ディストピア。それは暗く妖しい魅惑の世界。
ディストピアは一般的に望ましくない未来の姿として描かれますが、心ひそかに「こんな世界になったら」なんて、ちょっぴり憧れたりもしますよね。
そういったSF作品には、何かしらグッと来るテクノロジーや設定が用意されているものですが、では実際にそれらを使って世界を支配するとなると...いろいろと問題がありそうです。
『ブレード・ランナー』、『マトリックス』、『1984』など、SF作品に登場する7つのネタでその例を見てみましょう。憧れのディストピアを実現すべく世界征服を考えているアナタも、ぜひ参考にしてみてください!
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1. 人間と見分けがつかないほどのヒューマノイド
映画『ブレード・ランナー』は、人間が自分たちと同じ外見を持つレプリカントを作ってしまったがために、後々その存在に手を焼くことになるお話。
人間そっくりのヒューマノイドが出てくる作品はほかにもたくさんありますが、その多くが「人間に似ていること」を原因に問題が生じています。感情の芽生えた彼らが自己の存在に苦しむ、同じ姿なのに人間が支配する世界に疑問を感じる、などなど。
こういった作品の奥にあるテーマは、人間に似ている何かの姿を通して、人間らしさとは何かを問うこと。人類に「人間性の大切さ」を訴えたいならともかく、ただの道具として使いたいなら、人間の姿に似せるのはやめましょう。デメリットの方がはるかに大きいです。
2. 大規模監視ネットワーク
ジョージ・オーウェルの小説『1984』では、人々を完全支配しようとする政府が、「テレスクリーン」と呼ばれる監視システムを生活のあらゆる場所に設置します。
家でも職場でも、ただ道を歩いているときでさえ、人々は毎日監視、盗聴され、少しでもルールに外れた行動をすると、ただちに危険人物としてマークされます。政府が課している「体操の時間」の体操をちょっとダラダラやっただけで、テレスクリーン越しに注意されちゃうんです。
が、この作品を読むと出てくる大きな疑問がひとつ。一体誰がその膨大な情報をチェックしているのか? 多くの人間の行動を逐一もらさず監視するには、それだけ多くの監視員が必要になります。さらにその監視員にも監視員が必要なはず。そしてその監視員の監視員にも...。
テレスクリーンを設置する最大の目的は、人々に「監視されている」恐怖を植えつけることなので、実際の監視体制はそれほど関係ないかもしれません。また現代にそんなテーマの小説を書くとしたら、監視はきっとコンピューターが行うんでしょうね。
一番いいのは、人間の脳の動きを完全に把握するデバイスを埋め込むことでしょうか。でもそれができるなら、いっそ脳内ハックしちゃえばいいのに、と思います。
3. 簡単に隠せるような「反逆者の印」
焼き印など目に見える印なら、何かで覆ったり、上から塗ってしまえば終わりです。対抗するグループがその印を真似てコピーするのだって、それほど難しくないはないでしょう。
もし、同じ印(のコピー)をつけた人間がそこら中にあふれてしまったら、本当に捕まえたい相手を見つけるのにもひと苦労。体にICチップを埋め込むとか、生体認証のほうが有効です。
4. ゾンビ細菌兵器
あなたが征服したい場所があるとして、そこの住民をゾンビ化する細菌をばらまくとどうなるか―。
抵抗する意志や力がなかった人間まで、周りを見境なく襲う凶暴なゾンビになりますよ? そんなやっかいな大集団をわざわざ作ってどうするの? ってことで、やめておきましょう。
5. 捕虜を闘技大会に出場させる
もう展開まる見え。
支配者がこんなことをするのは、集まった民衆に自分の力を見せつけ、体制に逆らう意欲を失せさせることにあります。ところが―。
相手の何十倍もの大きさのモンスターや巨人をせっかく用意しても、「そんなバカな!」なんて言ってるうちに倒されちゃって、矛先は結局自分に向くことに。ヘタしたら集まった民衆が便乗して暴動を起こさないとも限りません。
相手に武器を持たせない、は鉄則です。
6. 遺伝子組み換えで強化された人間
SF映画にしばしば登場する、遺伝子を操作して作られた、いわゆる「優れた人間」と、それ以外の人間に二分化された社会。でも実際にそんなことが可能かというと...答えはノーらしいのです。
現実でも、特定の病気を遺伝子レベルで治療するといった研究は行われています。でも、誰もがうらやむような特性をすべてあわせ持つ「スーパーチャイルド」を生み出すことは、実に多くの専門家が「まず不可能」と言っているそう。
理由は、遺伝子は新しい組み合わせによって何が起こるかわからない、まだまだずーっと未知の領域だから。闇鍋のように自分の好きな物ばかり入れたところで、本当においしい料理ができるかわからないのと一緒です。
それに、どんな人物に育つかは後天的な影響も無視できません。莫大な費用と手間をかけて「優れた人間」を作ったつもりでいたら、大人になって結局ほかの人と何も変わらなかった、なんて可能性もありますよ。
7. 人間をエネルギー源として使う
映画『マトリックス』でネオが目覚めるシーンは衝撃的でした。何千何万の人間電池から電力を...という話でしたが、実はただ寝ている人間から得られるエネルギーより、その人間を生かすのに使われるエネルギーの方がよっぽど膨大です。全人類に自転車をこがせたとしても、同じ数の電球がつく程度でしょう。
また、仮に熱力学の法則を無視して生物から十分なエネルギーが得られるとしても、なんでわざわざ人間なんでしょう? ブタを使っていたら、メンテナンスの必要な仮想世界(マトリックス)を作る必要もなく、救世主ネオに反撃のチャンスを与えることもなかったのに。
[via io9]
(さんみやゆうな)
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