映画史に残る最高の銃撃戦9選


アクション映画に欠かせない「銃撃戦」。大きな見せ場なので作る側も気合を入れて撮影されるシーンですが、今回はそんな銃撃戦の中でも「映画史に残るであろう最高のもの」をご紹介します。


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選んだ基準は技術面だけでなく、後に作られた映画やゲームにインパクトを与えたもの。また、決闘ではなく純粋に銃撃戦だけを順不同でまとめています。


『上海から来た女』 (1947)


『市民ケーン』で知られるオーソン・ウェルズ監督が、シャーウッド・キングの小説を原作に映画化し、妻であるリタ・ヘイワースとウェルズが共に主演した作品。本作のラストに登場する「鏡の部屋の銃撃戦」が後出のフィルムメーカーに与えた影響は計り知れません。中でも有名なのは『燃えよドラゴン』のラストでしょう。


『ワイルドバンチ』 (1969)


1960年代の荒れ狂った時代を映し出すように、ハリウッドではそれまでに無いくらい暴力が描かれていました。1967年に『ボニーとクライド』で「どんな暴力的な最後を描くか」に挑戦すれば、1969年の『ワイルドバンチ』では「どのように暴力的な最後を描くか」に挑戦するといった具合でした。

本作は、「現代のフィルムメーカーに影響を与え続ける銃撃戦を撮る方法」の根本と言える作品で、複数のマルチカメラの使用、異なる撮影スピード、暴力シーンの比較といったものが使われています。『ワイルドバンチ』は「残酷さ」を芸術的に描くことに成功していると言えるでしょう。


『タクシードライバー』 (1976)


伝統的なハリウッド映画の銃撃戦は、銃が火を噴いたところで画面が切り替わり、撃たれた場面が映し出されるという撮り方をされていました。1960年代、イタリアのセルジオ・レオーネ監督が、銃を撃って弾が体に当たるまでを同じフレーム内に納めて、より暴力的に見せる撮り方を採用しました。

それから10年、『タクシードライバー』で同様のテクニックが採用され、単なる銃撃戦とは異なる「地獄のような痛みと残虐性の描写」に成功しました


『ターミネーター』 (1984)


本作はアーノルド・シュワルツェネッガーを不動のスターダムにのし上げただけでなく、ジェームズ・キャメロンを大物監督の一人に仲間入りさせました。

この後に作られた80年代のアクション映画で、シュワルツェネッガーは非現実的なスーパーヒーローとして描かれた一方、その幾つかからは、さりげなく『ターミネーター』を意識していることが感じられます。


『アンタッチャブル』 (1987)


ブライアン・デ・パルマ監督の『アンタッチャブル』の有名なシカゴ・ユニオン駅での銃撃戦は、名作『戦艦ポチョムキン』の「オデッサの階段」シーンを引用しています。この「オデッサの階段」シーンを知っていれば、より興味深く観られるのは勿論ですが、予備知識なしでもシーンとしても映画の流れとしても楽しめる完成度の高い銃撃戦と言えます。


『狼/男たちの挽歌・最終章』 (1989)


バイオレンス映画の巨匠であるサム・ペキンパー監督同様に、ジョン・ウー監督も銃撃戦を複雑に編集し上手くまとめる天才です。また、ペキンパー監督と同じく、ウー監督も絵的なスリルを楽しむだけでなく、単に銃撃戦を撮るのではなく、そこにちょっとした工夫を加えています

例えば、ペキンパー監督が頻繁に「純真」や「純潔」といったものと暴力を並列に置いたように、ウー監督も暴力との対象に宗教を使っています。今となってはお馴染みとなった暴力シーンのハトは、クリスチャンであるウー監督が『狼/男たちの挽歌・最終章』で初めて登場させました。

ちなみに、『男たちの挽歌』や『ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌』の銃撃戦の方が技術的には上と言えるかもしれませんが、他の作品に与えた影響や、ウー監督のシンボル的ハトの始まりという点で本作が選ばれています。


『ニキータ』 (1990)


ヨーロッパ映画と言えば、恋愛やドラマが得意という印象が強く、リュック・ベッソン監督の『ニキータ』が登場するまでハードなアクションで成功するとはあまり考えられていませんでした。本作で描かれたシンプルでありながらも心理的に複雑であり、非常に緊張感のあるこのシーンは、最高の銃撃戦のひとつと言えることでしょう。

また、アナログな「バレットカム」ショットは数多くのフィルムメーカーに真似され、多くのゲームで使われています。


『ヒート』(1995)


この銃撃戦のすごいところは、芸術性の高さだけでなく、ロスアンゼルスのダウンタウンの真ん中で撮影されたということです。このシーンは、後の映画やゲームに多大なる影響を与えています。


『マトリックス』 (1999)


『マトリックス』はハリウッドのアクションシーンに新しい風を吹かせた作品です。超スローモーション、バレットカメラ、ワイヤアクション、そしてCGI...。また、ロビーでの銃撃戦ではリアリズムが加味されており、特に弾丸の雨の下で背景がどのように崩壊するのかが追求されています


[via Kotaku

中川真知子

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