岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/02/14
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/01/15配信「『日本人の9割が知らない遺伝の真実』ゲスト:安藤寿康」の内容をご紹介します。
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2017/01/15の内容一覧
- DMMサロンの機動戦士ガンダム講座
- 『真田丸』はヤマトであり、ガンダムであり、スター・ウォーズである
- 『わたしは真悟』のミュージカルを見てきたよ
- 歌舞伎や落語はいける?
- 新海も片渕も庵野も、みんな勝手に『ナウシカ』を作ればいい!
- 叶姉妹コミケに行ったってよ! 彼女らは365日コスプレじゃん!!
- パソコンをメインで使っている人は絶滅危惧種?
- 知的セレブの条件は、姿勢がいいこと?
- 行動遺伝学者、安藤寿康先生登場
- 才能を作るのは、遺伝か環境か
- 一卵性双生児と二卵性双生児を比べて遺伝の影響を調べる
- 肥満遺伝子って本当にあるの?
- 知能とはいったい何か?
- あらゆる人間の能力は遺伝の影響を受ける
- 才能に努力では勝てない?
- 『週刊 航空自衛隊 F-4EJ改をつくる!』が楽しい!
- 正規分布は人間社会の本質を表している
- 性格も一次元の値で表せる?
- 教育が正しく機能すると格差は広がる
- 階級社会は必然なのか?
- 右肩上がりに進化し続ける社会は幻想
- 社会をキッザニア化せよ
- 大学が人をダメにしている?
- AmazonGoでレジ打ちが消える
- ピグミー族に人間社会の原点を見た
性格も一次元の値で表せる?
岡田:この本の中には「性格も一次元の値で表される」ということが書いてありました。つまり、知能指数みたいにテストで計って、一次元の値で表すことができると。
そういうことが、クエスチョンマーク付きで書いてあるんですけどこれはどうなんですか?
安藤:そうですね。この考え方というのは――。
岡田:すごく怖いですよね。
安藤:怖いんですよ。だから、僕は使いたくないんですけども。
岡田:GFPでしたっけ。
安藤:そうですね、"General Factor of Personality"。
岡田:情緒不安定性をマイナス、それ以外をプラスの値で足して、外向的で心が安定していて、勤勉で、人と上手く協調できて、知的好奇心も強いというのがGFPがプラスの人。
安藤:まあそうですね。
岡田:おまけに「そんなことは本当にあるのか? ウソじゃねーのか!?」って言いながら調べてみたら、「GFPが高い人ほど、現在ついている職業や結婚に関しても満足度が高く、離婚しない」と。で、「GFPが低い人は犯罪を犯しやすく、鬱病にもかかりやすい傾向が出ています」。
安藤:そう。いやでしょ?
岡田:これはいやですよね(笑)。
安藤:いやですよ本当に。だから使いたくなかったんですよ。
岡田:それは僕らの宗教観にひっかかるからですよね。あらゆる人間は、宗教あるいは偏見から自由ではいられないので。
「性格はそんな一次元的な数値で表せるはずない!」と思いたいという、その信仰心を否定するような研究結果が出てしまった。
安藤:1980年代くらいから「パーソナリティは一次元的には表せない」という理論と、それを実証データというのがずっと積み重ねられてきました。パーソナリティは「5つくらいの要素でまとめられる」とか、「3つくらい」とか言われてきました。
知能に関しては、かなり昔から1つの指標で表されるというデータがあったんですが、「パーソナリティは1つでは表せないよ」というデータが主流だったんです。
岡田:頭のよさとか成績みたいなものは、最悪、数字で表されるとしても――それすらも数字で表すのは嫌なんだけども。人間性の在り方や性格は多様だと思っていたのが、これすらも最新の研究によると、「いや、割と一次元的に表わせます」と。
安藤:ただ、一次元的に表す際の強さというのは、知能に比べればだいぶゆるい。
岡田:……後半のこの放送を見ているのは、わざわざお金払って見てくれてる人なんですよ。今、「金を払うほどツラい話を聞かなければいけない」という不思議な矛盾の世界に入っていますよね(笑)。
安藤:そうですね(笑)。でも、今この番組を見ているのは覚悟のある人たちだと思います。
岡田:覚悟があって、500円払ってて。そんなみんなができることは、ツィートするしかないよ、この怒りを!(笑)
安藤:ただ、それに対する救いも、この本の中に書いたつもりです。
「外向的である」、「勤勉である」、「愛想がいい」、神経質というか「情緒不安定さ」というのは、質的に違うものだし、もともとバラバラに出て来るものなんです。これらを無理やり足し算したところ、「実態として意味がありそうだ」というのが、2007年くらいから言われるようになってきたという話で。
岡田:ああ、ほんとに最新なんですね。
安藤:だから、これについては、まだ「賛否両論」というところなんです。
岡田:ただ、昔みたいに「性格というのは千差万別であって、優劣が作れるというものではない」という楽観的な世界には、たぶんもういられない。
安藤:そうですね。最近、『やり抜く力 GRIT』という本が売れていますが、ご存じですか?
岡田:はいはい。
安藤:あの本の中では「大事なのは知能じゃなくてGRITだ!」って書いてあって、それで救われた気になった人もいるんでしょう。あ、昔は「EQ」が大事とも言われてましたよね。
でも、そうやって「頭の良さだけでないんだ!」って言われて救われた気になるのは一瞬です。
直後には「じゃあ、EQが低かったらどうするんだよ!?」とか、「GRITが低かったらどうするんだよ!?」とか、「両方低かったらどうするんだよ!?」みたいな話になるんで、全然好きになれないんですよね。
岡田:そうですよね。EQであろうとGRITであろうと、人間の能力である限り、絶対これは正規分布になるわけですからね。
安藤:そうです。だいたいどんな能力についても遺伝の影響力は50%くらいなので、「両方とも遺伝的に低かったらどうするんだよ!?」という話になっちゃうわけですよ。
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