衆議院本会議代表質問(2013年10月17日)

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私は、生活の党を代表し、安倍総理の所信表明演説に対し、生活の党の政治方針及び重要政策について、私の所信を申し上げながら、総理のご意見を伺います。総理の答弁の内容によっては再質問させていただきます。
まず冒頭、台風26号により、お亡くなりになられました方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。

【内容】


○ 責任ある「健全野党」宣言

さて、私は現在の日本の政治のあり方に対し、かつてない強い危機意識を持っております。自民党に対抗できる政権担当能力がある政治勢力を結集できないままに次の総選挙を迎え、一強体制が継続するようなことになれば、日本社会は一層混迷を深めます。

国内外の歴史が示す通り、一党支配体制は政治から健全な競争を排除し、国民不在の政治をもたらし、その結果として、国民を不幸な目に遭わせてきました。今、またその方向へ日本丸の舵が切られつつあります。
こうした事態を避けることができるのが民主主義の力であります。時の与党が国民との約束を破れば、もう一方の政治勢力がとって代わり、国民の力で政治を変える。これが民主主義の真髄であります。

しかしながら日本では、戦後半世紀以上にわたり一党支配体制が継続しました。中選挙区制の下で野党は単なる批判勢力に留まり、政権を担う意志も用意もありませんでした。だからこそ私たちは20年前、「政権交代可能な民主主義」への扉を開くために小選挙区制導入に奔走したわけであります。

民主党に対する信頼を深めた国民は、2009年夏の総選挙で政権を託すことを選択しました。これで国民主導の政治が進むと期待されましたが、公約の実現が後退していく中、遂には国民との約束を守ろうとする議員を排除し、自民党、公明党と消費税増税法を成立させてしまいました。これは国民の政治への信頼を大きく傷つけ、「政権交代ある民主主義」を台無しにする政治行動でありました。

今、自民党政権は、国民生活を危険にさらす政治をどんどんと押し進めています。非正規雇用拡大、消費税増税、原発再稼働、TPP推進など国民の生命や財産、基本的人権よりも国家、いわば政官業の既得権益者の論理を第一にしています。
これに対し、雇用の安定化と消費税増税の凍結、新エネルギーへの大転換、TPPと異なる自由貿易の推進など国民の生活を中心に据えた政策を実現しようとする政治勢力の結集が不可欠であります。

次の総選挙での政権交代をめざし、国民に対して責任をもつことができる、批判するだけでない野党。私たちは、責任ある「健全野党」ともいうべきこの新しい器を構築するために全力を尽くす強い意志があることを、ここに改めて国民の皆様に対して宣言いたします。


○ 消費税増税の凍結、個人消費拡大の経済政策へ

さて、政府は10月1日、消費税率を来年4月に8%に引き上げることを決定しました。本来、増大する社会保障費に充てるための増税であったにもかかわらず、消費税率が上がるから経済対策が必要だと主張し、法人税率の引き下げ、旧来型の公共事業、また、1万円のばらまきを計画しています。これでは何のために増税するのか。現政権の論理矛盾は甚だしいとしか言いようがありません。
安倍総理は、所信表明演説の中で、消費税増税は社会保障制度を次世代に引き渡していく財源を確保するためであると述べておりますが、今後どのように社会保障費を確保していくのか、明確な答弁を求めます。

さらに、今、消費税増税を行える経済環境にあると言えるのでしょうか。政府は声高に景気回復を強調しますが、実体が全く伴っていません。安倍総理は、所信表明演説の中で、2四半期連続で年率3%以上の成長となったなどと、各種指標の改善を主張しますが、それらは補正予算や老朽化した設備の更新投資の影響であり、現実は「力強い回復」とは程遠い状況にあります。民間基本給は14か月連続で減少し、消費者マインドも3か月連続で悪化しています。ここで消費税率を上げれば、確実に景気は失速し、逆に税収全体が大きく減少することになりかねません。
安倍総理。本当に今、消費税増税を行える経済環境にあると言えるのでしょうか。具体的なデータを示してお答えください。

現在、政府と日銀は「物価上昇」に血眼になって取り組んでいますが、そうした中、確実に「悪い物価上昇」の足音が聞こえています。円安による電力・ガス料金や一部食料品等の価格の上昇は、徐々に生活を苦しめつつあります。
今のように非正規雇用が増大し、低所得者が増える中で消費税率を引き上げれば、このような悪い物価上昇も相まって、中小零細企業や農林漁業だけでなく、広く国民生活全体に深刻な影響を及ぼすことが確実であります。
安倍総理は、物価上昇が国民の日々の生活に及ぼす影響をどのように考えているのですか、率直な認識をお聞かせください。

ところで、総理。消費税増税の前提であるべき社会保障制度改革は進んでいるのでしょうか。答えは明らかであります。医療も介護も年金も、削減の話だけがひたすら先行しています。政治や行政の身を切る努力もどこへいってしまったのでしょうか。
残念ながら、安倍総理の所信表明演説からは、社会保障制度改革や政治・行政改革の熱意が伝わってきません。本当にやり遂げる決意があるのでしょうか。お答えください。

安倍総理は消費税増税と併せて景気対策を行うと言います。ブレーキとアクセルを一緒に踏んで果たして車がうまく進みますか。結局増税分が従来の政策の延長に使われてしまいませんか。我々としては、貴重な税金が垂れ流されることを大変憂慮しています。

私たち生活の党は、性急な消費税率引き上げに反対であります。消費税増税は「最後の手段」でなければなりません。まず、政治と行政は身を切る努力を最大限行い、地方分権でムダな事業を廃し、社会保障制度改革に結論を出し、非正規雇用から正規への転換を進め、金融政策頼みではない家計収入を増やす経済政策に取り組むべきであります。今求められているのは、そうした姿勢ではないでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。


○ 原発問題は政府主導に転換し、放射能を封じ込める

さて、安倍総理、福島第一原発の汚染水問題はコントロールされていると強弁しましたが、私は福島第一原発事故は有事であり、人類の存亡にも関わる危機であると認識しています。この深刻な問題を放置していたら、日本だけでなく世界中の国々の将来にとって取り返しのつかないことになります。

ですから今、日本が最優先でやるべきことは、何十兆円かかろうが、何十年かかろうとも、一致団結して放射能を封じ込めることです。当面の利益、利害のために国家百年の大計を誤ってはいけません。
汚染水は海に本当にジャブジャブ漏れていると思いますし、地下水にも入ってきており、国内外共に被害が広がっていきます。先日、米国の駐日臨時代理大使が来たときにも、「このままだと汚染は合衆国まで広がる」と危惧していました。
安倍総理は、所信表明演説の中で、「基準値を大幅に下回っている」と述べるのみで、汚染水問題の深刻さを全く理解していないと言わざるを得ません。安倍総理の認識をあらためてお聞きいたします。

総理。原発事故を封じ込めるためには、東電を矢面に立て、国が後ろから支援するいまのシステムではダメです。政府主導に転換して、政府が責任をもって全力で封じ込めないと無理です。震災に伴って復興庁ができましたが、実態は役人のポストが増え、ただ余計に手続きが増えただけです。
私どもがそういう組織を作るとしたら、まず全権限と予算を与え、復興庁が地方に予算を交付し支援しながら、地方が自主的な復興ができるようにします。原発事故についても、政府が現場の事業主体となって徹底的に放射能を封じ込める。そういうやり方にすべきだと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。答弁を求めます。

チェルノブイリ原発事故の2、3年後から子供たちのがんが多くなりましたが、福島の子供のがん発症も増えています。また、事故現場周辺はもはや住民が戻ることができません。これほど残酷なことはありません。安倍総理は、所信表明演説の中で、ふるさとの福島に帰ろうとしている若いお母さんの手紙を引用しました。今、政府が為すべきことは、故郷を破壊したことを率直にわび、第二の故郷と再出発の支援をして、前向きな人生設計を構築できるようにしていくことではないでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。


○ TPP首脳声明とリニア開業の促進

次に、TPPについて10月8日の環太平洋パートナーシップ首脳声明にTPP交渉参加国の首脳はTPP交渉が完了に向かっている事を公表出来て喜ばしく思うとあるが、総理はTPPの現状は日本にとって順調と云いきれますか。この事をお聞きします。

最後に被災地の復旧・復興に支障を出さない事を前提ですが、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を我が国経済の発展の大きなチャンスとするため、2027年開業予定の「東京-名古屋間リニア中央新幹線」を前倒して2020年までに、国家プロジェクトとして開業させることで、宿泊・交通等が分散でき首都圏・中部圏が一体となった開催が望めると思いますが、良い公共事業の例として、総理の所見をお聞かせ頂きたい。


○ 新しい政権を望む国民の期待に応える

今日、一強他弱の政治状況が現出しましたが、これは決して大多数の国民が望んでいる姿ではありません。全国各地で新しい政権を作って欲しいという国民の声を聞いております。私たちはその期待に応えられるよう、何としても「国民の生活を第一」とする受け皿を作り上げたいと思います。

それによって、日本の議会制民主主義を緒に就け、今度こそ定着させて、日本の本当の民主化を実現するつもりです。国民の皆様、どうか一回の失敗に懲りず、もう一つの政治勢力結集にお力を賜りますようお願い申し上げます。

以上で、私の質問を終わります。