賃貸でありながらリノベーション可能な物件が人気を呼んでいます。今回ご紹介するTシャツブランド「viccore」デザイナー、アーティストの木村貴秀さんもリノベーションに魅せられたひとり。地元を愛する木村さんが住む3DKのマンションには、アイディアと夢が随所に詰まった空間が広がっていました。
名前:木村貴秀さん職業:Tシャツブランド「viccore」デザイナー、アーティスト
場所:千葉県松戸市
面積:1LDK(もともとは3DK)
家賃:59,500円
築年数:築40年
お気に入りの場所
キッチンの作業台にもなる、DIYしたドラム缶テーブル木村さんがリノベーションに興味を持ったきっかけは“かっこよすぎる”先輩の家に影響されたことにあるといいます。
「既成品をそのまま置くことはほとんどせず、ボルタリング用の部屋を自分でつくったりしてて。その部屋に遊びに行っているうちに、普通の部屋には住みたくない、自分で部屋をつくりたい! という思いが強くなり、家具までDIYするようになりました」
「このドラム缶の内側は、収納スペースになってるんですよ」
創作活動をするソファスペース木村さんのインテリアのこだわりは「プラスチック製品をできるだけ置かないこと」。自分の気に入ったものだけに包まれて暮らすことをモットーにしているのだとか。
「好きなテイストは木や鉄、コンクリート。異素材を組み合わせることでおもしろい発見があるので、気に入っています」
この部屋に決めた理由
千葉県出身の木村さんは、もともと松戸市に知り合いが多かったそう。
一緒にルームシェアをしていた先輩の結婚を機に、ひとり暮らし用の部屋を探していたとき、賃貸物件でありながらリノベーション可能なこの物件に出会いました。
「ショップのような部屋に住みたいと思って探していました。決め手になったのは、なんといっても自由にリノベーションができるところですね。実家が近く、松戸には仲間が多いというのも、選ぶ後押しになりました」
「2016年に住みはじめて、4ヶ月くらいでDIYが完成しましたね。
このマンションはリノベーション可能物件なだけあって、毎日マンション内のいろいろな部屋でDIYをしているんです。廃材をもらったりあげたりというコミュニケーションがあって楽しいですよ」
もともと3DKだった間取りを、壁を壊して1DKにリノベーションをした木村さん。この大変な作業をなんと、業者に頼まずに仲間と行ったといいます。
「壁は仲間に手伝ってもらいながら、スケートボードでガンガン壊して(笑)、3DKを1LDKの広々した間取りにDIYしました。あと、大変だったのは床を剥がす作業。終わりが見えなくて心が折れそうになったことも。
あと、なにより一番苦労したのはその廃材を廃棄処理することですね」
お気に入りのアイテム
スリランカで購入した、牛革のチェア「スリランカに行ったときにヒトメボレをして、持って帰ってきました。飛行機に乗せるのが、かなり大変でしたけど……(笑)」
暮らしのアイデア
好きなものしか置かない、生活を出さないことセルフリノベーションをする際に木村さんがこだわっていたのは、「妥協しない」ということ。室内の景観を乱すエアコンやテレビをあえて置かないこともその理由です。
「既成品にお金をかけるのが、嫌になっちゃたんですよね。生活感が出るものは極力排除して、お金をかけずに自分の好きな空間をつくり上げること。失敗もまた自分らしいと思えるのが、暮らしを楽しむアイデアかもしれません!」
キッチンを土間にする「けっこう料理はしますね。キッチンはあえてコンクリート打ち放しのままの土間にして、リビング・ダイニングはリラックスできる小上がりにしました。
キッチンが土間だと、ラフだから調理中のものが落ちてもあまり気にならないし、掃除がラクなんですよ」
インテリアは「ジモティー」で安く購入「リノベーション費用が3〜4万円ほどと安くおさまったのは、いろいろなものをDIYしたこともそうだし、インテリアを安く手に入れられたこともあります。無料の広告掲示板『ジモティー』は本当に便利ですよ! インテリアや家電から、『譲って・助けて』みたいな項目もあるんですよ」
これからの暮らし
リノベーションにかかった費用は3〜4万円ほどと、なんともビックリの価格。お金をかけなくてもリノベーションはできるというモデルケースになっていけたら、と木村さんは語ってくださいました。
「意外と思いどおりにならならなかったり、予想以上によくなったりするのが、セルフリノベーションのおもしろいところ。お金をかけなくても、DIYすることで愛着が生まれますね。
今後この部屋は、まず防音で録音ができる部屋にしたいです。ラッパーの友だちが好きなときに来て、自由に使ってもらえるような。とにかく、この部屋で好きなことを全部やって、仲間ととことん楽しめたらいいなって思います」
Tシャツブランド「viccore」は、フィリピンでも展開を開始。自由に暮らしを楽しむ木村さんのリノベストーリーは、まだまだ加速していきそうです。
手づくりの家具や規制品にこだわらないことで、部屋そのものが木村さん自身を表す「名刺」のように感じられました。お金がなくてもここまできるリノベーション。まだまだその世界は広がっていきそうです。
Photographed by Norihito Yamauchi