クロニクル


ひょんなことから手に入れた超能力の影響で、それぞれの青春、友情、運命が変わっていく男子高校生3人組を描く映画『クロニクル』が、9月27日(金)に公開されます。

低予算でありながらも、本作が全米初登場一位の大ヒットとなったのは、重厚な内容と見事な撮影・演出のおかげ。そこで今回は、脚本を担当したマックス・ランディスの語る『クロニクル』のストーリー制作秘話を、最新場面写真とともにご紹介します。
 


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つい最近、「『ワンダー・ウーマン』(DCコミックの人気女性キャラクター)の映画化に向けてアイデアを練っている」と表明し、話題となったマックス・ランディス。「DON OF GEEK!」、「COMICBOOKMOVIE.COM」、「COLLIDER」に掲載されたインタビューによると、彼は『クロニクル』において、似たような「特殊能力」について描いてはいるものの、昨今のスーパーヒーロー映画とは全く異なる物語を目指したようです。

以下、インタビューの抜粋です。

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『クロニクル』は、その他のスーパーヒーローものへの解毒剤のつもりで書いた。多くの人が、大掛かりなセットやコミックで起こるアクションだけが映画ではないということを忘れつつある。多くの映画がそういう作品の後に続くから、最近は似たような映画ばかりだ。そこで本作では、あえてコミック的要素を加えて、最近のコミック映画に対する僕の怒りを爆発させた。そして、同時に何が人を「ヒーロー」にさせるのか? を分析しようとしたんだ。

僕が『クロニクル』を書いたのは、「力」を持った者たちが迎える道は決まっていないと、映画を通して示したかったから。この映画は、『キャプテン・アメリカ』よりも『キャリー』に近いかもしれない。『キャリー』のキャリーはヒーローじゃなかったし、『シャイニング』のダニー・トランスも違う。『クロニクル』の主人公であるアンドリュー、マット、スティーヴもヒーローかどうかはわからない。僕は、よくある構成とは違ったキャラクターたちに焦点を当てた映画を作りたいと常々思っているんだ。

『クロニクル』はスティーヴン・キング作品のような映画ではないけど、間違いなく、よくある映画にはないエッジがある。僕はスティーヴン・キングの大ファンだから、彼の映画にあるエッジを取り入れたかった。とにかく、このストーリーにはファンタジーのような世界は存在しない。最終的な結果は、橋から落っこちる女の子を救う『スパイダーマン』のようにはならない。よりシリアスな結果がそこにはあるんだ。


僕にとっては、プロットの工夫よりも、キャラクターこそが映画を面白くさせる力を持っている。自分の学生時代が主人公のアンドリューに似ているとは言えないけど、僕も学校に友達はそれほどいなかったし、気持ち悪くて不気味な奴だったと思う。アンドリューはすごく頭のいい奴でもなければ、気持ち悪い奴でもないけど、言ってしまえば、くだらない奴の中の一人だ。そして、彼はそういうのをエサにする連中の犠牲者になる。自分自身の経験からキャラクターを生み出すのが正しいとは言わないけど、そういったアイデアが観客にリアリティを感じさせることができるんじゃないかとは思うね。


この映画はある日突然、3人の高校生たちが超能力を手に入れたところから始まる。でも、最初は神のような「力」に思えたものが、コントロールを失った時、よりダークなものへとなっていく。そして、彼らはダーク側へと巻き込まれながら、「力」という共通の秘密を持つことで強まっていた絆を試されていくんだ。

「力」は必ずしも自分自身を壊滅させるわけではない。悪化させてしまうだけ。たぶん何も壊滅することなく「力」を得ても、被害妄想の強い人や怒りっぽい人だったら、そこに注視してしまう。もし人々が火事にあって、人々を守る時が来ても、そういった人達はたぶん「力」を持っている人があるべき姿をとらず、より事態は悪化するんじゃないかな?

人は目の前で起きたことを無視できないし、否定できない。「力」を使ったら、そしてもし使っている姿を目撃したら、世界は変わってしまう。それが『クロニクル』で描いていることなんだ。物事はどんどん違った方向へと向かっていく。起きたことを覆い隠すことは不可能なんだとね。

そして、この映画の中で、僕にとってポイントとなっているのは、破壊的な「力」の孤独。彼らの年頃だと、何か一つでも間違いを起こすと世界の終わりのような気持ちになるものだよね。行き詰まってしまうことは悪い事じゃない。でも、そういった時に感情的で傷つきやすい状態にあると、全て悪い方向へと考えてしまう。そして、それは孤立する傾向だ。

『クロニクル』はファンタジーやSFといったジャンル映画のつもりで作ったわけではない。決して現実離れした話ではなくて、郊外に住んでいる、生活も完璧とはいえない若者たちを描いたストーリーだ。彼らをおもしろおかしく見せるような誇張もしていない。多くの人の共感を呼ぶものにしたかったからね。

安易に良い結末を迎えたり、スーパーヒーローになったり、救済を与えられたりというのは、すごく意図的だ。もし、普段しないような行動をとっていたら未来は明るかったかもしれない......でもそうはならない。そういった、感情に直面した時の正しくない判断を描いているのが『クロニクル』なんだ。


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場面写真


続いて、主人公アンドリューを演じたデイン・デハーンは、次のように語っています。

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撮影前に『AKIRA』と『エレファント・マン』、それとドキュメンタリー映画を2本、監督から渡された。強力なパワーを手に入れた人間が、世界にとって最善なことだけをやりたいと思うなんてありえないと思う。やってはいけないようなことを誰もがやるんじゃないかな?


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二人の言葉の通り、『クロニクル』は「超能力が使えたとしても、決して人生がバラ色になるとは限らない」という物語を描いた、極端に言えば冷酷な作品。

「力」を得ること、そしてそれを使うことで翻弄されていく主人公たちを見ていると、「怖い」とすら感じてきます。そういった絶妙に感情を揺さぶってくるシリアスさ、リアルさは、昨今のスーパーパワーの登場する映画では体験できないものなので、是非劇場でご覧ください。

『クロニクル』は9月27日(金)より2週間、首都圏限定ロードショー!! 期間が短いので、お見逃しなく。

配給:20世紀フォックス映画
(C)2011 Twentieth Century Fox


『クロニクル』公式サイト
Max Landis interview: Chronicle, comic book movies and more[DON OF GEEK!]
CHRONICLE: Exclusive Interview with Writer Max Landis[COMICBOOKMOVIE.COM]
Writer Max Landis Talks CHRONICLE 2 Featuring the World's First Super-Villain[COLLIDER]
CHRONICLE Screenwriter Max Landis Planning WONDER WOMAN Pitch for Warner Bros.[COLLIDER]

スタナー松井

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