でも、せっかくお家でゆっくりと過ごせるなら、キレイになったり、健康的になったりと前向きな冬ごもりタイムを過ごしたい!
そこで、おいしくてカラダにもいい冬ごもりをするコツを、薬膳料理のプロに聞きに行ってみました。
結果として、「なんかむずかしそう……」「薬っぽいんでしょ?」と、敬遠しがちだった薬膳料理がぐっと身近なものになりましたよ。
目次
▼薬膳のプロが話す「薬膳が難しくないワケ」▼冬に起こりやすい症状3つに! おすすめ食材&メニュー
溜まった“疲れを癒したい”なら:(腎)山芋と昆布
忘年会つづきで荒れた“胃腸を休ませたい”なら:(脾)牛肉とじゃがいも
呼吸器系が不調な人には“呼吸を整える”:(肺)ビーツとクリームチーズ
▼(まとめ)今年の冬ごもりは、ゆったり自炊で薬膳デビューだ!
薬膳のプロが話す「薬膳が難しくないワケ」
おじゃましたのは薬膳を取り入れた、家庭的なメニューを提供する渋谷のオープンコミュニティカフェ&ダイニング「REISM STAND(リズムスタンド)」。
今回は、お店のメニューのアドバイザーであり、薬膳インストラクターの星宏美さんにお話をうかがいます。
星宏美さん:ホリスティックウェルネスアドバイザー妊娠をきっかけに、薬膳や中医学を学び始める。自身の身体の変化から、家族の健康にも目を向けるようになり、薬膳を生活に取り入れ、活用していくことで効果を実感。心も身体も健康にサポートしていきたいという想いから、ホリスティックウェルネスアドバイザーとして活躍中。
「薬膳って難しく考えがちですが、凄くざっくり言えば、スーパーでいつも買っているものも、毎日食べてるものも、みんな薬膳なんです。
というのも、すべての食材に“効き目”があるから。ただ、どの食材にどのような効能があるかを知ることで、もっと効果的にいただくことができるようになるんですね」
本格的に学ぶといろいろ難しいこともあるそうなので、今回は薬膳の入り口である“食材の5つの分類”だけお伺いします。
その上で、冬ごもり中(立冬:11/8〜立春の前日:2/3頃)に、身体の状態に合わせてぜひ食べてほしい食材と料理たちを具体的にご紹介いただきました。
薬膳カンタン入門:おさえるべき「5つの分類」って?
「ざっくりいうと、食材は肝、肺、心、腎、脾の5つのカテゴリーに分類することができるんです。
それぞれのカテゴリーごとに、身体の不調を整える効果が示されています」
ストレスを取り除く呼吸を整える、血の巡りを良くする
心を満たす、免疫力を上げる
疲れを癒やす、冷えなど体の水分代謝を整える
胃腸を休ませる、消化促進を高める
薬膳初級者は、最低限この5つを意識すればよいとのこと!
本来は「陰陽五行」に基づいた分類こそが、薬膳の基本なのだそう。
ですが、それだと難しいため、星さんがわかりやすくカテゴライズしたものが、こちらの“5つのカテゴライズ”。
まずは、このカテゴリーを覚えて「ゆる薬膳」をスタートしてみましょう!
冬に起こりやすい症状3つに! おすすめ食材&メニュー
さて、では実際に冬ごもり中に食べたい食材と、メニュー例も教えていただきますよ。
今回は、「REISM STAND」のメニューを参考にお話いただきました!
「REISM STAND」の店長に、調理上のアドバイスも伺います
(腎)溜まった“疲れを癒したい”なら:山芋と昆布おすすめ食材は、疲れを癒す“腎”のカテゴリーに属する「山芋」と「昆布」。
山芋は山の薬と言われるほど、多くの効能を持つだけでなく、体の渇きを潤します。また、昆布は体の水分代謝を良くしてくれる食材です。
REISM STANDメニュー例◆こだわりの絶品牛モツ鍋
REISM STANDの提案メニューは熱々の「こだわりの絶品牛モツ鍋」! 山芋と昆布意外にも、疲労回復に役立ちお肌をプルプルにしてくれるモツ、体を温めるニラやニンニク、唐辛子、元気を養ってくれる黒ごま、山芋と同じく身体に“潤い”を与えるごぼうや松の実が追加されたパワーメニューです。
ぜひ寒い夜に真似したいですね。疲れている時も、トウガラシの辛さで食欲が増しペロリと食べられそうです。
店長からの調理アドバイス「牛モツ鍋をする時は、モツにしっかり火をいれるのがポイント。いれすぎるくらいで大丈夫です。そうすることで、モツがとろっとろになっておいしいですよ。昆布は出汁に使いましょう」また、星さんいわく、疲労回復には黒豆も良いとのこと。昆布しかり、黒い食材は冬の不調を整え、疲労回復を助ける効果があるんだそうです。
「スーパーでカンタンに手に入る煎り黒豆を、そのままおつまみとしてポリポリ食べるのもいいですね。
それをご飯を炊くときにパラリといれるもよし。それだけで、お米がほんのりピンクに色づいた黒豆ごはんができます。
カンタンですが、無駄なく黒豆をいただけるので薬膳効果もバッチリですよ!」
お疲れ気味の人はスーパーで黒い食材を買うようにするのが良さそうですね。
(脾)忘年会つづきで荒れた“胃腸を休ませたい”なら:牛肉とじゃがいもおすすめは、消化促進を高める“脾”のカテゴリーに属する「牛肉」と「じゃがいも」。
REISM STANDメニュー例◆ゴロゴロ肉じゃが(脾)
じゃがいもと牛肉が主役の料理と言えば……「肉じゃが」!
まるまるひとつの大きなじゃがいもで、食べごたえもしっかりです。忘年会の暴飲暴食で胃に負担がかかっているから胃を休ませたいものの、何かちゃんと食べたい……という場合に良いでしょう。
店長から調理アドバイス「軽く煮込んだ後、煮崩れないように、一旦じゃないもを取り出すといいですよ。全体がしっかり煮込めたらじゃがいもをお鍋に戻して、冷ましながらじっくり味を染み込ませるのがコツです」
(肺)呼吸器系が不調な人には“呼吸を整える”:ビーツとクリームチーズこれからの時期は、風邪気味となり鼻が詰まったり喉が渇いたりするだけでなく、花粉で呼吸器系の不調を感じる人もいますよね。
そんな人におすすめな食材は、呼吸を整える“肺”のカテゴリーに属するビーツとクリームチーズだそう。
特にビーツは、血行をよくして免疫を高めるだけでなく体の内部を潤すため、秋からつづく乾燥に悩まされている人にもぜひ食卓に取り入れてほしい食材です。
REISM STANDメニュー例◆桃色チーズケーキ
ケーキも薬膳料理だなんて、なんだか意外!
ですが、食材のカテゴリーだけ覚えれば、効果的においしく、様々な調理法で薬膳の効能をいただくことができるワケですね。
店長から調理アドバイス「ケーキを焼く場合、ビーツをしっかりペースト状になめらかにすることと、焼きすぎないようにするのがポイントです。焼き色がつく前に取り出しましょう。そうすることで、キレイなピンク色に仕上がります」
「ケーキを焼くのはハードルが高い!」なんて方には、ビーツを温野菜やサラダスティックにしていただいたり、ホットケーキに混ぜ込んで焼いたり、クリームチーズをパンに塗って朝食にするなどでもいいようですよ。
今年の冬ごもりは、ゆったり自炊で薬膳デビューだ!
「薬膳を難しく考える必要はありません。
ただ自分の気になる体調と重なっているカテゴリーにある食材を、焼いたり煮たりするだけでもいいんです。
おいしく食べられるようにすれば、それは立派な薬膳料理。日々、身体を思いやって食材をいただくことが大切なんですね」
ひとつの食材にひとつの効能だけしかないわけではないので薬膳の世界はハマると深く興味深いのですが……まずは一つの食材の効能を1つからでも覚えて! ハードルひくーく薬膳ライフを始めることで、自然と体調を整う“冬ごもり”にしませんか?
忙しい毎日、「最近ゆっくり自炊できていないな~」という方には、寒い冬ごもり期間こそ自炊のチャンス!ぜひご紹介した食材を購入して調理してみてくださ~い!
取材協力:REISM STAND
※編注:明確な体調不良が現れている場合には、病院で医師の診断を受けることをお勧め致します。