ついに原発廃炉の人材育成の話が出てきました。
産官学で原発廃炉の人材育成 東大・東電など協力
これに近い話は、2年以上前に提案しています。
【勝手に楽観シリーズ:4】原発ゼロを決めても、原子力の安全を支える人材を確保する簡単な方法
2年前は民主党政権下で、原発ゼロの方針だった頃です。遠い昔ですね〜。原発0をうたっちゃったら、人材が確保できなくなるのではないかと言われていました。
が、その記事では「原子力発電廃棄科」など、廃炉に特化した学科を作れば人気が出るだろうと提案しました。なにしろ大義もあるし、絶対食いっ逸れないからです。そういうのを地方大学が率先してやれば学生確保に有利になるだろうと考えました。
現実は、まず廃炉専門の講座を東京大学・東京工業大学で始め、他大にも遠隔で提供するようです。
地方大が出し抜くことはできませんでしたが、これで原子力工学を専攻する学生はその多くの人が廃炉の技術を学んでいくことになります。
これで、今後原子力工学を目指す人は増えるでしょう。自分が被爆するリスクはありそうなのが不安ではありますが、そうしないための学問です。そして、廃炉は絶対一生食いっ逸れません。廃炉をするという大義もあります。
原子力推進派にとって人材確保は大きな悩みだったことでしょう。人が来てくれなさそうです。でも廃棄の講座がありますと大きく宣伝することで、「私は廃棄に貢献したい」と志す人を取り込むことができます。ですから、一部の大学だけでなく他の大学も共有します。
一方この講座がない大学はどんどん人気が落ちるのではないでしょうか。原発の技術をいくら学んでも、ある日原発0を目指し始めたらもう仕事はありません。今ですら、高速増殖炉周りとか実験したくてもできないし、まあ給料はもらえているのでしょうけど、研究者達は永遠に訪れないかもしれない研究再開の日をプールの落ち葉拾いでもいながら待っているのでしょうか。現実がどうかはわかりませんが、学生も似たようなことを考えると思います。廃炉の方が俄然、忙しそうで魅力的です。
なんてことは、学生に限らずその世界の人たちにも言えるでしょう。もう原発は安くないという認識も広まってきていて、その分は電気料金に上乗せしないといけないという議論が出てきています。
東京新聞:原発損失料金上乗せ 自由化後の中間案:経済(TOKYO Web)
普通技術は年々安くなるもので、なのでどんどん普及するし、ビジネスとしても楽しいのですが、原発は年々作るのにコストが高くなっていて、やってもつまんない技術です。
原発は高いという認識がもう少し広がれば、企業もやりたくなっていきます。人材も集まりません。
それでもビジネスがなくなるのは企業も従業員も嫌ですから抵抗するでしょう。今はその局面です。
でも、幸か不幸か、原発には廃炉があり、最終処分の問題もあります。つまり、そういう需要が確定していますから、原発0を目指すことにしても、そちらに移ることができます。今は日本国内で新規原発を作るのは絶望的なので、原発の輸出を頑張らねばとか言っていますが、それも執着する必要はなくて、廃炉や処分の技術を磨けば、それを輸出することができるようになります。