小説よりも気軽で、映画ほど疲れない。それでいて、人生に影響を与えるような価値観に出会えるのがマンガです。

そこでマンガを軸に事業を展開したり、本を出されてたりしている山内康裕さんに、月に2回、オトナも楽しめるマンガを伺っていきます。今回はVol.5。

山内康裕
マンガナイト/レインボーバード合同会社代表。“マンガ”を軸に施設・展示・イベント等のプランニング業務を提供。共著書に「『ONE PIECE』に学ぶ最強ビジネスチームの作り方(集英社)」「人生と勉強に効く学べるマンガ100冊(文藝春秋)」等

さて、今回のテーマは、「住居の悩みにヒントを与えてくれるマンガ」。

オススメは、池辺葵著、『プリンセスメゾン』です。

ーーざっくりと、あらすじを教えてください

独身の女性主人公が、実際に新築のマンションを購入するまでの人間模様を、暖かいタッチで繊細に描く作品です。

ーー魅力はなんでしょうか?

まず、ここまで細かく不動産購入までの流れを描いたマンガはほぼないんですよ。

例えば、購入にいたるまでの手続きや、「頭金は〜万」などリアルな金額が出てきたり、マンション購入者のリサーチ結果もあったり……。

なので、 マンションや家を借りようか、それとも買おうか悩んでいる人にとって、とても有益な情報が詰まっています。

ーーマンガとしての良さはなんでしょうか?

やっぱり、家やマンションを買うっていうことをイメージとして捉えらえれる点ですね。

マンションを買うことは借りることと違って、もっと街を自分のものとして感じられるようになったり、買う目標に対して自分自身を奮い立たせたりできる。

「そもそもマンションを買うなんて限られた人にしかできない夢でしょ」と思っている人の固定概念も払ってくれます。

ーー独身女性がマンションを買うというのは、世間的なイメージでいえば、まだ一般的ではないように思えます。それをこのマンガではどう扱うのでしょうか?

確かに、主人公自身は独身の女性で、一人暮らしをしていますが、そんな彼女がマンション購入を考えるということは、実はとても暖かいなと思えるんです。

”単身は孤独”と言われがち。でも、このマンガでは、マンションを買うことにまつわる人々との交流があって、みんな「住み、暮らす」っていうことに対して関心がある。

そういう人たちと、むしろちょうどいい距離感で繋がり、日常としてのコミュニティができていく。

それは、趣味を通じて、ゆるく適度に繋がっているのと似た魅力があります。ただ1人で孤独に生きるわけでもないんですよね。

ーー男性目線からも共感できるキャラクターはいるのでしょうか?

ええ。伊達さんという不動産会社のメガネ男子が出てくるのですが、彼もまた住居が好きでその仕事を選び、一生懸命頑張って主人公にいい物件を紹介しようとする。

その健気な姿はつい応援したくなりますし、主人公との恋模様もちょっとした見所ですよ(笑)

試し読みはこちらから

そんな『プリンセスメゾン』、試し読みはこちらから可能です。

1話でしっかり完結しているので、魅力がキチンと伝わってきますよ。

実際に読んでみると、画面から何か出ているのではと思わされるほど、うっかり泣いてしまう、そんなマンガでした。

プリンセスメゾン 1 (ビッグコミックス)

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表紙image:amazon
その他image:shutterstock

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