90年代初頭の作品であるにも関わらず、今もストーリー、CG技術において全く色褪せない傑作恐竜映画『ジュラシック・パーク』。
シリーズ3作目から14年の時を経て新作が公開されることとなり、再び恐竜熱が高まっている中、今回は本作の知られざる(?)知識をご紹介します。
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1)『ジュラシック・パーク』では、それまで考えられなかったような動きを見せる恐竜が登場します。当時としては非常に難しいことを達成したわけですが、最も困難だったのが、ティラノサウルスの登場に併せてダッシュボード上のコップに入った水が振動するシーン。
実はこのシーンは、『September』で超有名なアース・ウィンド・アンド・ファイアーからインスピレーションを得て生まれたもの。『ジュラシック・パーク』のストーリーボードを描いていた頃、スティーブン・スピルバーグ監督は車内でアース・ウィンド・アンド・ファイアーを大音量で聞いており、低音でバックミラーが揺れているのを見て、映画に使おうと思いついたそうです。
しかし、このコップの水が揺れるエフェクトは想像するほど簡単ではありませんでした。その問題を解決したのは、エフェクト・スーパーバイザーのマイケル・ランティエリ。彼は撮影前日まで、水の振動をどう表現すればいいのか頭を悩ませていましたが、音の鳴っているギターの上に水の入ったコップを乗せてみると、一定の周波数帯でスピルバーグ監督が思い描いていたような効果が得られたとのこと。撮影当日、車の中と地面の間にギターの弦を張り、床に寝転んだクルーが弦を弾いて、水面の揺れは再現されたのです。
2)ティラノサウルスが観光用SUVを襲撃したシーンは、元々雨が降っている設定ではありませんでした。雨は、スピルバーグ監督がギリギリになって急遽追加したもの。
特殊効果のスタン・ウィンストンはティラノサウルスを含む恐竜のアニマトロニクスクリーチャーを、防水で作っていなかったため、撮影が開始されて雨降りマシンが起動するや否や、水を吸ってしまいました。ティラノサウルスはどんどん重くなり、震え出すなどの動作不良が起きるというアクシデントに見舞われます。そのため、マペティアは撮影の合間にティラノサウルスを拭いて乾かし、震えを止める必要があったそうです。
3)『ジュラシック・パーク』が公開されたのは1993年の6月11日。そして『ジュラシック・ワールド』の公開初日も、この記念すべき6月11日です。
......と言いたいところなのですが、実は色々事情もあってアメリカの公式な公開日は6月12日。しかし、ビッグタイトルはファンのために先行上映(プレミア上映)されるのが常なので、熱狂的なファンの多くが11日に観に行くことが予想されます。だから許してあげましょう。
ちなみに、セルビアの公開日は公式に11日とされています。
4)『ジュラシック・ワールド』は『ジュラシック・パーク』の直接の続編という設定で、あの大暴れしたティラノサウルスも再登場すると言われています。一方、『ロスト・ワールド』や『3』の設定は無視されています。となると期待されるのがオリジナルのメンバーの再登場ですが、『ジュラシック・ワールド』に出演するのは、ハモンド率いるパークのツアーで端役として登場したB・D・ウォンのみ。彼はヴェロキラプトルの孵化に立ち会っていた科学者のヘンリー・ウーという役柄で再登場します。
5)『ロスト・ワールド』でティラノサウルスをサンディエゴに運び込んでしまった船は、巨大ゴリラ「キングコング」をニューヨークへ連れてきた船と同じ「SS NVENTURE号」。「強制的に連れてこられたモンスターが街を破壊」という設定のパイオニアである特撮映画『キングコング』に敬意を表しているのでしょう。
6)映画は多くのオモチャとコラボレーションします。『ジュラシック・ワールド』において、その代表と言えるのはレゴです。ディアボロス・レックスの存在もレゴで明らかになりましたよね。
主演のクリス・プラットがレゴ人形になるのは、『LEGO ムービー』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、そして『ジュラシック・ワールド』と、この短い期間で3度目。そして、『ジュラック・ワールド』のオーウェンと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のスターロードのレゴには同じ頭が使われています。
7)1990年初頭に製作された『ジュラシック・パーク』は、元々ゴー・モーションで大部分の恐竜を表現し、ガリミムスの大群といった一部にのみCGを使用する予定でした。しかし、ILMのあるメンバーが密かに開発したガリミムスのスケルトンの大群が走る、異なるアングルのCG映像を入れたテープ(文字通りテープ)を見たスピルバーグ監督は、瞬時に全面的にCGを使うべきだと考えました。その後、ティラノサウルスのテスト映像が作られ、スタッフはCGの果てしない可能性に度肝を抜かれるのです。
ゴー・モーション担当だったフィル・ティペットらのチームは、ストップモーションの恐竜の動きをデジタル入力する「ダイナソー・インプット・デバイス」を開発。ガリミムスの大群やラストのTレックス対ヴェロキラプトルといった複雑なシーンを作成する上で、ストップモーションとCGの両技術をつなぎ、溝を埋めることに成功したのです。
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最後のCG裏話に冠しては、以前ご紹介した『ジュラシック・パーク』の制作秘話」に詳しく書いてあるので、そちらも併せてどうぞ。
『ジュラシック・パーク』はCG満載の映画という印象がありますが、実際にCGが使われているシーンの合計時間は7分程度。昨今の映画と比較すると、ほとんどCGパートが無いように感じてしまいますが、使い方が効果的で、時代が変わるほどのインパクトがあったために、現在でも「CGがすごい作品」として本作は語られています。そして、今後も語られ続けていくことでしょう。
7 Things You (Probably) Didn't Know About Jurassic Park[YouTube]
(中川真知子)
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