今日は木曜ですが、昨日通常運転でしたので、気楽に始める[S]です。

 安保法案採決をめぐって、与野党間で激しい攻防が繰り広げらています。多少抵抗したところで、今週中の採択を防ぐのは難しいのではないかと思っていましたが、どうしてどうして、ものすごい抵抗です。

 きっかけというか、昨日の横浜地方公聴会では、終了後デモ隊が委員長の車を囲み、国会へ帰還するのを30分ほど遅らせました。

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 野党をそれを見て、気合が入ったのでしょう。ものすごい粘り腰で審議を遅らせています。その働きぶりに、「デモが影響している」と肌で感じる人も多いのでしょう。国会前のデモは深夜になっても朝になっても人が途切れることがありません。それを見て野党もまた奮い立つことでしょう。すごい勢いです。福山哲郎の大演説とか、ツイッターで絶賛されています。デモと野党が完全に共鳴を始めています。

 世論としても法案の是非よりも採択が早すぎるという声は大きいです。特に賛成でも反対でもない人が20%を切っており、この件に関して、世論がはっきりとした態度を持っているのが印象的です。

 ですから、与野党共に「継続審議」という落とし所が見えています。与党としては本国会で採択できないことはほとんど敗北を意味しますが、それでも「廃案」よりはマシです。具体的な着地点があるだけに、野党も粘りがいがあります。
 ここにきて、ツイッターなどでは、いまこそ牛歩戦術を使えという声が時間を追うごとに大きくなっています。以前多用され、かっこ悪いと国民からひんしゅくを買った戦術ですが、今度は国民から使えという声が出始めているのです。もし使うことになって、世論的にも受け入れられたら、SNS時代の政治の象徴的な出来事になるでしょう。

 そのような戦術が成功し、土曜以降の5連休に入ってしまうと、全国のデモの行方がまったくわからなくなりますから、もし金曜に時間切れとなれば、その時点で「継続審議」の決断をするのではないでしょうか。

 そこまで行けば、今回のデモが大成果をあげたことになり、歴史の1ページに載ることは確実です。
 もし、そこまで行けなかったとしても、デモが国会審議の進行に明らかに影響したとして、これからの日本のデモ活動に大きく影響することでしょう。

 特に SEALDs のように、若者が目覚めたことも大きいです。若者は自分の所属する会社とかなくて、つまり立場で話すわけではなく、いわば正論を真正面からぶつけます。正論ゆえに老若男女多くの人を巻き込み、国会進行に影響を与えるまでになりました。

 過激な手段に頼ることなくというのも大きいです。むしろ過激な手段に訴えてしまっては、社会の理解も得られませんし、止められるものも止められないことでしょう。反原発など最近増えたデモ活動は、必ずしも直接的な成果をあげていないかもしれませんが、それでも、過激化することなく我慢強く主張をしてきました。それらすべての活動がより多くの人々のデモへの参加を促し、そしてついに安保法案では国会進行に影響を与えたのです。

 これからデモ活動はますます活発化することでしょう。なぜなら「効く」ことがわかったからです。しかも、声を上げる方法は他にもできています。4800円で国会議員全員にFAXを送れるサービス Japan Changer です。

 安保法案がそろそろアレなのでJapan Changerについてひとこと言っとくか:村上福之の「ネットとケータイと俺様」

 結構使われているようです。ちゃんと目を通す議員もいるようです。デモもこのようなFAXも、議員一人一人にはもちろん効きます。次の選挙の当否に影響するからです。

 今自民党議員の中には賛成を投票していいのか悩んでいる人もいることでしょう。

 今後デモや Japan Changer が発達していくにつれ、各議員にとってそれらはますます重要になるでしょう。ですから、

 【馬】20世紀から抜け出せない人たち  

でも書いた通り、もっと党議拘束を緩めることになるでしょう。党議拘束に無条件に従って、いわば投票ロボットとして行動をすることが難しくなっているのです。自分の支持層の意見を否が応でも聞かなくてはならなくなってきているのです。

 もし今回党議拘束が外れていれば、少なくない議員が反対(あるいは継続審議への賛成)を表明せざるを得なかったでしょう。

 逆にいえば、党議拘束が緩まれば、デモも Japan Changer もいったん減るでしょう。なぜなら、みんな地元の議員に直接言うなり FAX すればいいからです。どうやっても声が届かないからデモをするしかなかっただけで、議員が聞いてくれて、その投票行動に影響するのであれば、その方がはるかに効率がいいです。