金曜日、初めてパリの日本人研究会に出席してきました。パスツール研究所の研究者らが中心となり、組織されています。月に一度、1人の発表者が自分の研究内容を発表するというものです。
ちなみにパスツール研究所は、僕のいるパリ第5大学から歩いて5分くらいのところにあります。
パスツール研究所
僕がパリに来たのは1年以上前なのですが、この研究会の存在は最近になって知りました。知ったきっかけは、僕のブログやナショジオの記事を読んでいたパスツール研究所所属のTMさんからのメールでした。
もちろん、TMさんとは面識がありませんでした。このメルマガでも何度も書いていることですが、ネット上で活動しているとコネクションが無いところからも声がかかってきて、色んなネットワークに繋がれることを改めて実感しました。
このパリの日本人研究会を仕切っている(ように見えた)人は、パスツール研究所でパーマネント(終身雇用)の研究者をしているEMさんです。
日本からやってきて、フランスでパーマネント研究者のポジションをゲットするというのは、並大抵のことではないのですが、彼女はなんと神奈川大学の出身、つまり僕の先輩です。
神奈川大学からはアカデミックの世界に残る人がほとんどいないため、日本の学会でも神奈川大学出身者に会うことはまずありません。早い話が、EMさんは神奈川大学出身のスター的存在です。
そんな彼女とパリで出会うという、なんとも不思議な縁を感じました。
クマムシトリビア その11
読者からのクマムシにまつわる様々な疑問に対して堀川が回答します。
◆ 質問:
クマムシを上手に乾眠させるのにはろ紙を使うと良いとのことですが、他にも上手に乾燥させる方法はあるのでしょうか?(その2)
◇ 回答:
クマムシの乾燥レシピの続きです。今回は、クマムシを直接スライドガラスの上に置いて乾燥させる方法について、その奥義を伝授します。
前回も書きましたが、クマムシが乾眠に移行するためにはゆっくりと乾燥する必要があり、スライドガラスの上で放置して乾かすと通常は死んでしまいます。
そこで、クマムシをスライドガラスの上でうまく乾燥させるためには、乾燥用の密閉容器(デシケータ)の中で湿度を高く保ち、ゆっくりと乾燥させる必要があります。
じめじめした梅雨時には洗濯物がなかなか乾かないのと同じで、高湿度の環境ではクマムシがゆっくりと脱水していくのです。
デシケータ内の湿度を調節するためには、何か化学物質を溶かした溶液を入れてやります。僕の場合は、グリセロール溶液を良く用います。
たとえば35%のグリセロール溶液を入れてやると、デシケータ内の湿度を85%に調節することができます。
ちなみに100%グリセロールだと湿度は0%、グリセロールを一切含まない水だけの場合は、湿度は100%になります。
ちょっと難しいかもしれませんが、要するに水に何かの溶質を溶かし込むと飽和蒸気圧が下がるので、溶質の種類や濃度を変えることでちょうど良い湿度を作り出すことができるわけですね。