNightの東京予選が下記の日程で開催されることになりました。当日は豪華ゲストも参加予定。イベントの詳細やチケット購入方法等の詳細は公式サイトをご参照ください。

 

【第6回 SF JapanNight開催情報】

東京予選: 10月5日(土)

場所: グラントウキョウノースタワー18階: GoogleMap

観戦方法: チケット申し込みページから

公式サイト: http://sfjapannight.com

問い合わせ: japannight@btrax.com

 

 

 

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