難解映画の巨匠が撮影したら、ヒーロー映画も哲学的な内容になってしまうようです。
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自らの能力をひたすら問い続ける散文詩的な映像と、自問自答の嵐。イングマール・ベイルマンが『ザ・フラッシュ』を撮影していたら、こんなヒーロー映画になっていたかもしれません。



イングマール・ベルイマンは形而上的なセリフ回しと映像表現で知られる、スウェーデン出身の映画監督。死神と騎士との対話を描いた『第七の封印』や、凌辱された少女と父親の復讐劇を描いた『処女の泉』など、数多くの名作を残す20世紀を代表する巨匠の1人です。

そんなベルイマン監督が、もしスーパーヒーローを題材に映画を撮っていたら? という「if」を形にしたのが、ご紹介するショートフィルム『What if Ingmar Bergman Directed The Flash?』。ヌーベル・ヴァーグでも絶賛されたベルイマン監督の手法を再現しつつ、超高速の世界をハチドリの死の瞬間に比喩するなど、暗く暗示的な表現が新鮮です。


イングマール・ベルイマン

悪夢から目覚めるフラッシュ


さまよいフラッシュ

さまよえるフラッシュ。「音よりも速い。光よりも....神よりも?」


追憶のフラッシュ

宿敵キャプテン・コールドやゴリラ・グロッドを追憶するフラッシュ


リバース・フラッシュ

死の影(リバース・フラッシュ?)から逃れられないフラッシュ


自問自答フラッシュ

「あなたは何に苦しんでいるの?」....「君の言葉は遅すぎる」


この作品でのフラッシュは「死の影が超高速の世界をも追い越してしまうのではないか」と恐怖しており、他の人々と世界を共有できない孤独な自己の存在に、ひたすら悩み続けています。最後には「ただの男であり、ただのフラッシュなのだ」と考えるのですが、その背中から悩みの色が消えた様子はありません。

『What if Ingmar Bergman Directed The Flash?』を撮影したのは、ニューヨークをベースに活動する映像作家のパトリック・ウィレムスさん。この作品は10月にアメリカCWで放映開始予定のTVシリーズ『ザ・フラッシュ』を記念して制作されたものだそうです。

重たすぎる内容がかえって笑いを誘うあたりが、良くできたパロディ作品ですよね。


What if Ingmar Bergman Directed The Flash?[YouTube]

キネコ

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