第50回 あなたもキカイダーメイクで彼の♡を射抜いちゃえ!
最近の若い女性は公共の場で化粧をすることに何の躊躇いもないらしい。本来化粧のような準備作業は隠れて行い、完成品で勝負するのが流儀ではないのか。優雅に湖面を進むスワンが水面下で足をバタつかせているように。ところが最近は努力している私!頑張っている僕!素敵!結果ではなく過程こそが尊い!という風潮の世の中である。痛ましいかぎりだ。
そういうものは個々の胸の中に秘めておくもの。それを開示するのはナルシズムだと気づいていないだけなのに…と私が嘆くのは電車の中で化粧をしている若い女性がいたから。その人は私が吊革を持って立つ前のシートに座っていた関係上、その化粧のすべてを私が目撃したから。
しかし、なぜ女性は化粧の節目節目に手を休め、手鏡にニコッと不気味な笑みをぶつけるのだろうか。他人の、いや私の目は気にならないのだろうか。バカにされたものだ。