ROAD TO プロ観戦者への道

ハセベ(*1)が聞く! 〜棈木亮二さん〜

 レース観戦素人のハセベが“プロ観戦者”をめざし選手やレース関係者に話を聞きに行く月イチ連載。

 第9回目、話を聞きに行ったのは、チャンピオンシステムジャパン(*2)の代表取締役社長を務める棈木亮二さん(*3)。会社代表としてのさまざまな視点からみたレース観戦に対する想いや考え方、アイデアを聞きました!

*1 ハセベ:2008年に突如、幼少時代に自転車でどこでも行っていた頃を思い出し、ロードバイクに乗ることを決意。ロードバイクに出会い、仲間に出会い、自転車に乗ることの楽しさに出会い、更に仕事において自転車業界に関わることにより、微力ながら寄与していくことを決意。これまでは自転車に乗ることだけに注力してきたが、この度、「プロ観戦者」になるために始動。

*2 チャンピオンシステムジャパン:自転車、トライアスロン、ランニングを中心に、クラブやチーム向けのオーダージャージ、ウェアを製作、販売。耐久性に優れたコストパフォーマンスの高い製品から、ハイエンドの高機能商品まで、オリジナルのデザインで様々なウェアが製作できる。本社は、アメリカと香港。日本以外にもアジア、オセアニア、ヨーロッパ、中東にも展開する世界のリーディングカスタムスポーツアパレルプロバイダーです。ランプレメリダ、ウィーグルハイファイブなど、世界のトッププロにもウェアを供給し、常に開発や品質の向上に努めています。
《OfficialWebsite》http://www.champ-sys.jp/

*3 棈木亮二:
2008年に株式会社Champion System Japanを設立。
2012年2月シクロクロス東京をお台場海浜公園で開催、来年2月で第6回を向かえる。
《OfficialWebsite》http://www.cyclocrosstokyo.com/
2014年11月にスターライトクロスを幕張新都心で開催、今年11月で第3回を数える。
《OfficialWebsite》http://starlightcross.com/
中学3年にサイクリングをはじめ、高校からロード、トラックで自転車競技を始める。自転車日本1周(1年)、フランス、スペイン滞在(1年半)などを経て、2000年にバイクメッセンジャーの株式会社サイクル急便(現・株式会社By-Q)を設立。


Q. 棈木さんとシクロクロスの出会いについて教えてください。

アメリカ人はイベント作りが上手い

 元々、シクロクロスは、ベルギー、オランダ、チェコで盛んでしたが、今では、アメリカでも多くのUCIレースとして展開されています。

 そんな中、私のシクロクロスとの出会いは、アメリカでクロスベガスの観戦に行ったことから始まります。最初は、そこまで興味がなかったのですが、初めて観戦してアメリカ人はイベント作りが上手い!と感じました。

 例えば、アメリカでは企業スポンサーとしての広告をがめつく引っ張ってきます。そこになくてもいい広告付きの車を置いてみたりとか、とにかくスペースがあればそこを売る!みたいな感じです。この意識は日本にはないですし、日本にも今後は必要なことだと感じています。

シクロクロスは日本に向いている

 シクロクロスのいいところは、レースが囲われたクローズドの場所での実施なので、ロードのように公共道路使用のために警察へ申請や交渉をする必要がありません。ロードのような面倒な制約がないので、シクロクロスなら日本でも結構うまくいくのではないかと思い、とりあえずシクロクロスを購入して、レースに出てみたりもしました。また、シクロクロスには、宣伝もしないし、プロモーションもしないままレースを開催している歴史があります。

 そのような流れで都市型であり、観客に魅せるレースを開催できるのでは?と思い、お台場で初めてレースを実施しました。開催までには社内外からいろいろな反発を受けましたが、とにかく分からないながらも進めてきました。お陰様で初の開催となったシクロクロス東京2012では、トップ選手であるティム・ジョンソン(当時チャンピオンシステムスポンサーライダー)などが参加してくれて盛り上がりました。


Q. これまでを振り返ってみていかがですか?

メディア主催のシクロクロス大会

 シクロクロスに関わって6年目ですが、もっと大きなスポンサーを作り、大きな広告を出してレースをしたいですね。また、メディア主催でないといけないと今は、思っています。というのも広告や告知などを広く伝える役割とイベント運営の役割は分けるのがベストだと思うからです。

 とにかくシクロクロスという見せるスポーツを作りたいんです。オリンピック種目にもまだないですが、ゆくゆくは実施させたいですね。


Q. シクロクロスの良いところは?

  1. 交通の便が良い都心で実施できるところ。
  2. 相撲のように近くで観戦もでき、レースのショーアップもできるところ。
  3. コースには草や砂のセクションもあり、レーススピードが遅いから安全です(笑)怪我しにくいです!
  4. スピードよりも体力やテクニックが大事です。ロードバイクで言うとヒルクライムに似ています。まさに根性の出し合いであり、自分との戦いであり、とにかく全力を出し切る!です。あとレース中ギスギスしないです(笑)。
  5. 年をとればとるほど楽しくなるスポーツです。
  6. 参加費が安くて何度もレースへ出ることができます!
  7. もちろん、観戦も楽しいです!チームの仲間が出ていたりすると特に。ファン同士でのコミュニティも繋がりやすく、繋がると楽しいですよ。


Q. シクロクロスの大事なポイントは?

シクロクロスは、タイヤが大事

 シクロクロスは、タイヤが一番重要なんです。そこはシリアスに考えるべきですね。ギアはその次です。砂仕様や泥仕様などがあり、その日のコンディションに合わせて何を選択するのか?が大切です。とはいえ、ロードバイクほどにシビアでもないので、良いタイヤを履いているだけでも全然違いますね。もちろん、レース中に自転車を担ぐのは大変なのでカーボンのタイヤホイールだと更に良いです(笑)。


Q. シクロクロスのレース前、レース中の見所は?

レース前

いつでも気軽に声かけて

 シクロクロスはアップするのが常でして、レース中はタイムトライアル状態です。また、チームブースがあるので、選手と触れ合えることができますし、アップは基本ローラー台で走っているだけなので、声をかけても問題ないと思いますです。時間的には30分ぐらいやっていますし、試走も走っているのでその時でも大丈夫ですよ! また、スタート時でも気軽に選手に話が聞けるのもいいところです。

レース中

スタート時の第一コーナー

 一番の見所は、スタート時の第一コーナーです。とにかく見せ場です。また、レース中は、簡単に好きなところに行けるのが魅力の1つです。大体コースの3つか4つぐらい見せ場があります。あとは、バイクを持って走るところが見せ場です。レースによっては、ジャンプするセクションとかもありますし、シケインも見せ場ですね。砂とか泥とか走行が難しい箇所があるところは、誰がどのラインで走り、勝つのかを見ると面白いですよ。それにスピードが遅いので良い写真や動画が撮りやすいです。


Q. シクロクロスの今の問題点は?

AJOCC日本シクロクロス競技主催者協会

 AJOCC(*4)や各大会の発信力がまだ弱いところでしょうか。ただ、ページは、カテゴリーの見直しや組織改善をしていて、大会情報、レース情報、リザルトも掲載しています。もっと強化していきたいですね。

*4 AJOCC:日本シクロクロス競技主催者協会
《OfficialWebsite》http://www.cyclocross.jp/


Q. 今後やってみたいレースって何ですか?

インドアシクロクロスレース

 インドアのシクロクロスレースでしょうか。既にインドアレースがヨーロッパでは盛り上がっていますし、日本でできたら最高ですね。

 あとは、オクトーバーフェスみたいなことがやりたいですね。今もレース会場では、お酒が飲めるのですが、まだあまり飲まれていないんです。お酒を飲めと言っているわけではありませんよ(笑)。今は、出展の絶対数が少ないのかなと思ってます。ゆくゆくは、ベルギーみたいな巨大なテントで、ビールコートとかフードコートとか作ったりして、イベントも楽しめて、レース観戦もできて、食べながらレース観戦とか、花火や音楽とかで盛り上げるとか、ミュージックイベントと一緒やるとか、とにかく楽しめるものを作りたいですね!

 また、テレビ放送も目標です。そのためには、観戦のきっかけとなるアイドル的な存在が欲しいですね(笑)


インタビューを終えて

 今回、日本におけるシクロクロスの成り立ち、将来性、楽しさ、面白さ、など取材させていただき、あらためて日本におけるシクロクロスの可能性を強く感じました。取材前は、シクロクロスは、冬のイメージで寒そうだし、汚れそうで大変だし、という誤った認識でいましたが、シクロクロスは、観戦しても楽しく、気軽にレース出場もでき、みんなでどこでも楽しめるという、一言で言うと”お気軽感”なのではないかと思いました。私もシクロクロス観戦、参戦へトライしてみようかと思いました。

まだシクロクロス観戦に行かれたことない方へ

 少し先のお話になりますが、2017.2.11(土)〜12(日)にお台場海浜公園で、今回インタビューに応えてくださった棈木さんが運営されているシクロクロス東京が開催されます。2016年の様子は下記のリンクからご覧いただけます。是非、会場でお会いしましょう。




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