北海道・青森に続き、今回も北日本から秋田県のお取り寄せをご紹介。日照時間の短さから美人の多い県として知られる秋田県だが、実はその秘密は食文化にもあるとか。雪国・秋田独自の保存食文化が生んだ漬物2点を紹介する。
尚、フラットな状態でご飯のおともを楽しむため、使用する米は「サトウのごはん 銀シャリ」で統一する。
羽場のみそづけ
味噌と言えば、豆味噌の代表格・八丁味噌で有名な名古屋が思い出されるが、米どころとして知られる秋田の味噌は、米麹の割合が高いのが特徴。
創業1918年と長い歴史を持つ羽場こうじ店から販売されている「羽場のみそづけ」の味噌は、大豆と米麹の割合が1:3。米麹には、疲労回復や美肌に効くビタミンB群が豊富に含まれているから、不摂生な生活を送りがちなひとり暮らしの人にはありがたい。
封を開けると、ほのかに味噌の甘い香りが漂う。
具材はきゅうり・ナス・大根・茎わかめの4種類(ナスがミョウガの場合もあり)。特製の味噌に下漬け・本漬け・化粧漬けと、3度しっかり漬け込んだというから、濃厚な味わいであることは間違いない。楽しみだ。
鮮やかな金色がまぶしいほどのこいつは、大根。
パクリと口に放り込むと、濃厚な味噌の味が身体全体に瞬時に広がり、たまらずご飯をかきこむ。漬物1つでお茶碗1杯いきそうになるのを必死に抑えつつ、ほかの漬物にも手を伸ばす。
きゅうりはシャキシャキとした食感が楽しく、肉厚なナスからは濃厚な味噌の味が噛めばかむほど染み出してくるのがたまらない。極めつけは、茎わかめ。今までわかめの漬物をあまり食べたことがなかったが、濃厚な味噌の奥から漏れ出す磯の香りと弾力ある食感がなんとも癖になる。
ご飯以外にも、魚や肉のおともとしても大活躍すること請け合い。たとえば、サバの塩焼きに、ナスの味噌漬けを添えるなんて想像しただけでヨダレが出てくるではないか……。またの機会に、ぜひ試してみようと思う。
いぶりがっこ スライス
今や全国的に定番になりつつある漬物・いぶりがっこ。「いぶり(燻し)」+「がっこ(秋田の方言で漬物を指す)」という名前の通り、いぶりがっことは、囲炉裏の天井に大根をつるし、桜や楢の木を燃やして燻製にした後、塩を加えてぬか漬けしたもの。
屋外に干しておくと寒さで凍ってしまうという雪国・秋田だからこそ生まれた、由緒正しき郷土食。それが、いぶりがっこだ。
スライスされた状態で包装されているから、食べるときはお皿に出すだけ。通常、どうしても切るときに手に匂いが移ってしまうが、こちらのいぶりがっこの場合、そんな心配ご無用というわけだ。
1本1本手作業で収穫から燻製まで行い、ひと冬かけてじっくりと漬け込まれた桜食品のいぶりがっこからは、なんだか神々しさすら感じる。ありがたく頂戴することにしよう。
ポリっとひと噛みすると、燻製の香りが鼻に抜けるのが気持ちいい。そのまま噛み続けると、熟成された大根の甘みが口の中にじんわりと広がり、そこへゆっくりと白米を放り込む。
いぶりがっこと言うと、甘酸っぱさが強い印象があったが、こちらはとにかく燻製の香りが心地よく、とっても上品な口当たり。口いっぱいにご飯を頬張るよりも、白米と1:1ぐらいの割合で大切に味わいたい。
アルコールの用意は残念ながらないが、チーズを添えてワインのおともにしても美味しく頂けるだろう。
今回ご紹介した食材は、どちらも秋田ならではの保存食文化が生んだ逸品。食べきれなかったぶんは冷蔵庫に入れて保存し、毎日の健康と美容のために活用しよう。
Photographed by Kouichi Imai