-
誰も知らない『桃太郎』の秘密
2015-07-06 08:30102pt -
ネコがお金持ちになった方法
2015-06-22 12:00102pt -
フリーターのネコと、起業家のイヌはどちらが稼いだのか?
2015-06-15 21:00102pt3☆
あるところに、フリーターのネコと、起業家のイヌがいました。
ネコはアルバイトで生計を立てていたので、世間一般でいうところのフリーターでしたが、本人にそういう意識はありませんでした。
ネコの願いは”多くの人を楽しませること”であり、そのために漫画やイラスト、音楽や小説などを作っていました。
「昨日よりもいいモノを作る」
それがネコの座右の銘でした。
ネコには独自の世界観があり、それを表現することに集中していました。
なので世間の流行には興味がなく、今、何が流行っているかも知りませんでした。
ネコの人生を時計に例えるなら、「止まった時計」でした。
黙々と自己表現を続けるネコの周りを、時間はものすごいスピードで流れていきました。
でも、ネコはそんなことをまったく気にもとめていませんでした。
一方、起業家のイヌは毎日、あくせくと働いていました。
いつもスケジュール帳はびっしりと埋まっていました。
「昨日も寝てねえよ」
それがイヌの口癖でした。
イヌは”巷で流行しているサービスを見つけ、それをいち早く立ち上げる”ことを信条としていました。
そうすることで、”成功して、大金持ちになり、早期にリタイアする”という願いが実現すると思っていました。
イヌの人生を時計に例えるなら、「五分遅れている時計」でした。
ものすごいスピードで過ぎていく時間を、何とか捕まえようとしていました。
一度でも捕まえれば、夢は叶うと思っていました。
そのために、一秒も時間を無駄に使ってはいけないぞと(イヌなのに)馬車馬のように働いていました。
そんなイヌとネコは、じつは幼なじみでした。
でも、あまり仲はよくありませんでした。
というのも、イヌがネコのことをひどく嫌っていたからです。
「お気楽な奴だ。好きなことばかりしやがって。こっちは朝から晩まで働いているというのにさ」
そのくせ、イヌはネコのことがいつもどこかで気になって、たまに時間ができると飲みに誘いました。
そしてネコがのこのこやって来ると、今、何をやっているのか聞き出し、まだフリーターをやっているという答えを聞くと、「そうか、そうか」「君はそのままがいいよ」などと適当にいって安心するのでした。
☆☆
そんな二人の時間はそれぞれの形で過ぎていきました。
ネコはアルバイトから帰ると、部屋に閉じこもって創作に取り組みました。
何かを作っているのが一番楽しい時間(とき)でした。
できることなら、一生作品作りをしていきたいと考えていました。
でも、そんなネコの作品を悪くいう人もいました。
「おまえの作品なんてつまらないんだよ!」
「よくこんなもの発表できるな!」
「見て損した! 時間返せ!」
また、ネコの生活をバカにする人もいました。
「いい歳こいて何やってるの?」
「いい加減、会社で働いたらどう?」
「結婚しなくていいの? 老後はどうするの?」
けれどもネコの尖った耳にはそんな声が入ってこないようでした。
ネコは天然で、あっけらかんとした性格でした。
だから周囲の雑音も「そんなことあったっけ?」とすぐに忘れてしまい、マイペースに創作活動を続けていました。
一方、イヌは周囲の人々から尊敬の眼差しを受けていました。
「起業しているなんてすごいな」
「社員をたくさん抱えているなんて偉いよ」
「社長さんなんだ。かっこいい」
イヌはそんな風に脚光を浴びる時間(とき)が快感でした。
その快感をもっと得たくて、よりたくさん働きました。
働いているときは精神的に辛く、ストレスもたくさん溜まりましたが、我慢して働き続けていました。
人生とはそういうものだと思っていたからです。
イヌには休みがほとんどありませんでした。
前にいつ休んだのか思い出せないくらい休みをとっていませんでした。
それは、次に流行りそうだと思って始めたサービスが、(ほめてくれた人たちには内緒でしたが)じつはどれもあまりうまくいっていなかったからでした。
イヌはサービスを立ち上げるために色んな人から投資をしてもらっていたので、その投資家たちからいつになったら儲かるんだと激しく責められました。
イヌは彼らに毎日頭を下げていました。
イヌは元々、温厚で紳士的な性格でしたが、だんだん怒りっぽい性格になり、「俺がこんなに働いているんだからおまえらも働け」「早く結果を出せよ」と部下たちに怒鳴ってばかりいるようになりました。
すると、部下たちはうんざりして、次から次へと会社をやめていってしまいました。
優秀な人材が去ると、イヌの会社は儲かるどころか、どんどん売上が下がっていきました。
同時期に起業した仲間たちの中には、一発当ててすごく儲かっている人もいました。
イヌはそれが悔しくてたまりませんでした。
そして、「なぜ自分は儲けることができないんだろう?」「もしかしたら社長の才能なんてなかったんじゃないだろうか」と自信を失くしていきました。
そうなると以前にも増してストレスを溜め込むようになってしまいました。
それでも投資家から「早く儲けさせろ!」と責められるので、一日も休むわけにはいきませんでした。
ある日、イヌの視界が突然、真っ暗になりました。
☆☆☆
イヌは気づくと、病院のベッドに寝かされていました。
1 / 1