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【馬】都会から地方に行く人は年間21万人いる。
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【馬】都会から地方に行く人は年間21万人いる。

2015-12-07 23:45
    この記事は【馬車目線】(?)でお送りします。


     ちきりんさんのこんな記事を見かけました。

     東京一極集中と地方の衰退は無関係

     東京一極集中の対立概念は、地方再生ではなくて2大都市集中、あるいは複数大都市への集中だという大変面白い話です。

     が、ちきりんさんは自分は「多彩な文化が高度に集積する高刺激で高密度な大都市に住みたい人」と明言していて、そっち側からの視点で書かれています。で、はっきりとその視点からの感覚と実際のデータが異なっているところがあります。

     ちきりんさんは、都会に住む人は、「多彩な文化が高度に集積する高刺激で高密度な大都市に住みたい人」として、そういう人で田舎に行きたい人はごく稀で、他に東京のようなところがないので、東京一極集中が起こっていると解説しています。もし、福岡、名古屋、大阪などの他の大都市が本気で東京の人を取りに行ったら集中は変わるだろうと。

     では実際を見てみましょう。
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     これは、2014年住民基本台帳人口移動報告 年報の中の第12表のデータと、2010年国勢調査の人口統計から集計したグラフです。

     どういうグラフかというと、グラフの一番右は、東京23区から100万人以上の市区町村に引っ越した人の数です。約31万人です。

     その左は、東京23区から10万人〜100万人の市区町村に引っ越した人、約16万人。
     さらに左は、東京23区から1万人〜10万人の市区町村に引っ越した人、約5万人です。合わせて21万人。

     全体では、52万人です。

     これを見ると、東京から引っ越す人の約6割は、また100万人以上の都市に引っ越していますが(東京から東京に引っ越すのも含まれます)、それ以外の4割の人は地方に引っ越しています。

     これがもし9割以上が都市に引っ越すというのであれば、ちきりんさんの口ぶりでいいと思いますが、実際は半分とは言わないまでも、大変大きな割合の人が人口100万人以下の市区町村に移り住んでいるのです。

     ですから地方が魅力的になれば、五分五分になることだってあるでしょう。ちきりんさんのいうように、都市同士の取り合い、地方同士の取り合いだけではありません。都市と地方間の取り合いも概ね同じ規模でしのぎを削っています。

     このような誤解を生む原因は、規模の問題は扱いは難しいからです。

     ちきりんさんの記事には、都市から過疎地に行く人なんてほとんどいないという例があげられています。実際上のグラフでも、人口1万人以下の市区町村に引っ越す人はほとんどいません。が、それはもともと、人口1万人以下の市区町村に住む人はほとんどいないからです。それを示すのが次のグラフです。
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     100万人以上の都市に住む人は日本に、2900万人います。
     10万人〜100万人の市区町村に住む人は6000万人、
     1万人〜10万人の市区町村に住む人は3700万人です。

     しかし、千人〜1万人以下の市区町村に住む人は240万人、千人以下のに住む人は17000人しかいません。

     注意しなければいけないのは、例えば私がたまに伺っている内海町は、まあ限界集落と言っていい離島だと思いますが、福山市に含まれていますので、上のグラフでは、真ん中らへんに組み込まれています。そんな風に各地区の実態と市区町村の規模が一致するわけではありませんが、その辺を考慮しても、グラフの形が変わるほどではないはずです。

     また、このグラフを見てわかることは、日本の人口の半分は10万人〜100万人の大きめの地方に住んでいるということです。私の住む福山市は50万人弱ですから、ぶっちぎりのど真ん中です(笑
     私の住んでいるようなところが、一番たくさん日本人が住んでいるところなのです。

     その次が1万人〜10万人の小さめの町。

     100万人以上の都市に住む人は日本の中ではどちらかというとマイナーなのです。

     もう少しこの構造を見るには、規模別で市区町村数を調べるとはっきりします。
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     全国に、1万人〜10万人の小さめの町は1000近くあります。
     しかし、10万人〜100万人の市区町村は250程度、100万人以上の都市は12しかありません。
     一方千人〜1万人以下の市区町村も450程度しかなく、千人以下の市区町村は26しかありません。

     市区町村の規模としては5万人程度が一番多く、そこから離れる従ってその数が減るという釣鐘型の分布をしています。

     人口は大都市にはたくさんいますから、この分布が大都市側にずれるのです。

     いわゆるロングテールに似ているようで、違う分布です。そのあたりは2年くらい前の記事に詳しく書いています。

     市区町村別一人あたり面積をプロットしたらロングテールだった  

     このような規模が関わる話の落とし穴は、この場合で言えば、大都市が目立つということです。東京23区には900万人住んでいます。もしニュースを見ていると、100万人弱の都市の話が10箇所1こずつ出ている間に東京の話は10回出てくることでしょう。当然東京が目立ちます。

     たとえば、東京にいて、周りの人が福岡や大阪に引っ越したという人は何人もいたりして、やっぱり、都会から都会に引っ越すなあと感じるでしょう。でも、 
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