お金が勝手に増えない時代が来た(その4)  の続きです。

ミライ: お金が勝手に増えない GDP 0 成長の時代を見てきましたが、今良く言われている持続的な低成長と同じような気がするのですが。

フツクロウ: 低成長は持続的ではない。

ミライ: 持続的でないんですか?

フツクロウ: 低成長ということは、モノの値段が少しずつ上がっていくということじゃ。iPhone が新製品を出すたびに少しずつ値上げをしていく状況じゃ。

ミライ: あ~。なんか想像しにくいですね。

フツクロウ: ホウじゃろ。日本は値上げどころが、値下げが止まらんくらい価格の上昇には敏感だったからの。今は値下げばかりしていてもよくないという風潮もある。結局価格維持という力が強く働いている。

 もちろん、価格は維持しても、質という点で、激しい競争が続いておるから、世の中が進化しないというわけではない。

ミライ: なるほど、じわじわと常に値上げが起こるよりは、現状維持の力の方が大きいと。

フツクロウ: ホウいうことじゃな。政府のインフレ誘導にびくともしないほどの力じゃ。わしは、これは静かな市民革命じゃと感じておる。

ミライ: 市民革命。

フツクロウ: ホウじゃ。政府の考えるようにインフレが進むと、お金でお金を増やす人が得をする。もうそういうのは嫌だ、という抵抗力になっとるんじゃないかの。

ミライ: むむー。政府がいろいろ手を打っても、インフレが進まないのは、国民が価格維持を志向するからなんですね。

フツクロウ: ホウじゃ。「持続的な社会へ、急速に変化」しようとしている一つの現われじゃの。これは人間だけじゃない。企業もそうじゃ。

ミライ: 企業も?

フツクロウ: 内部留保が膨らんでいるのに、設備投資が増えんという話があるじゃろ。

ミライ: はい。

フツクロウ: 先が見えないからとも言われているが、もう生産規模はせいぜい現状維持じゃから、必要な設備投資も限られてくる。だいたい、世の中どんどん大きな設備投資を必要とする事業も減ってきておるしの。

ミライ: でも、企業はそんなに貯めこんでどうするんでしょうか。

フツクロウ: たしかにの。これからは設備にではなく、人に投資しなければならないから、そういう方向に向かうんじゃないかと思っておるぞ。

ミライ: 給料が増える?

フツクロウ: ホッホ。人手不足もあって、少しずつ上っとるようじゃの。

 昨年の賃金、月30.4万円=過去2番目、女性は最高(時事通信) - Yahoo!ニュース  

 それもそうじゃし、人材育成のような取り組みに使われるんじゃないかの。働きやすい環境作りとかの。そういうのに使っていると示すことで、より優秀で多様な人材を呼び寄せられるからの。