オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第292回 夏といえばの怖い話・奇妙な話のウラガワ(1)

◆もくじ◆

・夏といえばの怖い話・奇妙な話のウラガワ(1)

・最近の志麻子さん 
 映画『遊星王子2021』に出演 8/27から公開中!
 【配信版】月刊オメ★コボシ 9月号  9/22(水)開催
 『プロが解決!オトナLab.』でお悩み募集中
 『でえれえ、やっちもねえ』角川ホラー文庫より発売中
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 TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中

 カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
 MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

・著者プロフィール

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夏の風物詩といえば怪談。
新型肺炎がおそろしい昨今だが、怖い話も楽しみたい。

東北のある田舎町出身のハナ。子供のころ暮らしていた家では、納戸に住んでいる男性がいた。
続柄も年齢も何もかも不明なのだが……。

 

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2014年11月~19年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ
3月「どこか心残りの別れのウラガワ
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ
7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ
8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ
9月「エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ
10月「いい大人なのに未経験のウラガワ
11月「まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ
12月「私なりに引っかかる物事のウラガワ
2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ
2月「いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ
3月「もはや共存するしかないあれこれのウラガワ
4月「変わらぬもの、変わりゆくもののウラガワ
5月「子どもっぽい大人、大人になっても子どもな人のウラガワ
6月「ドライになり切れないウェットな物事のウラガワ
7月「ホラーの夏なので怖い怪談実話なウラガワ


※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

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 夏、真っ盛り。子どもの頃は、夏休み真っただ中だった八月。けれど去年からの、様々な自粛は続いている。旅行もかなり遠慮がちになるし、国外に出るのはかなり困難だ。

 新型肺炎が蔓延するまでは、夏の風物詩の怪談は幽霊、妖怪、といったものだったのに。去年からは、今もって謎大きウイルスになってしまった。

 お化け、怪奇現象を怖がれた日々が、なつかしい。幽霊や妖怪は怖いけれどときめきもあり、わくわくするものがあった。でも怖いもの全般が大好きの私だって、新型肺炎にときめいたり、わくわくしたりはできない。

 というわけで今月も先月に引き続き、新型肺炎は関係ない怖い話を書いていく。例によって全編に渡り、登場人物はすべて仮名にした上で、人物だけでなく背景などにも少々の手を加えてあるのをおことわりしておく。

                    ※

 ハナは、平成初期の生まれであるうちの子より、やや上の世代だ。東北のある田舎町の出身で、古い一戸建てに祖父母と親と兄姉と暮らしていたという。

「ああいうの、納戸っていうんですよね。窓がないか、あっても小さくて陽当たりの悪い小さな部屋。生活する部屋じゃなく、物置にするような部屋。子どもの頃、そこに変な人が住んでたんです。ケンジっていいました」

 ハナの記憶の中では、ケンジは今のハナくらいの年頃の男だ。体格は特徴のない中肉中背。鋭いとも鈍いともいえる、感情が読み取れない目つきだけが印象的だった。いつもむすっとしていたが、別に怒っていたのでも不機嫌だったのでもない。

「年齢からすれば親の弟とか歳の離れた従兄弟でしょうが、違うんです。といって下宿人、住み込みの使用人でもない。祖父母も親も含め、私達もケンジと呼んでました。
 続柄も年齢も何もかも不明のケンジ、病弱ってことも体が不自由ってこともなかったんですが、働かず外出もせず、とにかく何もせず、ずーっと納戸にいました」