ついに公開となったこの夏最も熱い映画『アベンジャーズ』。世界的大ヒットを記録しているマーベルヒーロー映画の集大成ですが、これはまだまだ伝説の始まりと言わんばかりに、早くも第2作の公開日も決まっています。 そこで今回は『アベンジャーズ』の監督であり、『アベンジャーズ2』での続投も決定した、ジョス・ウェドンさんにインタビューして参りました。最後の一言にはしびれますよ! キャラクター愛に溢れる監督の言葉の数々は以下より。
 
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Kotaku JAPAN編集部(以下:K):『アベンジャーズ』の世界的大ヒットおめでとうございます! 今回は少し子供っぽい質問が多くなってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。 ジョス・ウェドン(以下:J):問題ないよ。僕も子供っぽいし(笑) K:一番気に入っている『アベンジャーズ』のメンバーは誰ですか? J:うーん、まずハルクは挑戦だったんだよね。でもすごく上手くいった。 K:僕はハルクが一番好きです(笑) J:一番楽しくはなかったのはロキ。まあ誰にとっても楽しくないんだけど(笑)。最終的に一番楽しかったのはブラック・ウィドウかな。肉体的には一番弱いメンバーなんだけど、彼女が持つ特有の力、言葉の技術を表現するのはすごく面白かった。 K:ブラック・ウィドウの描かれ方というのは、アベンジャーズ以前の監督の作品を彷彿とさせます。 J:そうだね。『アベンジャーズ』のオープニングのシーンは僕のキャリアの要訳といってもいいかもしれない。この女性は今大ピンチに見える、ところが......! っていうね(笑)。 K:『アベンジャーズ』の中で一番強いと思うのは誰ですか? J:(食い気味に)ハルク。ハルクが一番強いK:ハルクには戦略がない、戦略を立てられないキャラクターですが、それでも一番強いと思いますか? J:ソーは健闘するだろうけど、やっぱりハルクだね。 K:映画内でのハルクの肉弾戦は非常に見応えがありますが、作る際にプロレスや格闘技などの影響は受けましたか? J:そんなに見る方ではないんだけど、ハルクの肉弾戦の表現に関してはすごくこだわったよ。実際にマットを持ってきてマーク(ブルース・バナー/ハルク役のマーク・ラファロさん)と二人でとっくみあいをしてみたり。ヒーロー的、アスリート的な戦い方だけじゃなく、人が怒って路上で戦う時は一体どういう動きをするのか? といったことを考えて、ハルクがクリーンに見えないように気をつかったんだ。とにかく色んな激しさの要素を取り入れたね。 K:ハルクの戦う姿はリアルで、非常に印象に残りました。 J:ハルクが特異かつリアルに見えるように、そして彼の怒りの理由や態度が観客に伝わるように、すべてのフレームに力を入れたよ。怒りの表現として、ただ叫ばせるのは簡単だけど...実際他のスタッフがマークに15分間くらい叫ばせたりしてて、「いやいやいや、ティラノサウルスじゃないんだから」って止めたりしたな(笑)。そこでアニメーターに複数の怒りの表現を作ってもらうために、表情や動きをマークにたくさん実演してもらった。どれもすごく恐かったよ(笑)。 (※注 ハルクの動きはストップモーション・キャプチャで実際にマーク・ラファロさんが演じている) K:キャプテン・アメリカの一部シーンがカットされていると聞いたのですが、どうしてカットしたんでしょうか? J:とにかく映画の尺が長くなっちゃったんだよね。それこそ『ダークナイト』くらいに...いや、下手するともっと長かったかな(笑)。目覚めたキャプテン・アメリカがあたりを歩いてカルチャーショックを受ける、といったシーンをけっこう撮ったんだけど、ジムで一人サンドバッグを叩いているというカットだけで、伝えたいことが全部伝わるということに気づいたんだよね。こんなに長々説明する必要はないと思って、他はカットした。僕は詳しく描こうとしすぎるみたいなんだよね(笑)。 K:それらのシーンは後々DVDやブルーレイで見られるんでしょうか? J:うん。DVD、ブルーレイにはカットされたシーンがすべて入るし、僕がみんなに見てほしいと思った映像はすべて入るよ。 K:『アベンジャーズ』に他に登場させたいと思ったキャラクターはいますか? J:制作の初期段階ではどのキャラクターを登場させられるかというのが定かではなかったから、候補に上がったキャラクターは何人かいたよ。「ワスプ」はある時期有力だった。というのも、スカーレット(ブラック・ウィドウ役のスカーレット・ヨハンソン)のスケジュールがちゃんと確保できるかわからなくてね(笑)。 K:彼女は忙しいですものね(笑)。撮影の際、原作コミックのシーンをどのように再現するか、といった話をキャスト陣と話し合ったりはしましたか? J:シーンやキャラクターの理解のために当然みんな原作を読んではいたし、サム(ニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソン)は僕のような根っからのコミックファンだけど、いわゆる「ナードな部分」の表現に関しては大体僕に任せてくれたね。どうやら僕にはその資格があったみたいだ(笑) K:日本の漫画やアニメ、映画で好きなものはありますか? J:恥ずかしいんだけど、今さら『バトルロワイヤル』を見て素晴らしいと思った。今まさにハマってるね。 K:ご自身の映画作りに影響を与えた日本の作品はありますか? J:色々あるんだけど、改めてこうやって聞かれると頭が真っ白になっちゃうんだよね(笑)。でも最近リリースされてるアメリカのコミックや映画は、日本の漫画や映画に影響を受けていると思う。コミコンに行けばわかるけど、日本のアニメ・漫画関連のものとその他との割合は大体半々ってくらい、日本のコンテンツは多い。だからマーベルの発展にも影響は与えているし、僕たちのデザインの仕方や撮影の仕方にも影響は与えているだろうね。 K:コミコンの話が出ましたが、多くのイベントで『アベンジャーズ』のコスプレをよく見ます。監督は『アベンジャーズ』のコスプレをするなら誰がいいですか? J:ブラック・ウィドウをやると、ちょっとルックス的に残念なことになっちゃうからなあ(笑)。体格的にはソーに近いからソーかな。 K:コミコンには熱狂的なナードやオタクが集まります。先ほど「自分にはナードの資格がある」といったことをおっしゃっていましたが、自分が「ナード」であることを誇りに思いますか? J:もちろん。いつも思っているよ。「ナード」、「ギーク」、「オタク」といった表現はわかってない人たちが作ったものにすぎない。僕が使いたい表現はいつだって「熱狂的」なものだ。この世で最高の人々は、自分が愛するものを一生懸命愛しすぎて、周りが思わずバカにせざるを得ないような熱狂的な奴らさK:本日は貴重なお時間をありがとうございました! J:こちらこそありがとう。
映画『アベンジャーズ』は現在大ヒット上映中。ジョス・ウェドン監督の愛するキャラクターたちが躍動する姿を是非劇場で体感してみてください。なお、より作品全体の話について言及しているギズモード・ジャパンによるインタビューはこちらから。
アベンジャーズ|Avengers] (スタナー松井)
RSS情報:http://www.kotaku.jp/2012/08/avengers_director_joss_whedon_interview.html