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第0回:このブロマガの狙い
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第0回:このブロマガの狙い

2012-10-30 22:52
    後藤和智の若者論と統計学っぽいブロマガ
    第0回:このブロマガの狙い

     はじめまして。私は、近年は「若者論と統計学」を掲げて、 同人サークル「後藤和智事務所OffLine」で活動している後藤和智と申します。以前はブログなどで若者論の批判的検証などを行い、『「ニート」って言うな!』(共著、光文社新書、2006年)などの著書などもあります。

     さて、このたび、ニコニコチャンネルを開設し、ブロマガというメディアにおいて発言するにあたり、まずはこのブロマガの方向性についてお話ししようと思います。

      そもそも私は若者論を検証していく過程で、若者論批判というものが、多方面の知識や教養を必要とするものであるということを感じました。いわば「言論の総合格闘技」といった感じでしょうか。若者論に直接関係してくる立場としては、教育学や社会学などがあると思いますが、それ以外にも、若年層に関するデータを読み、そしてその構造について見通すためには統計学の知識が必要ですし、「科学」を僭称する、ニセ科学的な若者論を批判的に読み解くためには様々な自然科学や医学・疫学、そして科学哲学の知識が必要になります。労働問題に近接するならば法学や経済学も必要でしょう。もちろん私はそれらにおいて完璧に通じているわけではなく、いまだ発展途上の段階にあります。

     しかし若者論の場においては、青少年問題というものが極めて「語られやすい」ものであるという性質も相俟って、好き勝手な「視点」ばかりが乱立する状況が続いております。そしてそれらは近しい議論で閉じた空間を構成し、互いにつながりを持たないまま内輪で盛り上がっている。そしてそれらを評価する第三者がおらず、「視点」「感覚」が消費されるという状況に陥っています。

      さらに言いますと、特に若手の論客の言説は、ほとんど同世代向けの「生き方指南」的なものが多くなっており、社会の現状や問題点を照射する力を失っていると言わざるを得ません。彼らの言説の中には「社会を変える」ということを僭称するものもありますが、それはほとんど理念的なところにとどまっており、政策論などのつながりを欠いています。特にロスジェネ系の言説が一回りし、議論の主題が具体的な労働問題から「幸福」のあり方について移行する過程で、より若い世代の労働問題が取り沙汰されなくなったのは象徴的なことでしょう。

     最近では、従来の科学的手続きに則った言説は「夢を語れない」と非難するものさえいますが、少なくとも実態に基づかない、もしくは歴史的・統計的裏付けを持たない「夢」など、ただの扇動でしかあり得ません。他方で、社会や若者論の現状について「シニカル」な態度をとり、自分たちはこの社会的状況を前提として生きていくんだという言説がもてはやされたりすることがありま すが、これもまた、現状を変える力を持っていないので、「若者の生の声」として安心してメディアで採り上げられます。さらに言うと、近年、言説の正当性よりも「動員」が注目されるようになり、正当性の検証という視点はますます遠ざかっています。

     この「煽り」「動員」「シニカル」の時代において、改めてデータや確固たる学説に基づいた批判的検討というものの意義を問い直すために、私はこのブロマガを始めることを決意した次第です。最初に断っておきますが、私の言っていることは「面白い」ものではまったくなく、むしろ退屈なものであり、また「斬新な」視点を大きく欠いています。しかしそのような議論の積み重ねこそが、真に社会を変える「ツール」となるということを、示していきたいと思うのです。


     本ブロマガは3つのカテゴリーで構成されます。第一のカテゴリーは「思潮」で、主に若年層をめぐる言説に関する批判的検討を行います。第二のカテゴリーは「政策」で、青少 年に関する種々の政策を取り扱います。そして第三のカテゴリーは「科学・統計」で、主にニセ科学や統計学をめぐるトピックを扱います。


     私の言っていることは、あまりおもしろみのないものです。しかし、「煽り」や「動員」が注目され、言説の正当性というものがますます問われにくくなっている状況下において、それを改めて問い直すという姿勢を、もう一度取り戻したい。そこに当ブロマガの狙いがあるのです。

    【今後の掲載予定(原則として毎月5,20日更新予定)】
    第1回:【思潮】若者特集を読む(第1回):『調査情報』506号(2012年11月5日掲載予定)
    第2回:【科学・統計】科学は「権威主義」的か?(2012年11月20日掲載予定)
    第3回:【思潮】若者特集を読む(第2回):『ウレぴあ』2012年秋号(2012年12月5日掲載予定)

    【近況】
    ・「仙台コミケ204」にサークル参加します。
    開催日:2012年11月4日(日)
    開催場所:夢メッセみやぎ(JR仙石線「中野栄」駅から宮城交通バス「夢メッセみやぎ前」下車すぐ)
    スペース:「C」ブロック16

    ・「第十五回文学フリマ」にサークル参加します。
    開催日:2012年11月18日(日)
    開催場所:東京流通センター(東京モノレール「流通センター」駅下車すぐ)
    スペース:「オ」ブロック57

    ・「コミックマーケット82」新刊の『現代学力調査概論――平成日本若者論史3』がCOMIC ZIN及びコミックとらのあなにて委託販売中です。

    (2012年10月30日)

    奥付
    後藤和智の若者論と統計学っぽいブロマガ・第0回「このブロマガの狙い」
    著者:後藤 和智(Goto, Kazutomo)
    発行者:後藤和智事務所OffLine
    連絡先:kgoto1984@nifty.com
    チャンネルURL:http://ch.nicovideo.jp/channel/kazugoto
    サークルウェブサイト:http://www45.atwiki.jp/kazugoto/

    Twitter:@kazugoto
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    個人:http://www.facebook.com/kazutomo.goto.5
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