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 今度の土曜日からいよいよ電王戦ですね。

将棋電王戦 2013 「5人のプロ棋士」VS「5つの最先端将棋対局ソフト」

 コンピュータの将棋がどれほど強くなったかは、昨年の電王戦で対局した故・米長邦雄永世名人が著書われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る で詳しく書かれています。週末から始まる電王戦でこんご人間とコンピュータの関係がどうなって行くのか、この本を参考に考えてみました。

序盤で優位に

 まず印象にあるのは、コンピュータが相当強くなっているということ。特に中盤から終盤にかけての読みは最後まで読み切っているのですから、完璧です。人間はプロと言えどそんなわけにはいきませんから、人間は、序盤から中盤にかけて優位を築いておく必要があります。

△6二金

 しかし、コンピュータは過去の膨大な棋譜を持っていますので、普通に指してしまっては、なかなか優位にすることは難しいようです。そこで、米長さんは対戦相手のボンクラーズを研究し、最初に△6二金という普通ではあり得ない手を打ちました。ほとんど指されていない手ですから、コンピュータは過去の棋譜を参考にできません。さらに米長さんはコンピュータが自分は今有利だと勘違いするように進める工夫もしました。
 結果として思惑通り途中までは人間が優勢に進んだようです。しかしわずかなミスから逆転され、そのままコンビュータの勝利となったようです。

 この戦法は面白いと思います。似たものに稲庭戦法というものもあり、まあ消極的な作戦なので、どちらも人間同士では研究したくありません。しかし、もしかしたら、その方が有利かもしれないという問題があるかもしれません。コンピュータが強くなったおかげでこの領域を研究することができそうです。

最新定跡の研究に使う

 しかし、そのような対局するコンピュータソフトの欠点を事前に探すのは、引退した米長さんには可能でしたが、人間との対局もこなしている現役のプロ棋士には負担となります。そこで、「われ敗れたり」の最後に載せられているインタビューで伊藤毅志先生は、まだ定跡が決まっていない最新定跡をぶつけてみればどうかと提案されています。コンピュータも知らない局面でコンピュータがどう考えるか見てみよういうわけです。
 未知の中盤では、コンピュータは恐らく「無難」な負けにくい手を選んでくると考えられるので、研究するにはちょうどいい相手のような気がします。
 ここに進むのであれば、私たちは電王戦で最先端の定跡の研究を目の当たりにすることになります。すごいですね!!

新しいドラマ
 先日、NHK杯で対照的な対戦がありました。将棋NHK杯 2013 準決勝 羽生善治 vs 郷田真隆です。youtubeなどでハイライトを見ることができますが、羽生さんの大逆転でした。羽生さんは人間にはなかなか思いつかない手順を放ち、その直後対局者の郷田さんは文字通り「頭を抱え」ますし、解説の先崎さんも「天才だ」の連発。
 一方、この対局のコンピュータ解析が紹介されていまして、前半から終始郷田さんの優勢だったのが、「天才」と言われる手の少し前からおかしくなっていることが示されています。コンピュータにしてみれば、人間には盲点の詰みが簡単に見えているわけですから、その前からその指し手はおかしいと分かっているわけです。

 でも見る私たちも人間です。この二人の戦いは見応えがありますし、終盤のもつれは将棋の醍醐味でもあります。
 残念ながら電王戦ではその部分は、人間がミスで逆転されることしかないわけですから、この部分は魅力半減です。人間がミスをしないことだけ祈るしかありません。

 その代わり、プロ棋士達が「じっくり無難な手を指してくる」コンピュータ相手に創意を凝らした最新定跡をぶつけて揉むなんていう場面が見られるようになるでしょう。羽生さんは、強すぎて年がら年中タイトル戦やってますけど、なのでタイトル戦なのに新しい構想で試して、あっけなく負けるなんてこともあります。これからは、そういうのが電王戦で良く見られるようになるかもしれません。

 そうなると、人間対人間の魅力とは違った形で、人間対コンピュータで新しい戦法を共創していくのを生で見られるという新しいドラマが生まれることになります。重要なタイトル戦で「あ、これはあの電王戦で現れた作戦だ!」なんて時代が来るかもしれないのです。

 人間とコンピュータの真剣勝負から生まれる共創ドラマ。目が離せません。

コンピュータ作成詰め将棋VS人間は?

 ところで、この間、

スパコンで数独の最強問題作ったぜ→あっさり解けた の謎  

という話題がありました。人間にとってなにが難しいかというのがコンピュータには難しいので、難しい問題を作るのは難しいというお話なのですが、その後改良版も出ているそうです。

 コンピュータが作る詰め将棋はどうでしょう。まだまだ人間をうならせるものではないとも聞いていますが、プロが何秒で解けるかみたいな制限作れば、おもしろくできそうです。これも単なる余興ではなく、「人間がどう思考しているか」を解明するにあたって重要なデータを集められます。

人間VSコンピュータこれからますます面白くなりそうですね。

・併せてどうぞ
人工知能に受験の試練…10年後の東大合格目標】 コンピュータは東大入学も目指しているようです。


ミライ: ここからは「電王戦」について六葉未来点(?)です。フツクロウさん、この勝負何勝何敗になると思いますか?

フツクロウ: どうじゃろ。あっさり人間が5勝せんかの。米長さんが命をかけて、コンピュータと戦ってきちんと分析したからの。忙しくて対応できてない限り、現役は負けないんじゃないかの。まあ、3勝先行したあたりで、人間も真っ向勝負をしかけたりとか、変化つけるかもしれんがの。

ミライ: えー、なんか余裕ですね。ほんとにそこまで余裕なんだろうか。楽しみですね。

フツクロウ: しかも、それを生でみんなでわいわいコメントしながら観られるというのも、まさに新時代じゃの〜。
 今後観戦の仕方にもマナーとかできそうじゃな。

ミライ: というと?