家族から虐待され、自殺まで考えた若者の心の支えとなったのは、ララ・クロフトでした。
ドレイヴェン・ミルテンバーガーさんが最初に『トゥームレイダー』をプレイしたのは1999年のこと。当時彼はたったの3歳。引越しが続く生活のせいで、絶え間なく変化の続く生活でしたが、彼には常に『トゥームレイダー』がありました。
「家族にすら、僕の手から『トゥームレイダー』を取り上げることは出来なかったね」とブログにこのゲームへの愛を書き綴るミルテンバーガーさん。米Kotakuヘルナンデス記者はそんなミルテンバーガーさんと『トゥームレイダー』との関係が気になり、連絡をとってみることにしました。
「すぐに虜になったよ」とメールで連絡してくれた現在17歳のミルテンバーガーさん。しかし彼がララ・クロフト(『トゥームレイダー』主人公)を見つけ出した数年後から、虐待が始まります。最初は彼の父親でした。そして父親が州兵として家にいない間は、継母に虐待されていたのです。
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「彼女(継母)のほうがたちが悪かっただったと思う」とミルテンバーガーさん。しばらくして継母はまだ幼かった彼を保護施設に連れて行きます。
彼はなんとか自力で家族のもとに戻りました。しかし、そこから状況は悪化の一途を辿ります。怒りのコントロールが上手くできなくなり、うつ病にもなりました。彼の父親が頭のなかを支配します。
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15、16歳の時が最悪だった。隠れて飲酒を始めたし、自傷行為をしたりもしてた。学校では僕が「ゲイ」だという噂がたくさんあったけど...あいつらはそんな生やさしい言葉では言わなかったな。
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学校を辞めた彼は、自殺を考え始めます。そんな時でした、彼は『トゥームレイダー』の新作の話を耳にします。「強く、自立した女性」であるララ・クロフト、そんな主人公に彼はいつも惹きつけられていました。新しい『トゥームレイダー』ではシリーズが「再始動」します。この「新たに蘇る」というところにもまた、ミルテンバーガーさんは惹きつけられたそうです。これまで私達が目にしてきたララ・クロフトとは違い、この作品での彼女は傷つき、痣だらけで、脆い存在ですが、それらの困難もララを止めることはできません。
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(コレクターズ・エディションの)箱を開けた時から、目に涙が溢れてきたよ...僕にとってララは若くて、まだ未熟で、自分が何をやっているのか分かっていない女性なんだ。それが自分自身と被るんだ。
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彼女が最初に人を殺すシーンで、彼女は涙をながすんだ。これまでの『トゥームレイダー』ではなかったことだよ。僕にはショックだったね。でもね、彼女はすぐに自分を取り戻すんだ。心底恐怖を感じている時にこれだけの勇気をだせる彼女が僕は大好きだ。リアナ・プラチェットさん(『トゥームレイダー』のリードライター)が言ったように「恐怖を感じずに、勇気を持つことは出来ない」、「人生がどん底から始まったからって自分がその境遇を乗り越えれないとは限らない」。
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ミルテンバーガーさんはブログでララの旅がどう彼自身に影響を与えたかを書き記しています。「自分の頭に浮かんだんだ、どうすればはじめからやり直せるのかって...物事を気にかけることのできる、全く新しい人になるには...生き抜くことを気にかける人に。」
そして、新たに蘇った『トゥームレイダー』が彼の目の前に現れたのです。彼は飲酒や自傷行為を辞める決意をし、高校卒業資格をとるための準備を始めました。彼は自分自身の性に関しても受け入れ始めました。
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ララが僕に教えてくれたのは、「常に前進あれ」ということ。僕の人生を救ってくれた言葉だよ。
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180度の方向転換をした彼は、「ララは、弱気になっていた当時の僕の力となったんだ」と語ります。彼の現在の目標は『トゥームレイダー』を開発したクリスタル・ダイナミックスで働くことです。ララ・クロフトのように困難の中から自分の強さを見つけたミルテンバーガーさん、夢に向かって突き進んで欲しいですね。
[via Kotaku]
(abcxyz)
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