岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/05/24

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今日は岡田斗司夫のゼミ室通信をお届けします。
DMMオンラインサロンの岡田斗司夫ゼミ室では月に1回オフ会があり、ここで質問や相談を受け付けています。

ランバ・ラルに対するハモンの気持ちを、わずかな表情の変化で見せる演出

今日はDMMオンラインサロン【岡田斗司夫ゼミ室通信】から、5月12日 特別講義をお届けします。


ランバ・ラルは、「この戦いが終われば、二階級特進だ」と言います。「そうすれば兵士たちにもいい暮らしをさせてやれる」とも。

(中略)

それを聞いたハモンは「兵士たちのため?」って聞きかえすんです。
ランバ・ラルの本音を聞きたいんですね。

「おまえのためでもある。ザビ家により近い暮らしができる」
ここでランバ・ラルは本音らしきものをポロっと言うんですよ。

そうすると、もうねぇ、ハモンさんの演技がいいんです。

「ザビ家により近い暮らしができる」と言われたときに、ハモンさん、まったくセリフなしに、右目だけをやや細めるんですね。

はい、目じりがほんのちょっとだけ下がります。

目じりがこういうふうに下がるっていうのは、笑顔じゃないんですよ。実は相手をやや見下している。

ハモンは(まぁうれしい!)って顔をしたんじゃない。

だからと言って、哀しいという顔をしたわけでもない。

「そんなことを言われなくても、私はそんなことを求めてるわけじゃないの!」と、ランバ・ラルに怒ったりもしない。

やや右目の目じりだけがさがって、相手を見下す表情をするんです。

なぜか。
「そんなことを私が望んでいると、この人は思ってるのかしら。あぁ、なんてかわいい男なんだろう」
と思ってるからです。

ハモンさんのその心理状態を、右目をやや下げて、目をちょっと細めるという演技だけでやってるんです。

ここもやっぱりセリフで描かない。ガンダムのすごさですね。

「ザビ家に近いぜいたくな暮らし」がしたいような女だったら、一緒に地球に降りてくるはずがないんですよ。
安全で快適なジオン国内で、仕送りを受けてた方が、よっぽどか楽で幸せなんですから。
こんな風に苦楽を共にするはずがないんです。

砂漠のど真ん中で、補給物資を運んできた人の労をねぎらうためだけに、ランバラルが立ち会ってる。その横で、ハモンさんも一緒に立っている。寒空の下、コートを着て。
そんな人が、「ザビ家に近いぜいたくな暮らしがしたい」はずがないんですけど、わかってないんですよ、ランバ・ラルは。
で、「お前に幸せな生活をさせるためでもあるんだ、どうだ!」っていうふうに、つい言っちゃう。

わかってないと思いながらも、自分のために戦ってくれる男を目の前で見ていれば、嬉しさがこみあげてくる。これもまた「女の性」ってやつですよね。
それが気持ちよくって、一緒に降りてきてしまうわけですしね。

〜『機動戦士ガンダム』第17話『アムロ脱走』解説より

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