今は忘れられた80年代の偉大な映画作りの秘訣10選
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80年代って良作映画の宝庫。『ロボコップ』や『死霊のはらわた』、『ザ・フォッグ』など80年代のリメイクが続々登場するのも、その素晴らしさが認められているからに他ありません(ネタが無いというのも否定できませんが...)。

しかし、80年代の映画って、今の映画業界で再現出来るものなのでしょうか? 特殊効果の技術は当時とは比較にならない程進歩しましたが、80年代の映画には今とは違う何かがあるのです。

今日は、io9がまとめた「今は忘れられた80年代の偉大な映画作りの秘訣10選」を紹介したいと思います。これを読めば、今の映画に足りない何かが分かるかもしれませんよ。


■プラクティカル・エフェクト

クローネンバーグのボディ・ホラーからアクション映画に登場する気色悪いクリーチャーにいたるまで、80年代では数々の素晴らしいクリーチャーエフェクトが使われてきました。

今でも使われているスペシャル・エフェクトではありますが、VFXがこうも幅をきかせてきている昨今では、80年代ほどプラクティカル・エフェクトは一般的ではなくなってきています。

勿論、CGのクリーチャーだって素晴らしいには変わりありません。しかし、CGでは、シリコンやゼラチン、串やワイヤーといったもので作られたクリーチャーの気持ち悪さや不気味な食感を表現しきれない時が少なからずあるのです。プラクティカル・エフェクトで作られたクリーチャーの映画が増えることを望んで止みません。


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■登場人物の設定に時間をかける

80年代の映画は、今よりもゆっくりとしたペースで物語が進みました。今の映画やドラマやゲームのスピードに慣れている人が古き良きクラシック映画を見たら、その慎重で丁寧な脚本に驚くかもしれません。

近年は、テキストメッセージなどのコミュニケーションツールを使えば簡単に関係性を説明出来たりするからか、登場人物同士がじっくりと向き合いながら設定や人間関係を構築することが珍しくなってきているようです。しかし、もう少しだけ登場人物の人間性や関係性を表現するのに時間をかけたなら、視聴者は彼らの今後の展開により注目したり、感情移入しやすくなるでしょう。


■友情や友愛のシーン

登場人物の設定に時間をかけるという他に、80年代の映画にはリアルな友情や仲間意識が見られます。

例えば、『グーニーズ』や『スタートレック』といった映画には、嫌悪やわざとらしい口論が無い、本当に仲のいい人達で構成されたグループが登場しています。


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■子供らしい子供

真の友情を描くことに加え、80年代の映画には、よりリアルで真実味があり関係性のある子供達や子供同士の友情が数多く登場します。

勿論、今の子役に問題があって、それらを表現するだけの能力が無いというわけではありません。ただ、今の映画は、我々が身をもって知っている「子供の持つ暗さや危うさ」を捉えきれていないものが少なく無いのです。最近の子供は飾りだったりお荷物だったり、無駄に下品だったり、人質のように扱われたりしていますが、80年代の映画に登場する子供達は、不完全でよりリアルでした。

それだけでなく、80年代の映画は家族がどのような形で子供達と関わっているのかというのを上手く表現していました。

他にも、家族に関する映画で無かった場合でも、主人公が彼/彼女の友人や恋人と接すると同じくらい、親や親戚とどんな関係を築いているのかという点に多くの時間を割いていました。


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■階級意識

80年代の映画には「ギラギラした本物意識」や「階級から来る意識」が存在しました。例えば、『E.T.』は汚いキッチンや散らかったベッドルームを見せることを恐れず、子役のヘンリー・トーマスは「ヘナチン!(penis breath)」と叫びます。

また、『ポルターガイスト』では、カップルが映画用の美しいセックスを披露する代わりに、たまり場でマリファナを吸っています。今の映画で誰かの家が登場したら、汚れひとつなく完璧に整えられており、人々は完璧なまでに美しくセクシーなセックスをしていることでしょう。


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■ 小規模にまとめる

映画は短いに限ります。観客の尿意を配慮することなく、監督の自己満足で3時間もダラダラと続ける必要は一切ありません。登場人物の設定を構築するのに時間を割いていると上の項目で書きましたが、80年代の映画は、そうでありながらエンドロール含めて90分で終わり、観客をトイレへ行かせてくれたものが多いのです。

また、登場人物が巻き込まれている事件や事故や災害を映す前に、わざわざ街全体が破壊される派手なシーンを入れると言ったようなこともありませんでした。


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■印象的なテーマソング

80年代には、ロックなギターサウンドが印象的なテーマソングが数多く作られました。例えば『ゴーストバスターズ』のテーマは、今でも私たちの頭にこびりついて離れません。

『007』シリーズは今でも象徴的なテーマソングを使っています。1997年に公開されたオリジナルの『メン・イン・ブラック』辺りから数年前に公開された『メン・イン・ブラック3』辺りまで、映画界ではテーマソングを作るのをやめてしまったようです。『MIB』に至っては、歌やラップを起用しています。

今こそ、新しく印象に残るテーマソングを作る時ではないでしょうか。


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■皮肉無しの怖さ

ホラー映画を除いて、最近の映画は十分に緊張感のある恐怖が出てくることがありません。そして、恐ろしいモンスターや背筋がゾクゾクするようなサスペンスは、皮肉やからかい、冗談といったもので和らげられたり過度に演出されたりしている傾向があります。

小難しいものや小細工したものはもう結構。ここら辺で純粋にクレイジーなモンスターアクションや古き良き大絶叫映画を復活させようではありませんか。

また、80年代は子供映画といえども容赦ない怖さで攻めていました。その代表作が『E.T.』と『グーニーズ』です。


■より大胆な風刺

コメディアンが作るコメディは別として、昨今は風刺映画が少なくなってきています。特に、コメディ映画以外での度を超えた政治風刺は滅多にお目にかかることがありません。『ロボコップ』や『エイリアン』は、80年代の組織や団体文化を手厳しく風刺しており、観客に真剣に考えさせるきっかけを与えました。

Back to Our Future: How the 1980s Explain the World We Live in Now--Our Culture, Our Politics, Our Everything』の著者であるデビッド・シロタ氏は、80年代は『スオペースボール』や『トップシークレット』を始めとするドタバタ風刺コメディも数多く作られた、と話しており、『バック・トゥー・ザ・フューチャー』や『クルー』といった「アドベンチャーコメディ」や「ミステリーコメディ」のようなコメディと別のジャンルを組み合わせた映画を懐かしく思うと記しています。


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■より良いヴィランやモンスター

ヒース・レジャーのジョーカーは言うまでもなく素晴らしい悪役ですが、観客は彼の他にも「これは...!」と思わせてくれる映画の悪役を求めています。最近のヴィランはヒーローへの純粋なる復讐もしくは非常に曖昧な目的で悪事を働いており、わめき散らしてから大暴れする場面が登場する傾向があります。

いつになったら『コナン・ザ・グレート』のタルサ・ドゥームや『レイダース/失われたアーク』のルネ・ベロックのような、明確なゴールがあって、その目的を達成するために綿密に計画するようなカリスマ性のあるヴィランが登場するのでしょうか? 


10 Forgotten Secrets of Great Movie-making From The 80s[via io9]

中川真知子

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