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クリックされてなんぼ。それしかない。クリックされないと意味がないです。

柳沢 今日は二つお聞きしたいことがあるんですが。一つはネットのメディア論。もう一つは、『かみぷろ』はどうすればいいですか?(笑)。

中川 『かみぷろ』はデザインがおしゃれ過ぎますね。

柳沢 デザインがおしゃれ過ぎる!? 初めて言われました。

中川 もっと汚らしくした方がいいですよ。いかんせんきれい過ぎますもんね。WEBでうまくやるにはデザインが汚い方がいいと思ってるんで。

例えば、パソコンで『かみぷろ』のTOPページをパッと開いた時にコンテンツが6個しか見えてない。

これだけのスペースに6個しかクリックする場所がないというのはちょっともったいないですよ。

柳沢 なるほど。

山口 勉強になります。

中川 余白を削って、ここにリンク先を40個ぐらい置かなきゃいけない。

柳沢 40個も!

中川 それがまさにYahoo!なんですよ。前数えたら、ファーストビューで86ヶ所もリンクがあった。まぁ、40個ぐらい選択肢があればどれか1個はクリックするだろうと考えるわけです。

『かみぷろ』みたいに6個しか選択肢がないと、Yahoo!の86個の選択肢に負けちゃうんです。6個しか選択肢がないと、すぐに自分がブックマークしてる他の所にいっちゃうんですね。

ネットって、一度、サイトに来させたらその中でいかに回遊させるかが勝負で。平均4・5回ぐらい回遊させないとダメなんですね。それダメなサイトだと1・3回とかなんですよ。それだとアクセス数は伸びないですよね。

だからYahoo!は完全に回遊性を重視してると思うんですけど。楽天のトップだってそうでしょ。

いっぱいクリックする場所があって、デザインもクソもないんですよ、こういうサイトって。

柳沢 なるほどねえ。我々は昔のメディアの人間だから、どうもスッキリさせたがる傾向にあるんだなぁ。

『紙のプロレス』という雑誌は小さい判型で、わりとゴチャゴチャ感があった方なんですけど。まあ、サブカルっぽいというか。

中川 『紙プロ』ってサブカルでしょ!?

柳沢 いやいやいやいやいやいやいや。

中川 サブカルじゃなかったんですか?

山口 まあ、サブカルの定義にもよると思いますけどね。

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中川 だって『紙プロ』には常見陽平が出たりしてるんですよ。あいつは昔、「いい試合だあーっ!」って会場で叫んでたら「いい試合だ男」と話題になって。『紙プロ』さんに取材していただいたんですよ。

山口 え、そうなんですか!? まったく知りません(笑)。

中川 10年前ぐらいに。「いい試合だ男、ついに発見!」って。

山口 ああ、なんかあったような、ないような……。

柳沢 もう現場で編集をやってない頃でしょ。

山口 探してた「いい試合だ男」と違ったとか違わないとか、なんか後日譚的なことはうっすら覚えてますけど。

柳沢 僕らは紙媒体が本籍地なんですけど。副業でイベントをやったりしてたんです。

中川 そこですよ、それそれ。サイトはイベントの集客機能にするべき。

山口 まあ、諸事情をこじらせてしまって、いまはイベントもやってないんですけどね(笑)。

柳沢 サイトの話に戻しますけど。やっぱりクリックさせてなんぼ?

中川 クリックされてなんぼ。それしかない。クリックされないと意味がないです。

山口 ほえ〜。

柳沢 いまネットの有料課金モデルで成功してるメディアってあるんですか?

中川 cakes(ケイクス)とかけっこううまくいってるんじゃないですか。連載(『赤坂のカエル』)をやってたんですけど。あそこはページビューに応じてお金をもらえるんですね。オレ、月10万円ぐらいもらってましたよ。

オレなんかにそんなに払ってるってことは、儲かってるんじゃないかと思うんですよ。だって、他のネットニュースとかで原稿書いても1本5000円もらえれば御の字ですよ。

柳沢 cakes(ケイクス)はもちろん知ってますし、有料コンテンツのプラットフォームとして凄く期待されていると思うんですけど、まだ世の中で一般的に知られているメディアにはなっていないですよね。

中川 そうですね。

柳沢 だから、有料課金モデルで成功してるコンテンツ系のメディアってまだないのかなあと思って。

中川 オレ自身の考えとして、ネットは無料でいくべきだと思うんですよ。いかに記事が拡散するか勝負ですね。

そのためには配信先が多いってことと、元のページのページビューが多いってことと、あとはステマって言われないためにきちんとした内容を書けるライターを揃えてること。この3点が必要だと思います。

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Yahoo!トピックスを見てる人が世の中のマジョリティーかというとそうでもないと思う。

柳沢 中川さんは編集者としては、最初からネットですか?

中川 いや、最初は『TVブロス』。

柳沢 紙媒体でもやってたんですね。紙媒体からネットの編集者に変わった時は、かなり違いは感じましたか?

中川 収入が12倍ぐらいになりましたね。

山口 ほえ〜。いまは一日中、ネットに張りつきっぱなしって感じですか? 

中川 とにかく休みが1月4日と12月28日の2日しかなくて。普段は土曜も日曜もずっとネットに張りついて仕事してますよ。

こんなもんなんですよ、ネットの小作農というのは。

柳沢 『TVブロス』で仕事をする前から編集者とかライターになりたいと思ってたんですか?

中川 いや、『TVブロス』で仕事をする前は無職だったんですよ。暇そうにしてた時に誘ってもらえたんですよ。

柳沢 じゃあ、ライターや編集者になりたいと思ってたわけではないと。

中川 国立大学文系出身、元広告代理店PRプランナーで通用しなかったヤツごときの末路なんていうのは、文章を書くぐらいしかなかったんですよ。

柳沢 博報堂ですよね。

中川 ええ。そこをやめて。当時、ただお金が欲しかった。でも、普通のバイトするガッツがなかったという。その程度のことですよ(笑)。

山口 中川さん自身はサブカルの枠の中にいると思ってますか? 

中川 そうだと思います。

山口 ネットってやっぱりいまはサブカルが主軸なんでしょうか?……って、さっきから知らなくてもいいことばかり聞いてる気がしますけど(笑)。

中川 サブカルより芸能ネタですね。

山口 ああ、芸能。

中川 いまね、ネットでメディアを運営する場合、そこで書かれた内容が2ちゃんねるに行って、NAVER まとめとかTogetterとかまとめサイトに行って、それが「この話題、ネットで盛り上がってるじゃん」と一般のテレビとか新聞というメディアに拾われる。そこまで見越したものを出さなきゃダメだと思ってるんですよ。

柳沢 最近、そういう仕掛けの成功例って何かありますか?

中川 えーと、これは痛いニュースというサイトで、1日2〜300万ページビューあるんですけど。例えばこの「麦茶は地味にすごい健康飲料だった! 生活習慣病の予防効果も」。これはオレが編集したんだけど。

「地味にすごい麦茶その1」とかバカみたいな小見出しを付けると、みんな「麦茶最高」とか書いてくれるわけですよ。多分、ここを見てもうそろそろテレビが取り上げるんじゃないですか。

麦茶の効能とか。これは麦茶研究家に取材した記事なんですけどね。

柳沢 麦茶……。地味にも程があるな(笑)。