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この記事で大いに盛り上がっているみたいですね。
「みんなジョブズに騙されている」進歩の止まったコンピュータのUIを問い直す
刺激的な内容の上、対談を編集したもので言葉が尽くせないため、読む人によっていろんな読み方になるようです。
私もいろいろ考えさせられてしまいました。
まずこの部分。
使い方がこれほど変わっているのに、計算機自体の方はまったくと言っていいほど変わっていません。カバーを被せて見た目は変えてありますが、基本的には20年前のUNIXのままです。これには、今実際困っています。
私はエンジニアでもあって、PCにボード組み込んで、特殊な装置を作ったりします。いわゆるリアルタイム制御みたいなことをしていて、1/1000秒ごとに1回やりたい処理があるのですが、たまに処理してくれないことがあります。Windows使わなくてはいけない事情があって、linuxにすれば多少マシとは聞いていますが、それでも保障できないとも聞いています。(リアルタイムOSというのもあるのですが、開発費がかさむため現実的ではありません)
いまやPCのクロックは3GHzとかですから、1/1000秒なんて 300万クロックに一回です。300万回に一回くらいこっちの仕事しにきてくれてもいいのに、なぜかしてくれないときがあります。
この辺の事情ってざっくり20年変わってなくてなんだかなあと思います。
この問題は特殊な装置の問題だけではありません。
今スマホでお絵描きソフトみたいなの立ち上げてタッチパネルの上ですばやく字書いたりしようとするとスマホが付いて来れない様子を見ることができると思います。きちんと調べてないので断言できませんが、それはいかにもこの問題に絡んでいるようにみえます。
ただし、
計算機が長い期間変わっていないという現状を憂うことすらしていないかというと、多分そんなことはありません。
今は、速くて小さいメモリと遅くて大きいメモリを使い分けるために、上記のような問題が出るのですが、そろそろ速くて大きいメモリという、桃色筋肉みたいなすごいメモリができてきて、そうするといろいろ話は変わってくるのです。
逆にこれが出て来ないうちは、20年変わっていないというものを大きく変えるメリットに乏しいかもしれません。今あるデバイスの組み合わせではそれなりに最適化された構造を作りあげているのです。
ということで、この部分はまあもう少し待てば風向き変わると思っています。
次にこの部分。
スマホも随分買いかぶられたものです。スマホはもともと「電話」です。iPhoneだって "Phone" です。今のPCよりも知的生産が向いてるものとして出てきてわけではありませんから、「知的生産に向いて」ないことでジョブズをやり玉にあげるのはちょっとぬれぎぬです。スマホも同じで、今流行っているのはジョブズに騙されているだけです(笑)。昔はPalmなどで知的生産をしていましたが、今のスマホはメモも書きづらいし、絵も自由に描けるとは言い難い。つまり、知的生産に向いていません。
とはいえ、こう言わざるを得ないのはある意味仕方ありません。
ちょうどこんなまとめを見ました。
3年後の新入社員はメールを使えない場合がある - Togetterまとめ
今若い人は、PC触んなくても生きていけるけど、会社ではばりばりPCやメール使われてるぞ??という深刻な問題です。
これは、今のところずばり若い人が自覚しないといけません。社会人になったら、ビジネスレターが書けないと同じように、PCやメールが使えないととても不利になるという現実です。スマホの方が生産性が高くなるという見通しは立っていませんから、スマホにしがみついていたら、頭打ちになるだけです。
最近腰を痛めた時、SOHOなので極力横になってスマホで仕事しましたが、要所要所でPCでないと効率が悪過ぎる作業はまだあることを思い知りました。(ちなみにこのせいでネット保険の加入数が減っているという話を聞きました)
有り体に言うと郷に入っては郷に従えです。地方活性とかやってたら、FAX使えないとだめとかと同じです。「FAXとかww」ってバカにしたら、そこで止まるだけです。
ですから、今の人は、就職する前にわざわざPCに慣れておかなくてはなりません。就活と同時に新聞を読み始めるように、PCだって始める人が増えるでしょう。やってなければ入ってから大いに不利になるのですから。スマホやLINEにはその良さがありますから、両方使って、PCだけより生産性をあげるのがいいのです。
こういう状況を憂いて、つまりスマホのせいで仕事以外でPCに触れる機会が激減してしまったことに対する警告なのだと思います。
最後に、
この部分もそんなに悲観する必要はないと思います。かつて私たちが開発した携帯電話の予測入力はもともと、ホーキング博士のような障害者向けのものでした。それを一般の方々が喜んで使うようになったのです。対して今の計算機は、開発者が自分が使いたくて作ったものを、“弱者”も含めて全員に使わせようとしています。これがよくない。
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