著:古樹佳夜
絵:花篠
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◆◆◆◆◆村への道◆◆◆◆◆
翌日、吽野と阿文は茨木に導かれて、
麓の村へと向かった。
道中、吽野は茨木の背に背負われ、
阿文は自分の足で山を降っていた。
吽野「うー……揺れる……二日酔いで吐きそう」
茨木「すみません! もうすぐ麓の村に着きますから」
阿文「昨日4人で相当飲んだからなぁ」
茨木「申し訳ねぇ。アニキときたら、人間と久しぶりに飲めるってはしゃいでて」
吽野「うう……」
吽野は今にも吐きそうだとばかりに唸った。
阿文「ところで、酒呑童子の方は放っておいて大丈夫ですか?」
茨木「ハハ。昼まで起きませんよアニキは」
阿文「監視していないと、また起き抜けに迎え酒しそうですが」
茨木「いや、昨日で全部飲み干してます。……また酒を調達すんのに一苦労です」
茨木は手のかかる兄貴分のことを思い出し、ため息をつく。
吽野「それにしても、阿文クンたら相変わらず酒に強いな。君もしこたま飲まされてるのに」
阿文「そうだな? 僕はなんともない」
阿文は飄々とした口調で、顔色の悪い吽野を振り返った。
茨木「あ! 村が見えてきました」