・飼育
昨日は1日ヨコヅナクマムシの飼育作業をしていました。最初の飼育システムは僕が作ったのですが、その後に東大の國枝さんや慶応大の荒川さんがこのシステムに改良を加え、今では当初に比べてだいぶ飼育作業が簡略化され助かっています。
とはいえ、実験のためには多数のクマムシを使う必要があるため、その分飼育作業にかける時間も増えます。飼育作業員として助っ人を迎え入れたいところです。
パリでクマムシを飼いたい方がおられましたら、ご一報ください。
★クマムシ研究日誌「クマムシを誰かにやらせようと思っていた」
時間軸を少し遡るが、今回は大学院受験にまつわる話をしよう。
クマムシ研究日誌の初回でも述べたように、僕はもともと動物生態学に興味があった。学部3年生の終わりには、他大学の大学院修士課程に進学し、動物生態学を研究することを決心していた。
どこの大学院の研究室に進学すべきか、動物生態学を研究している研究室をインターネットで探し、面白そうな研究をしている7~8つの研究室に見学に行くことにした。学部4年生の5月、まだクマムシを研究するのを決める前のことだ。
北は北海道大学から南は九州大学まで、日本列島を横断しながらの研究室訪問を実行した。まだ訪れたことのない場所も沢山あったので、旅行気分もあった。
とはいえ、よその大学の教授にアポイントメントを取って話を聞きにいくという行為は、当時の自分にとっては果てしなくハードルの高いものだった。
実際、研究室訪問の際には教授達にバカなやつに思われないように、必死で的確な質問をするように頑張っていた。研究室訪問とはいえ、ネガティブな印象を相手に与えれば、大学院試験の合否にも影響があると思っていたからだ。
教授達との面談中は汗をかくほど緊張した。僕は一般企業への就職活動は経験が無いが、研究室訪問の際の緊張感は就職活動の際の面接時のそれと似ているんだろうと思う。
研究室訪問で教授たち以上に僕に対して緊張感を与えたのが、そこにいた大学院生達の存在である。いくつかの研究室では、セミナーにも出席させてもらったが、ズバズバと発表者に質問攻めにしている大学院生らの攻撃的な姿を見て、
「なんて場違いなところに来てしまったんだろう」
と、後悔することもあった。まるで、よその国の内戦地に放り込まれた旅行者のような気分だった。
あるセミナーでは、発表も議論もすべて英語で行われており、僕に質問がふられても英語を全く理解できないために何も答えられず、恥をかいただけで終わってしまうこともあった。