今回は、アカデミー賞複数ノミネート映画『レスラー』、アカデミー賞主演女優賞獲得映画『ブラック・スワン』などの名作を生み、本作も全世界で大ヒット中のダーレン・アロノフスキー監督にインタビューして参りました。
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一部で話題となっていた、公開日が『レスラー』と同じ6月13日である件、そして新作のタイトルが『ノア』である件に関しても伺ったところ、思わぬ展開に......。インタビューした時点で、触れたメディアは世界でもコタク・ジャパンのみ(!)だったそうです。
――本作の『ノア 約束の舟』もそうですが、監督の作品はどれも主人公が肉体的、精神的苦痛や孤独に耐えていく、立ち向かっていくさまを描いたものが多いです。そういった状況下の人間の姿をエンターテイメントへと変換することに、監督はなぜ魅力を感じるのでしょうか?
ダーレン・アロノフスキー(以下、ダーレン):正直なところ理由はわからないですね。自分でコントロールしているわけではありません。
自分がそういった物語をドラマチックだと感じる、そういったテーマに情熱を感じるというのはありますが、キャラクターが勝手にそういう風に物語を描いています。もちろん作品が完成するまでには大変な努力があるので、すべてが勝手に動くわけではありませんが、キャラクターが引き起こしているとしか言いようがないですね。
――本作には聖書では描かれていない場面もあるようですが、物語を構築するにあたって、描写の取捨選択の判断はどのように行ったのでしょうか?
ダーレン:すべてが恣意的というわけではなく、基本的には聖書にあるいくつかの章を元に作っています。元の聖書にある物語を否定しようとしたりは一切していません。
聖書での描写はなぜ描かれたのか? どのように描かれたのか? このように描かれたことにどのような意味があるのか? を私達は理解しようとしました。同時に題材に対して、そして題材に込められたテーマにできるだけ誠実であろうと努力しました。そして、それに命を吹き込む方法を考えたんです。
――「ウォッチャーズ」という聖書ではあまり触れられていない堕天使が活躍しますが、彼らを本作に登場させようと思ったのはなぜでしょうか?
ダーレン:確かに、彼らに関してはノアの章でもわずかな描写しかありません。ただ一点、「堕天使」と書かれているだけです。ただ、書かれている以上、例え手がかりが少なくても彼らをどうにか入れる手段は考えなければいけないと思いました。そして、最もドラマチックな形でノアの物語へつなげようとしたんです。
――ノアの物語以外で、ご自身が影響を受けた聖書の章や場面はありますか?
ダーレン:もちろん。旧約聖書には興味深い物語がたくさんあります。映画として面白い可能性を秘めた物語も多いです。なので、今年公開予定のモーゼをテーマにしたリドリー・スコット監督の『Exodus: Gods and Kings(原題)』はすごく楽しみにしています。
――映画『レスラー』が公開された当日、日本の有名なプロレスラーである三沢光晴さんがリング上の事故で亡くなりました。そのため、日本では『レスラー』に特別な思いを抱いている観客が少なからずいます。それから5年後の今年、同じ6月13日に『ノア 約束の舟』が日本公開されます。そして、三沢光晴さんが率いた団体の名前も「ノア」、『プロレスリング・ノア』という名前です。偶然というには運命的だと感じるのですが、監督はこのことをご存知でしたか?
ダーレン:本当に? 知りませんでした。すごい偶然の一致ですね! 驚きました。今まで誰も教えてくれなかったので、とても悲しい出来事ではありますが、聞けて良かったです。とても興味深い話をありがとう。
よっぽど心に響いたのか、インタビュー後、この運命的な偶然の一致に関して監督はツイートをしています。
heard this: 5yrs ago on 6/13/09 #thewrestler opens in #japan, same day famed local wrestler Mitsuharu Misawa dies in ring. now, 5yrs (cont'd
— darren aronofsky (@DarrenAronofsky) 2014, 5月 14
---------------------------------------(cont'd) later to the day on 6/13/14 Noah opens, get this Misawa's promotion is called Pro-WrestlingNOAH, look: https://t.co/qByUjbO4hp
— darren aronofsky (@DarrenAronofsky) 2014, 5月 14
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割愛しましたが、終盤は監督からの日本のプロレスに関しての質問を筆者が受けるという、わけのわからない状況に。「近日中に都内で興行があるなら、連れて行ってほしい」とのお言葉もいただきました。監督のスケジュールの都合で残念ながら実現しませんでしたが、プロレスファンやってて良かった!さらには、筆者が当日着ていたTシャツをえらく気に入り、「『ノア 約束の舟』Tシャツがあったら交換してもらうんだけど」との一言。せっかく褒めていただいたので、後日購入してプレゼントしました。そのTシャツがなんと、プロレスラーのザ・グレート・サスケさん率いるユニット「ムーの太陽」のもの。
ザ・グレート・サスケさんといえば、一時期映画『レスラー』、『ブラック・スワン』にちなんだコスチュームで試合をしていたほど、ダーレン・アロノフスキー監督作品がお好きな方。これもまた運命的です。まさかTシャツを通して監督の心を掴むとは、さすがマスターサスケ......。なんてありがたいんだッ!
そして、監督からはお返しにサイン色紙をいただきました。
ダーレン・アロノフスキー監督のサイン(筆者着用のTシャツは監督へプレゼントしたものの色違い)
「OFF THE TOP ROPE.」(トップロープから)のメッセージ入り! 監督が「ムーの太陽」Tシャツを着用した写真も後日送ってくださるとのことだったのですが、残念ながら記事執筆時までには届きませんでした。でも、いつまでも待っています!映画『ノア 約束の舟』は6月13日(金)全国ロードショー。
(スタナー松井)
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