お盆も明け、9月に入り大型版権の台もズラっと出てまいりましたが、皆さんどんな感想を持たれましたかね。
 もちろん、とんでもなく力の入ってそうな台も多く出ていますが、今、メーカーが求めているのって、そういう力が入るような台ではない気がしています。
 
 力ってのは……まあ要するにお金、ですな。
 
 ホールが不況ならメーカーも不況、しかも迫り来る規制とあって、メーカーもかなり焦っていたり、あそこのメーカーは撤退するんじゃないか、なんてメーカー同士でウワサし合っていたりするような状況。
 
 スロット4号機時代のように、出せば売れるなんて時代では到底なくて、売れるものを出さなければいけないし、売れないものにお金を掛けてはいけない、という時代なんですな。
 
 そこで今メーカーが求めているのが……
 
 安くて早い台。
 
 これはどういうことかっていうと、単純な話、お金をかけずに作れ、開発期間も短い台ってことです。
 
 開発でお金のかかる部分ってのを考えてみましょう。
 
 まずは人件費。
 開発にはもちろん多くの会社や人が携わっており、そういった人を動かすには、1ヶ月あたりに1人を動かす作業費、「人月」というお金がかかってきます。
 1人月30万円だとして、50人が開発に動いていれば、単純に1ヶ月で1500万円もの開発コストになります。
 開発期間が2年だとすれば、3億6千万円という人件費が発生します。
 
 そして版権料。
 これは版権の大きさにもよりますが、高いものなら数億円くらいは当たり前のようにかかってきますね。
 
 これらのコストをできるだけ抑えた開発は命題になってきます。
 
 
 大都のように強いオリジナルコンテンツを持っているメーカーであれば版権料は抑えられますが、そうでないメーカーは、アニメなどからタイアップをとらなければいけませんね。
 
 しかし、近年はアニメ業界のほうからパチンコ業界へと売り込みをすることが増えてきています。決まれば大きな版権料が入ってきますから、アニメ業界も必死です。
 売り込みのために、なるべく版権料を抑える、という動きも最近は見られるようですね。
 
 
 版権料は抑えられても、難しいのが人件費です。削減する方法といえば……
 
 そうです、単純な機械を作る、という方向性です。
 
 液晶機でなければ液晶開発をする人件費が浮く。
 部材を売れ残った台からとれば、部品代が浮く。
 
 そうやって、様々な工夫をして開発費を抑えようという動きが見られます。
 
 たとえばSANKYOの「CRF.タイガーマスク3」の役モノなんかは「CRヱヴァンゲリヲン10」の役モノまんまですし、ドラムタイプが突然流行したり、液晶を作ってもスロット版の演出を多く流用していたり。
 
 多くのパチンコ台は2年ほどの開発期間が設けられていますが、このようにして1年半程度に短縮しよう、という流れになってきていますね。
 
 
 しかし、いっぽうで台本体の単価は安くならず、むしろ仕事人や牙狼のような専用筐体での値上がりすら見せられ、困っているのがホールです。
 リユースやレンタルなんかもちょくちょく出てきてはいるものの、結局は大きな買い物をさせられるためだったりして、ホール側も大人しくしていられません。
 
 今までは暗黙の了解で買われていた大物タイアップが、突然少数導入になったりとか……あるかもしれませんね。
 
 節約ってのは大事なことですけど、節約された分のしわ寄せってのはどこかには来るものです。今後の業界の少し不安な部分でもある今週のお話でした。
 
 
 というわけで今週はこの辺で。
 それではまた来週お会いしましょう。