岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/05/10
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2019/04/21配信「【風立ちぬ】完全解説・堀越二郎を誘惑する3人の悪魔」の内容をご紹介します。
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2019/04/21の内容一覧
- 前説と雑談「小池一夫先生の訃報について」
- 雑談「NHK朝ドラ『なつぞら』が面白い」
- 『キカイダー』と『風立ちぬ』
- 絵コンテの説明
- 菜穂子の生きる欲、魔女と預言者
- 悪魔との取引を描くダークファンタジー
- 手塚治虫にはならない
- ゼロ戦のすごさ
- カプローニとは何者か?
- 役に立たない美しい飛行機
- 「ラスト改変」という妥協
- 宮崎駿引退宣言の真相
- 出来上がるまで1年3ヶ月も掛かった、4秒の群衆シーン
- 『ムーミン』をどう語るか
絵コンテの説明
(『風立ちぬ』について)次は、ちょっと見えにくい絵コンテの説明になるんですけども。
(パネルを見せる)
これは、三菱内燃機にやってきた堀越二郎が上司の黒川さんと共に廊下を歩くシーンの絵コンテです。「女ばっかり見ている」というやつなんですけども。
1コマ目の注釈には「意に介せず悪びれない二郎」と書いてあります。これ、どういう意味かというと「会社に来るのが遅くて、この黒川さんに怒られるんですけど、二郎はまったく意に介せず、悪びれない」ということですね。
2コマ目には「ここで二郎の目が左側に」と書いてあり、3コマ目には「娘たちがよぎって行く」って書いてあります。
5コマ目では「娘たちを前にして二郎、頭を下げて、左を通る娘にも会釈を返す」というふうに書いているんですけど。
この黒川さんというキャラクターは、宮崎駿のお気に入りのキャラクターなんですね。本編でも、やっぱりすごい人格者なところを見せるんですけども。
この「そんな黒川さんの話を聞き流して、女の子ばっかり見ている二郎」というのは、明らかに宮崎駿は、この段階では主人公に感情移入させないようにしてるんですね。
観客にあまり主人公に感情移入させないように、主人公の欠点を見せるという形で「ちょっとダメなやつなんですよ。批判的に見てください」というふうに作ってます。
その後のコンテでも、「庭に飛行機があったら、黒川さんが話しかけている中でも、その飛行機を見えなくなるまで目で追ってしまう」ということが描かれています。
一緒に働いている同僚とか仕事場よりも、女の子や飛行機にばっかり興味を持ってしまう。しかし、天才で抜群に仕事は出来る。そういう「ちょっと困ったキャラ」として堀越二郎というのを描いてました。
こういうところを指して、さっきから僕は「サイコパス」と言ってるんですけども。このサイコパスな部分を、宮崎駿は決して良いこととは思ってないんですね。ここまでの描き方でもわかる通り、決して「天才だからしょうがないんだ」とは描いてない。
なぜかというと、同じ天才の本庄を、そういうヤツとして描いてないからです。「2人の天才」というふうに、宮崎駿は飛行機に関して書いたエッセイの中でも、本庄と堀越二郎のことを書いているんですけど。だから「天才だから仕方がないんだ」という描き方じゃないんです。
でも、宮崎駿が描きたかったのは、やっぱり、こういう人格的に問題のある堀越二郎だったんですよ。
では、なぜそれを描きたかったのか? その理由は、まあ今日の後半で話そうと思うんですけども。
次は、予告編でもお話したこのシーンですね。
(パネルを見せる)
「二郎の差し出すシベリアを拒否する女の子」です。思いがけず拒否されて、堀越二郎はボンヤリと立ち尽くしてしまう。
ここで、女の子は、二郎から「ほら、シベリアだよ。食べなさい。美味しいよ」と言われて、一瞬だけそのシベリアをジッと見るんですけども、グッと我慢して、二郎を見上げるように見返すんですね。
この時の視線は、女の子も、その弟らしき男の子も、2人ともシベリアをちょっと見ているんですけど。その後では、男の子の方が「お姉ちゃん?」と目線を送るのに対して、お姉ちゃんの方は二郎をグッと正面から見返す。
二郎には、自分が拒否されたことはわかるんだけど、その理由が理解できないんですね。
別に、お腹が空いていようが貧乏だろうが、弱者は弱者なりのプライドがあり「何かを恵んであげるよ」と言われたからといって決していい気持ちはしないんですけども。エリートの二郎には、そこら辺が全然わからないんですよ。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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