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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「第2次大戦を舞台にした児童書かつホラーの大傑作『ブラッカムの爆撃機』」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「第2次大戦を舞台にした児童書かつホラーの大傑作『ブラッカムの爆撃機』」

2019-01-18 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/01/18

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2018/12/23配信「クリスマス・年末年始が10倍楽しくなる“一人遊び”特集」の内容をご紹介します。
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    2018/12/23の内容一覧


    本を読んだ後に作りたくなるプラモデル 『ブラッカムの爆撃機』(前編)

     あと「本を読んだあとで作りたくなるプラモデル」っていうのもあるんです。
     ちょっと、この話をするには、本の話からしなきゃいけないんですけども。

     『ブラッカムの爆撃機』という本です。

    (本を見せる)
     これね、生放送で見ている人の特典ということでもないんですけども。この放送が終わった頃には、たぶん、この本の在庫はAmazonからなくなっていると思うので、この『ブラッカムの爆撃機』、興味のある人は今のうちに買っておいてください。
     これ、何かというと、宮崎駿が24ページもフルカラーのマンガ描いてるんですね。まあ、それだけじゃないんですけども。

     これは、ロバート・ウィンストールという、イギリスの作家が書いた、基本的には児童書なんですね。子供向けの小説です。
     児童書なんですけども、タイトルが『ブラッカムの爆撃機』ですから、舞台は第2次大戦中の爆撃機なんですよ。かといって、戦争モノかというと、実はそうじゃないというやつなんですね。
     宮崎駿が表紙を描いていて、これはいいなと思ったんですけど。表紙だけじゃなくて、なんか延々、こんな感じで、マンガ版のナウシカよりも描き込んでいるフルカラーのマンガを、あのじいさん、24ページも描いてやがるんですね。
     もうこれだけでもお買い得なんですけど。でも、この小説自体もメチャクチャカッコいいんです。

     主人公は、高校を卒業したばかりのゲイリーという男の子です。
     高校を卒業したばかりだから18歳くらいですね。このゲイリーの他に4人いる爆撃機のクルーも、全員18歳なんですよ。高校を出たばっかりなんです。
     というのも、18歳になったら「王立英国空軍」(ロイヤル・エアフォース)に入れたんですよ。
     当時の若者はそんなヤツらばっかりで、訓練が終わったヤツは、行列を作って、一斉にチームに分けられるんです。

     もう、爆撃手、機銃手、ナビゲーター、無線係、パイロットと、訓練が終わった若者は全員列を作って並ぶんです。で、列の先頭から、ジェットコースターに乗る時に「はい、あなたは1番。あなたは8番~」というふうに言われて、座るじゃないですか? あんな形で、知り合いとかうまい下手も関係なく、とりあえず5人1組でどんどんチームを作らされて、爆撃機に乗せられることになりました。
     これ、実際にもこうだったそうです。そこら辺の風景を、宮崎駿が描いたのがこれなんですけど。
    (パネルを見せる)
     「英国風爆撃機乗員即製養生法」と書いてありますね。メチャクチャ細かいから読みくいと思うんですけども。
     アナウンスをして、ゾロゾロと若いヤツがやってきたら、パイロット志望者は「習うより慣れろだ!」と言って、とにかく乗せられる。
     あと、爆撃手とか機銃手も、1日か2日講習をやったら、いきなり飛行機に乗せられて「撃ってみろ」とか、「落としてみろ」と言われる。
     無線と後方手だけは、ちょっとだけ教育期間があるんですけど、それも1~2週間で終わってしまって、彼らも卒業すると同時にどんどん飛行機に乗せられました。

     なぜ、こんなことをしたのかというと、この当時「飽和爆撃」という方法が取られていて、1回ドイツを爆撃しに行くのに、100機、200機、500機、最終的には1000機くらいの爆撃機の編隊を飛ばしていたからなんですね。
     それも、夜中に飛んで行くものだから、爆撃ポイントまで行く間にエンジンの不調とかでドーバー海峡に落ちて死んでしまうヤツらもいっぱいいる。
     ドイツに着いたら着いたで、本当はもっと高いところから爆弾を落とせばいいんですけども、高いところから落としたら、途中で風が吹いたりすると爆弾の進路が歪んでしまう。なので、高度200mとか300mという、高射砲がモロに当たるし、敵の戦闘機が上がってこれるような危険な高度から爆弾を落とさなきゃいけない。
     まあ、ランカスターなどの新兵器は、もっと高いところから落としたそうなんですけども。主人公が乗る爆撃機は旧式なので、すごく低いところから落とさなきゃいけなかったんですね。なので、バンバン落とされるんですよ。
     だいたい、20回だったか、それくらい出撃することを「1セット」と言うんですけども、その1セット終わった後で生き残っている確率が、なんと44%。2セット目に行くと、生き残り確率は20%というくらいに、とにかく損耗率が高かった、つまり、死ぬ人が多かったんです。
     イギリスは、この爆撃機に18歳の若者をバンバン乗せました。
     その結果、直接死んだ人間が5万5千人。間接的に、その怪我が原因で後に亡くなった人を含めたら10万人くらい死んだそうなんですけど。
     その結果、ドイツにどれくらい損害を与えたのかというと、民間人を含めて1万人に届かないんじゃないかと言われてます。
     こういう、本当に無駄な戦争の世界だったんですけども。
     こういうことについて、この本の作者と宮崎駿が対談する……といっても、もう作者は死んでるんですけど。「宮崎駿の夢の中で、いろんな話をする」という、けっこう良い漫画を描いてるんですよ。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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