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  • 窪寺博士のダイオウイカ研究記-その17

    2018-11-02 16:04
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    [本号の目次]
    1.NHK撮影班の奮闘
    2.深海HDビデオカメラ撮影システムが捉えたもの
    3.ヒロビレイカ論文の推敲
    4.我々の映像が語ること
    5.ヒロビレイカの論文発表

    NHK撮影班の奮闘

     結局「なつしま」の8時間に及ぶ深海の映像記録から、ダイオウイカは発見することができなかった。しかし、今までに見たことも撮影されたこともないような大型のイカが、大きな鰭を悠然と波打たせてカメラの前を自由自在に泳ぎまわる映像が何度かにわたり捉えられていた。
     「なんのイカだ?」 最初に見たときは鰭が三角形で大きいことからソデイカかと思われた。が、さらに映像をよく見ると、腕の先が一瞬光っていることに気が付いた。そうだ、マッコウクジラの胃内容物の調査でしばしば見つかったヒロビレイカに間違いない。あの光は第2腕の先端にある大きな発光器が光っているのだ。これこそ世界で初めて深海でヒロビレイカの生時の姿を捉えた貴重な生態映像になる。しかし、論文として纏めるためにはより多くの行動様式を撮影した映像が必要であった。
     調査期間を終えた「なつしま」が我々を乗せて帰路に就いた9月15日以降、NHK撮影班の小山ディレクターと河野カメラマンは父島に残った。小笠原水産センターの調査船「興洋」の五ノ井船長と大型漁船「勇大丸」の平山船頭を拝み倒して、引き続き10月1日から7日にかけて小笠原父島南東海域で、ダイオウイカを撮影するため「なつしま」から引き揚げた深海HDビデオ撮影システムを両船で各々16回と2回、深海へ降ろしたのである。生きているダイオウイカの映像を、この機会にどうしても手に入れたかったのだ。
     
  • 窪寺博士のダイオウイカ研究記-その16

    2018-10-19 17:47
    50pt
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    [本号の目次]
    1.深海HDビデオカメラ撮影システムの開発
    2.特注の耐圧ハウジング
    3.完成した深海HDビデオカメラ撮影システム
    4.JAMSTEC調査船「なつしま」で小笠原へ

    深海HDビデオカメラ撮影システムの開発

     三年がかりでダイオウイカの連続静止画をゲットすることが出来たが、それと並行して私もNHKの小山ディレクターもなんとかして動画でダイオウイカの動き回る映像を撮影できないかと画策していた。まずは、動画を撮影するカメラである。二年前の簡易ビデオカメラは全く役に立たなかった。映像のプロであるNHKとしては、最高の画質で撮影することが義務付けられている。時代はハイビジョンの映像が求められていた。それに合わせるように、2004年にソニーから民生用の小型HDビデオカメラ(Sony HDR-FX1)が初めて発売された。このカメラを使わない手はない。小山ディレクターの人脈でNHKの水中撮影機器の開発・製作を手掛ける後藤アクアティックスの五島さんに相談に乗ってもらうことになった。カメラには広角レンズを装着して広い画角を確保し、また照明は強い光を発することのできる大型のハロゲンライトを使うことを前提条件とした。

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    2004年発売のHDビデオカメラ(Sony HDR-FX1:パンフレットより抜粋)
     
  • 窪寺博士のダイオウイカ研究記-その15

    2018-10-04 15:01
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    [本号の目次]
    1.特別展「パール」
    2.大騒動のニュース・メディア
    3.日本のニュース・メディア
    4.ナショナルジオグラフィックの嬉しい評価

    特別展「パール」

     英国の生物系学術誌、ロイヤルソサエティー、シリーズBからダイオウイカ論文が公表される予定の2005年9月27日の前夜、私は特別展「パール」の開催に向けて、上野の国立科学博物館・地球館地下3階にある特別展会場準備室でその準備に忙殺されていた。10月7日(金)に関係者内覧会とセレモニー、そして10月8日(土)からは一般公開が始まるのだ。特別展担当責任者として、各々の展示品と解説パネルなどの確認、配布する資料や図録の準備、会場整備とオープニングに向けた最終調整など、やらなければならないことが山ほど残されていた。
     その時、交換台から英国から国際電話が入っていると連絡があった。何事かと受話器をとると、よく聞き取れないがロンドンのラジオ局のスタッフと名乗る男からインタビューをお願いしたいとのことのようである。何のことかと聞き返すと早口の英語で、ジャイアントスクイッド・ファーストタイムを何度も繰り返した。どうも論文公表の前に内容が漏れたようである。適当にごまかして電話を切ったが、また直ぐにかかってきた。仕方がないので、脂汗をかきながら拙い英語で質問に答えてなんとかその場を凌いだ。自分で聞くことは出来なかったが、深夜のロンドンでラジオから私の声が流れたのかもしれない。取材解禁前のフライイング気味だが、彼にとっては大スクープになったに違いない。その後も何度か交換台から国際電話の知らせがはいったが、交換手さんに「クボデラはこちらにはいない」と伝えるようにお願いして、二度と受話器を取ることはなかった。

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    「パール」展に出品する美術品を事前に調べる。

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    ジョー・ディマジオがマリリン・モンローに贈ったといわれる伝説のパールのネックレス。