邪悪で恐ろしい子供たち


「子供」は可愛い、純粋、天真爛漫...? いえいえ、それだけではありません。

ホラー映画の世界の子供は両極端。映画をより怖くする為の「究極の弱者」か「邪悪な存在」です。


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映画に登場するキャラクターは私たち同様「子供は守らなければならない」という道徳観があるので、大抵の場合、問題の子供をボコボコにできず、やられっぱなしになります。

そんな「大人の弱み」に漬け込むやりたい放題の子供たちに、観客は言い知れぬ恐怖や憎悪といった感情を抱くのです。

そこで今回は、Defamerが公開した「映画に登場する『邪悪な子供たち』の歴史」の動画とその要訳をご紹介します。一部ネタバレがあるので、ご注意ください。



ホラー映画を見ていると幾つかのルールに気づきます。

1. キャンプには行くな。
2. 古い墓の上に作られた怪しげな場所には足を踏み入れるな。
3. 子供は邪悪である......。

おかしな行動をする子供が描かれたホラー映画は定期的に作られます。最近では『ババドック 暗闇の魔物』や『Goodnight Mommy(原題、グッドナイト・マミー)』が話題になりました。

可愛い顔をした悪魔は非常にショッキングで、なんとも言えず不快です。この「邪悪な子供」ジャンルは最近できたわけではなく、1956年の『悪い種子』が始まりと言われています。

ローダというおさげとフリルが可愛い少女が欲望の為に殺人を行うという信じがたい内容で、その幼いサイコパスが与えた影響は大きく、定期的にこの手の映画は作られるようになったのです。

1976年には、親から贔屓されている9歳の妹(ブルック・シールズ)に嫉妬心を隠せず、妹殺害の疑いをかけられる12歳の少女の姿が描かれた隠れた名作『アリス・スウィート・アリス』(良作なので未見の方は是非)。

1993年には、イライジャ・ウッドとマコーレー・カルキンが実際に崖からぶら下がる演技で話題になった『危険な遊び』が公開されました。この映画でマコーレー・カルキンは可愛らしいイメージを捨ててサイコパスを演じましたが、よくよく考えると『ホーム・アローン』のケビンも実はかなりサディスティックです。

2009年には、どんでん返しホラーとしても有名な『エスター』が登場。年齢と行動が全く伴わない残酷で敵意むき出しな少女に、凄惨な最後を願う観客は多かったのではないでしょうか。

1人でも怖い邪悪な子供ですが、複数となるとその破壊力は格段に上がります

1960年には、古典SFの『未知空間の恐怖/光る眼』が公開に。人間の心理を読み、相手を自在に操れるエイリアンキッズが誕生します。

心を読む力には正攻法では太刀打ちできず、唯一の撃退法は心を読まれないように「壁」のイメージを浮かべつつ、子供たちの集まる屋敷に時限爆弾を設置して吹き飛ばすというものでした。なお、本作は95年にジョン・カーペンターによってリメイクされています。

1976年、スペインではナルシソ・イパニエス・セラドール監督が『ザ・チャイルド』を製作。リゾート地の離れ小島に住む子供たちが一斉に何かに取り憑かれ、大人を攻撃し始めるという内容で、集団で襲い来る子供たちはまるでゾンビのようでした。

ヒロインが妊婦のためメルヘンを抱いているのか子供に対してどうしても冷酷になれず、妻を守ろうと必死な抵抗を見せる夫を背中から撃ちまくります

原題は直球で「誰が子供を殺せる?(Who Can Kill a Child?)」という問いかけ。観客としては冷静に「いいから早くこのガキどもを殺せよ!」とも思いますが、潜在意識的に子供へ手をかけることに対する罪悪感と拒否感がそれを阻むので、どうにも歯がゆい作品です。

1984年には、スティーブン・キングの『チルドレン・オブ・ザ・コーン』が公開。キング版『ザ・チャイルド』といっても過言でない、自身の短編を原作にしたホラーです。

ターミネーター』シリーズのリンダ・ハミルトンがトウモロコシ畑で子供たちに襲われます。本作はタイトルを変えながら続編が量産されていますが、そんなに需要があるのでしょうか......?

こういった「集団子供ホラー」は何者かに取り憑かれているパターンや操られているパターンが多いです。子供は純真が故に「媒体」になりやすいという考えからなのか、悪魔が憑依するケースも少なくありません

最も有名なのが12歳の少女が放送禁止用語を叫びまくる『エクソシスト』。近年では2010年の『インシディアス』がありました。

他にも、乗り移られるのではなく、悪魔として生を受ける『オーメン』といった作品もあります。

このような多様な子供ホラーを経て、今注目されているのが『ゾンビスクール!』。チキンナゲットを食べたことが原因でゾンビ化した子供と教師たちのバトルを描いており、ゾンビになった子供は仕方ないにしても、感染していない子供すら性格が悪い作品です。製作者は子供に恨みがあるのでしょうか?

動画によると『ゾンビスクール!』は、「邪悪な子供のホラー」というジャンルが私たちの抱く「子供たちが自分に敵対したらどうしよう」という恐怖心から生まれていることと、そうなったら「子供を殺す」しか生き残る術は無いということを知らしめる作品とのことです。未来を背負う大切な子供たちを殺すことに対するカタルシスを楽しめるのも、魅力なのかもしれません。


いかがでしたか? 気になる邪悪な子供映画はあったでしょうか?

訳者が好きなのは動画の最後に登場した『少年は残酷な弓を射る』です。妊娠中にこの映画を見て、どれほど不安になったか......。

他にも邪悪な子供の集団映画であれば、2008年の『The Children(ザ・チルドレン)』もオススメです。

ただし、子供が嫌いになっても責任はとれませんので、どの作品も自己責任でご覧ください。


A Brief History of Evil Children in Horror Movies[Defamer]
We Need to Talk About Kevin (2011) Trailer[YouTube]
The Children Trailer[YouTube]

中川真知子

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RSS情報:http://www.kotaku.jp/2015/11/evil-children-in-horror.html