こんな記事が目に止まりました。

 ちっとも失われていなかったこの20年―国富の推移は、どうなってきたのか:研究員の眼 
 
 この記事では、日本全体の資産合計額である国富の額のバブル崩壊後の推移について考察しています。値としては下がっているのですが、それは土地の値段が下がっているからで、その影響を取り除くと、むしろ増えているそうです。

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(ちっとも失われていなかったこの20年―国富の推移は、どうなってきたのか:研究員の眼より)

 個人的には、この20年脱皮のための停滞であってちっとも失われていないと思っていますが、そうはいっても、物価は下がるは賃金は下がるは、「ちっとも失われていない」と強弁するほど、強い思いがあるわけではありません。

 しかし、先日日本の観光競争力が世界9位になったことについて書いたときは、密かにやっぱ日本力溜めてたじゃんとほくそ笑んでいました。

 特に、「文化的観光資源」が日本6位というのが嬉しくて、これは世界遺産とか無形文化遺産の数などが評価の対象になっています。歴史の古い日本が失われた20年の間もやけになって昔をどんどん壊すことなく、むしろ世界遺産や無形文化遺産の登録を地道に増やしているからこそ、高いランキングを獲得することができます。それは当たり前のことではありません。世界には世界遺産を破壊する組織だってあります。日本だって景気悪ければ、そんなもんないがしろにするのは十分ありえることです。

 あるいは、エコノミックアニマルと言われていた時代に日本は価値観を変えてしまい、それら非効率な文化遺産をことごとく捨て去ることもあったかもしれません。

 私たちは、そんな可能性がある中でも日本の持つ文化を大切にして、海外からも評価されるようになりました。もちろん理想的な量の活動はできていないでしょうが、心では日本文化をしっかり守ってきています。

 その一方でアニメなど新しい文化も次々と創造しています。世界中でこれからはグローバル社会だ、我が国こそがグローバル競争に勝たなければとわめく中、日本の若者たちはそんなことはあまり気にせず、独自の文化を築き、それが世界中の一部の人たちに染み渡っています。

 日本国民の食文化へのこだわりも、ずーっと変わりません。旅行の楽しみといえば食事というのは、日本でアンケートをとれば必ず上位に来ますが世界的にはそんなことはありません。先の観光競争力では100はあろうかという評価項目に食事はまったく入っていません。

 グローバル競争に本気で勝つには、食事なんか完全食「ソイレント」にして、もっと効率化すべきだとか、もう20年失ったんだ、グルメなんてものにうつつを抜かさず働こうとかいう意見が出てくるわけでもありません。

 日本人の中には、こういう景気が悪くなってもちっとも変わらない考え方というものがあって、そういうところは、停滞期でもずっと日本中で追及されていて、それが20年で溜まりに溜まって今花開こうとしています。