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「でかいね。」「身長高いね。」

そう言われる度、お前は女の子らしくない、可愛くないと言われている気分になりました。

身長166cmで、ヒールを履けば170cmは軽く超えてしまう私は、ぽっちゃりした体型もあいまって「身長が高い」よりも「でかい」と言われる事の方が多くありました。

加えて、日本人男性の平均身長は167cmですから、地下鉄などの人が集まる場所では男性の多くを見下ろす事になってしまうので、私にとっては苦痛でしかありませんでした。

ましてや、さらに背を高くしてしまうハイヒールなんて、私にとっては厳禁でした。

なるべく背が低く見えるようにと神経をすり減らし、身体測定の日は嫌で嫌でたまりませんでした。

ここではそんな私が、ハイヒールを気にせずに履けるようになるまでの心の変化をお話したいと思います。

今だから言える事なのですが、心構えと言葉一つで気持ちが楽になる事もあるのです。

家族の中での「チビ」がクラスの「デカ女」になる

私の身長の高さは遺伝です。

父は180cmで、母は165cmと日本人の平均身長からみると高身長です。

さらに兄2人も180cm超えですので、私の身長が高い事はむしろ当然でした。

そんな高身長の家族に囲まれていたものですから、私の中での身長の基準は家族でした。

常に兄たちからは「チビ」とからかわれ続け、その度に身長が高くなりたいと願っているような子供でした。

実際小中学生の頃は、背の順で並んでも女子の中で真ん中より少し後ろくらいでした。

またその頃はクラスの男子との体格の差もあまりなかったので、自分の身長を気にする事はありませんでした。

私の身長がぐんぐん伸びだして、身長をコンプレックスに感じるようになったのは高校生の頃からでした。

身長順に並んだ時に最後になった事、一つ前に並んだクラスメイトに

「背が高いね。私中学では一番後ろだったのに。」

と言われた事で、自分が平均よりも背が高いのだと自覚したのです。

悪気のない一言でだんだん猫背に

自分が周囲に比べて背が高いと自覚した時に、真っ先に気になったのは異性の目でした。

その時私は165cmありましたので、当然私よりも背の低い男子がクラスにはたくさんいました。

またちょうど思春期という事もあり、私にとっては死活問題でした。

私にとってトラウマになったこんな出来事があります。

私はご近所同士が顔見知りという田舎町で育ちました。

道を歩いてすれ違えば会釈や挨拶をする事は当たり前でした。

そんな環境ですから、挨拶をする度に近所の方たちから、

「大きいね。」「女の子にしてはめずらしいね。」

と言われる事も少なくありませんでした。

ある日、バス停でバスを待っていた時の事です。

老夫婦がやってきて、そのおじいさんの方が私を見上げて、

「でっかいな!」

と言ったのです。

恐らく悪気は全くなく、ただの素直な感想だったのですが、私にとっては第一声にそんな事を言われた事がショックでした。

また、

「他の人から見てもでかい」

という事実が更に傷つきました。

私の表情を見たおばあさんが、

「ごめんなさいね」

と謝ってくださいましたが、あまり頭にはいってきませんでした。

それからは、身長を気にするあまりだんだんと前かがみになり猫背になっていきました。

電車に乗れば周囲の男性よりも目線が高い事が嫌で、自然と背中が丸まってしまいました。

その頃の私は自分にすっかり自信をなくしていたのです。

「女の子らしい」を避けていた高校時代


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